第2話

テストの訂正も終わり、期限のある辛いものはなくなり落ち着いたと思った頃…情報がクラスに流れていた。

それは…1年に女の子が転入したという情報だ。1年だし関係ない。どーせ、かわいい子なんだろうな。見なくてもわかる。微妙な時期に入ってきて、話題になるってことは。クラスの人たちは騒がしいな、まったく。

高原くんは…あ、周りにいた人が去っている!今のうちに話そう。


「高原くん!…1年ってどんな子?かわいいの?」


ついつい聞いている自分である。


「え、あぁその話?なんか北海道から来たらしいよ?前こっちに住んでて…名前は、えーっと市川いちかわ?」


「そ、それって!まさか、裟南さなちゃん?」


「たぶん?知り合い?」


「保育園一緒だったんだよね…」


「へぇー」


「初恋の子でね…かわいくなってると思うんだよね~。いや~でも全然会ってないから、どうかな?」


ここにきて恋が再熱するとか?やばいって!


「そんな気になる?」


「まぁ、そうだね、知ってるしさぁ」


「じゃあ普通に話してくれば?」


「や、まず1年の教室とか行けないよ。行きにくいんだよね」


「別に、行けばいいじゃん」


「…あ、そうだ。帰り待ち伏せしたらいいんだ!」


「えー、怪しい」


「そうかな?一応知り合いだしさ」


「ふーん」


「高原くんも一緒にどう?」


「バイトあるから」


「ですよね。ま、なんとか頑張るよ」


そんなわけで、1人校門で待つことに。小一時間、校門で待ったものの、なかなか出て来てくれない。ふと、不安に襲われた。そもそも裟南ちゃんがわかるのだろうか?もし、間違えてしまったら…まずい!

そんなことを考えていたら、見覚えのある子を見つけた。あの子は…保育園一緒だった子じゃないか。ってことは!あの隣にいる子が…裟南ちゃん?やはりかわいくなっているが、変わってない。よし、


「や、やぁ!裟南ちゃん!俺、足助優!わかる?」


思い切って、気さくに話しかけてみた。


「あーえっとー。優くんかぁ」


間があったが、覚えててくれた!


「久しぶり!こっちに引っ越したんだね」


「ううん。知り合いの家に預けられた」


「えー、そうなんだ」


「そう」


「で、2人は今からどこか行くのかな?」


「あ、はい。私が入ってる劇団に裟南ちゃん入りたいって。それで、見学にと思って」


あなたには聞いてないんだけど。隣の子が返事してきた。


「ふーん。部活的な?」


「そ、そうです」


「ところで裟南ちゃんは彼氏いるのかな?」


今の自然な流れっぽくない?よくない?


「は?いないけど、いらないし」


「へ、へぇー。そ、そうかぁ」


いきなり失恋。…残念だ。


「じゃあ、頑張ってね」


と、言葉をかけてその場を立ち去った。はぁ、惨め。

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