第37話

碧唯さんは騒がしいけど、美しい女の人と来てた。モデルっぽい美人だ。私がさぞじゃがいもに見えただろーね!くっそー!いつもこうしていじられてるような気がする〜

楽屋にいた来訪客がいなくなって、やっとさっぱりした。絵里ちゃんはどこいったのやら?碧唯さんにさてはいじめられたんじゃないの?

ふぅ…。一息していると、楽屋に突然の来訪客があった。


「あのー、あ、いた」


なんで楽屋来ちゃうわけよ!しかも遅いし。


「どちら様でしょうか?」


あ、美香ちゃんが対応してくれてる!


「ごめーん、美香ちゃん!わずらわせて!」


「あーいるかさん、全然出てねーし!てゆーかここ広くて迷子になるし!」


自分勝手に話し出す。


「まぁまぁ、落ち着きなよー。でもちゃんと舞台は見てくれたのかしらん?」


「一応ね」


「どう?また来てもいいってかんじ?」


「別にいいけど」


「よっしゃ!嬉し!」


「…あの、いるかさんどなたですか?この人」


美香ちゃんは優を見上げるように指差した。


「えーっと、私の夫です」


「え?」


「私の夫」


「え、若い、若すぎません?」


「そーなのよーあはは!」


美香ちゃんは愕然としていた。だろーね。私を未婚だと決めつけてるから!


「いるかさん、結婚とか…信じられない」


「あ、どうも、足助と申します」


おっそい紹介をする夫であーる。


「ほ、本当にいるかさんの?」


「そーですね。いつもお世話になってます。じゃ帰るんで」


あっさり帰る夫。美香ちゃんは置き去り。


「あはは、ごめーんね?隠してたわけじゃないの」


美香ちゃんごめんね、私あなたより先に勝ち組よ。初舞台を踏んだけれど、私は皆さんに言うべきことがある!


「あのー!皆さん、ごめんなさい!私子供ができちゃったので!しばらくお休みさせて下さい」


「えーーー!?」


美香ちゃんも後からきた絵里ちゃんも絶句していた。ごめんね、私ったら驚かせてばかりね。

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