第36話
「絵里ちゃんかわいかったねぇ」
「ほんと美人でしたよ。さっすが!」
「控え室行ってみる?」
「え!まじで!行きましょう!」
てなわけで、私とまりこさんで絵里ちゃんのいる楽屋を訪ねた。まりこさんは、私のご近所で一番仲のいい
「あ!来てくださったんですね」
「うん!舞台ってーなんか楽しーね!私こうゆーの初でさぁ〜びっくりだし。はい、これお花」
2人で選んだバラの花束をまりこさんが渡す。
「ありがとうございます。まりこさん、碧唯さんまでありがとうございます」
「いいのよ?それで
「知りません」
あらら、やっぱ仲悪い?
「あ!碧唯さ…」
私を知ってる人?誰かしら?と振り向くとそこには最近増えた住民、若い旦那を持ついるかさんがいた。
「そういえば出てたんでしたね」
「…そういえば、ですか。絵里ちゃんの知り合いなんですか?」
「そーなのよ。で、あなたの旦那様は?まだ来てないの?」
「来てるかどうか知らないんで。どうでもいいです」
いるかさんはさっさとたち去る。ドライな人。
「あー!亮介くんだー!」
まりこさんがばかでかい声で廊下を歩く彼を呼び止めた。
「な、なんでこんなとこまで来てんですか!」
「いいのよ。亮介くんの身内だものね。ねーまりこさん!」
「そーよ!亮介くんのために見に来てやってんのよ?」
上から目線のまりこさん。面白い。
「はい、亮介くん。私からプレゼント!」
「え、碧唯さん…いいんですか?」
「ええ」
バラの花を一本だけあげた。絵里ちゃんには花束あげたんだけどねー。
「ありがとうございます!嬉しいです!」
喜んでもらえてよかった。内心で笑う私とまりこさんであったけどね。
「ねぇ、私も碧唯さんとこれ選んだんだけど?お礼とかないわけ?」
「え、でも碧唯さんがくれたし」
「失礼しちゃう!だからだめなのよ!ねー絵里ちゃん!ってあれ?」
いつのまにか絵里ちゃんはいない。亮介くんとは全然うまくいってないみたい。
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