第19話

冬休みはバイト三昧で終わり、遊ぶ暇もなかった。しかし、もうすぐ高3になる。受験もあるし、いろいろ考えないといけないし…。そして、最近膝が痛い。そんなことを考えている間に、時間は過ぎ…1月も終わりになってしまった。よし。


「寮を出る」


寮で、艶耀に宣言した。


「えー!?なんで?どうしたの?彼女と住むの?」


「いや、自宅へ帰ります」


「えー!?家出してたのに?」


「そう。まぁ、いろいろあるんだよ」


「そっかぁ、じゃあここは出ないといけないよね…」


「そうなるね」


「えー、嫌だなぁ」


「ごめんな」


「でもさぁ、優くんのためだし、しょうがないよ!…あ、そーだ!ゆうさんとこに泊めてもらおうかな?」


切り替え早いヤツだ。心配してたのに!


「そりゃ迷惑だ」


「ジャムさんあんまりいないみたいだしー」


「いや、あの人突然帰ってくるからね」


「でも聞いてみよーよ!行こう」


艶耀に連れられて、高原くんのところへ。


「えーと、寮出るんだけどさ…」


「え?帰るの?」


「まぁ、そうです」


「それで艶耀!はい!僕を泊めて下さい!」


「…いいよ。毎日は無理だけど」


「わーい!さすがゆうさん!」


「でも、なんで急に帰る気になったの?」


「なんとなくね…」


「ふーん…」


高原くんはすごく微妙な顔になった。彼も家出して、ずっと家に帰ってないから。ジャムさんに聞いた話だと、母親とうまくいってないらしい。高原くんもいろいろあるんだ。部屋の片付けを、いや荷造りしないといけないから、部屋に戻った。


「艶耀、よかったな」


「うん!」


「毎日は無理って言ってたけど、どうするんだ?」


和希かずきさんとこ帰る」


「誰?友達?」


「預けてもらってるとこー!」


「いや、もう普通にそこに住めって」


「やだよー。あ、神田くんとこもいいかなぁ?」


「は?神田って神田陽かんだよう?」


「うん。保育園一緒だったよね?」


今更そんな保育園とか…どうなんってんだよこいつは。


「…何?仲がいいのか?」


「うん、だけど優くんとは会いたくないって」


「そりゃそうでしょう」


神田くんとは保育園~中学まで一緒だった。中学ではグレてしまった神田くん。昔の彼を知ってる俺は嫌われている。


「仲良くしたらいいのにー!」


「しないよ。学校違うし」


「そっかぁ。神田くんの学校って頭いいんだよね。和希さんが言ってたけど、艶耀には無理だって!」


「さっきから、和希さんって…普通に仲いいじゃん」


「そう?」


微妙な雰囲気の中、部屋を片付ける。荷物は少ないので、すぐに片付いた。

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