第5話 男の子と告白
漆黒ラブレターの約束の日がついに来てしまった。
既に今日の授業は終わって、約束の時間までは後十分も無い。
三花ちゃんと私以外居ない教室で、その時をじっと待つ。時間潰しに開いた宿題の問題集は、全く手がつかない。
ファミレスに行った日はスッキリ眠れたのだけど、昨日は全然眠れなくて、ずっと頭がモヤモヤしている。
出来ることなら帰って寝たい。
待ち合わせ場所なんか行きたくない。
──でも、それはダメだと分かっている。
ここで帰ってしまっては、恋なんて一生出来ない。恋愛感情を知ることが出来ないのは嫌だ。
──本能で帰りたくても、理性で抑えるっ。
私一人じゃない。三花ちゃんも居てくれる。
私の為にまたもや部活を休んだのだ。今更帰れない。
逃げ場を出来るだけ無くして、背水の陣。
追い込まれないと動けないダメ人間の私なんかに、本当に恋が出来るのだろうか。
ネガティブ過ぎてダメになりそう。
と、とにかく、困った時は三花ちゃんに頼ろう。鬼に金棒、私に三花ちゃん。
…
緊張感に耐えられなくて、固く目を瞑る。大きく深呼吸をするけれど、指先が震える。頭がふらつく。
法律のすれっすれまで有効成分が入った、精神安定剤の強いやつが欲しい。保健室に置いてるかな…
保健室に行こうとぬらりと立ち上がった時、三花ちゃんが私を呼び止める。思わず背筋がびくりと伸びて固まった。
「やっと行く気になったね」
ニヤニヤ笑わないで。
この状況を楽しまないで!
けれど、「違う」とも言いたくなくて、何を思ったのか反射で口走る。
「連れて行って?」
「背中を押してあげよう!」
「……お願い」
…
勿論保健室へ連れて行かれる訳もなく、校舎裏へと直行させられている。
もう逃げる事は出来ない。
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