第24話
ジャムさんは卒業してしまった。卒業式には参加していたので、話したところアメリカNYを拠点に活動するとか。高原くんのことは、そのまま置いて行ってしまった。ということは…春休みどうやってすごすのかな?
俺、足助優はというと、いるかさんの家にほとんどいる。いるかさんはオーディションを受けたりで、いない日もあったけど、バイトばっかりしてたときより会える時間が増えた。
「まだ膝痛い?」
「うーん、あとちょっと?そこまでじゃない」
「じゃあさ、身長測ってみない?」
「どうやって?」
「はい!メジャー!」
「えー」
「床のとこ持っとくから、引っ張って」
「こんな感じ?」
「はい、何センチ?」
こんなんじゃよくわからない。ということで、適当に答える。
「…たぶん190くらいかな?」
「うっそー!そんなに?」
「親父と同じくらい?」
「えー!?お父さんそんな高いの?」
「そーです」
「やだぁ、足長くて怖い~」
「怖くないし。ひどいんだけど」
「顔もなんかシュッてしたよね?あと~声とか?」
「それは、どんだけ太ってたかってこと?」
「違うよー」
いるかさんは、メジャーはもう飽きたのかその辺に投げて座っていた。
「春休みも終わっちゃうけど、膝の痛みが治らないのが憂鬱なんですけど」
「早く治らないかなぁ?」
いるかさんの横に座る。なんか小さく見える。
「なぁに?」
いるかさんの頭を撫でる。こういうゆっくりしてる時間って、いるかさんといないとなかったかな。中学の頃からだろうか?学校で、医者の息子なのにバカなのはなんで?と嫌われ、まつ毛長くてキモいと嫌われたあげく、空気のような扱いを受けるようになったっけ。自分がわからなくて、勉強嫌いになったりバイトバカになったり…いつも落ち着いていられなかった。
「キレイだね」
「髪?」
「いるかさんのこと」
「ほんと?ありがとう」
素直に、俺の言葉を信じてくれる。彼女の頬に手を当てる。こんなに顔ちっさかったかな?いや、俺が大きくなったのかな?
「ん?目になんかついてる?」
「いや、口…」
彼女と過ごす時間が楽しくて。一緒にいるのが生きがいになっていた。
「ねぇ、私といて楽しい?」
「楽しいよ?」
「嬉しい」
いるかさんの笑顔は、元気をもらえる気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。