第17話

「そうそう。家帰ってから食べるからー」


「どーせ暇だし、ここで食べなよー」


「疲れたしー。帰るね、じゃ!」


「おーまたなー」


いるかさんが話してるのを、外から聞いていた。しょーもない話だ、まったく。


「ごめんごめん!あこに捕まったわー」


「疲れた。ケーキ食べたいな」


「じゃ、行こっか。プリンあるし!」


「プリン…もういらん」


「食べすぎも嫌いになる原因だよね~」


突然、ポケットに入れていた携帯が鳴る。


「あ、艶耀からだ」


「ん?友達?」


「や、後輩?…友達?ま、今説明はいいや、…なに?」


『おなかすいたー!優くん今どこ?家?』


「まだ帰ってないけど。飯食ってないの?」


『じゃあーご飯一緒に食べようよ!ファミレスで!』


「えーー。今からかぁ、そうだなぁ…」


いるかさんの家に行くんですが…。


「私も行くよ?」


「じゃ、今から行くから」


『はーい!待ってるー!!』



「ねぇ、艶耀くんのことだけど」


「あぁ、保育園のとき一緒で、幼馴染なんだけど、今寮で一緒に住んでる」


「ふーん。そうなの」


「まだ中学生だからね…」


「え、帰ったほうがよくない?」


「あー!優くーん!ここ!…あれ?」


艶耀は先に来ていて、席をとっていたようだ。


「よー艶耀。待たせたなー」


「こんばんは」


「え?誰?先生?」


「違うよ。彼女だよ」


艶耀は目を見開いた。


「え?優くんの?は、はじめまして!市川艶耀いちかわえんようです。優くんの友達です!」


「はじめまして。私、花田いるかです。よろしくね」


「ど、どうも」


俺は艶耀の目の前に、いるかさんはその横に座った。


「優くん。どこでゲットしたの?」


「うーん?店?」


「えーーお客さん!?すごいねー!」


「違うの。あこの友達よ?あこってのはコンビニの店長よ?」


「ふぇーそうなんだぁ。でもすげーや」


「ま、とりあえず食べるか」


「あ、デザートからね。はい、ケーキ」


いるかさんはさっき買ってくれたケーキを机に出し、俺の前に置いた。


「…いいなぁ。おいしそー」


「艶耀くんはこれ食べる?プリン好き?」


「うわーい!ありがとうございますー!えと、イルカさん!」


「やだ、なんか海にいそうな感じね」


「イルカさん名前かわいい」


「名前、ね?」


「いやいや、お顔も美しい!」


「余計なことを艶耀に言わせないでほしいのですが」


「はいはい。私にはデザートないから、デザート頼むからー。2人はデザートそれね」


「えー!うーん。でも、しょうがないか」


「艶耀、そう落ち込むな。今日はないけど、また今度な」


「優くん、また連れてってね」


「いいよ。で、何食べる?」


「私はステーキかなぁ?頼んでいい?」


「は?奢れってか?無理だし」


「えー冷たいね~。女の子に嫌われるよ~?」


「優くん、振られちゃうよ。万年振られ男だから!」


「いやいや、万年じゃないから…」


「振られ男って立ち直りも早いのよね」


「そうそう!優くんすぐ好きな人見つける!…あ、そしたらいるかさん、飽きられちゃうのかなぁ?」


「えー許さないから」


「いやいや、あのね、振られ男なのに、振るわけないじゃん」


「そっかぁ!そーよね?つまりー、私が振るかもってことよね?」


「わー!ほんとだー!優くんやばーい!」


「やめてくれ…」

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