第2話 野獣船長の宝
時は大航海時代。世界中の海を荒らしまわる海賊たちの中で、ひときわ恐れられていた存在がいた。その名も「野獣船長」。
彼の自慢の船、「黒い野獣号」は、敵を寄せ付けない圧倒的な火力と、船員たちの団結力で知られていた。
しかし、何より恐れられていたのはある界隈で有名な船長自身の伝説的なカリスマ性だった。
「アッー! オオンアオン!」
どんな戦闘でも必ずこの雄叫びとともに敵船を制圧する野獣船長。その声を聞いた者は戦意を喪失し、絶頂を迎えたのちに降伏するという身も蓋もない噂が広まっていた。
そんな彼の元にある日、奇妙な地図が届けられた。それは「究極の宝」が眠るとされる無人島の地図だった。
「お前たち、これが何かわかるか?」
船員たちは、野獣船長が掲げる古びた地図を見つめた。そこには島の形とともに「ここにすべての男たちの夢が眠る」と書かれていた。
「男たちの夢……それって、金銀財宝ってことですか?」
副船長の遠野が尋ねると、野獣船長は不敵な笑みを浮かべた。
「金銀財宝なんてありきたりだ。俺が欲しいのは、それ以上の“熱い絆”だ!」
船員たちは「えぇ……」と微妙な表情を浮かべたが、船長の情熱に押され、宝探しに出発することとなった。
数週間の航海を経て、ついに地図に示された島に到着した。島は鬱蒼としたジャングルに覆われ、不気味な雰囲気を漂わせている。
「よし、全員上陸だ!遠野、お前が先に行け」
「えっ、なんで僕が……」
「つべこべ言わずいいから行け!」
気乗りしない遠野を先頭に進む一行は、島の奥深くで巨大な洞窟を発見した。その中には、無数の宝箱が並んでいた。
「これが男たちの夢……?」
野獣船長が一つの宝箱を開けると、中には金銀財宝ではなく、くたびれた一冊の本が入っており、色褪せた表紙にはこう書かれていた。
「友情と信頼の航海日誌」
船員たちは拍子抜けしたような顔をしたが、臭すぎる野獣船長だけは感動の涙を流していた。
「これだ……!これこそが、俺たちが求めていた真の宝だ!」
「いやいや、普通に金が欲しかったんですけど!」
「やりますねえ!」
船員たちのツッコミをよそに、野獣船長は日誌を大切に抱え、船へと戻った。その後、「黒い野獣号」はその航海日誌に書かれた絆をもとに、さらに強いチームワークを築き、伝説の海賊団として名を轟かせることとなった。
**「男たちの夢」**を追い求めた野獣船長の物語は、後に多くの航海者たちに語り継がれることになる。そしてその中で最も有名な言葉が、彼の最後の一言だった。
「お前たち、宝よりも大切なものがある。それは……“愛と友情”だ!」
これもうわかんねぇな?
ぬわああああん疲れたもおおおん!
野獣先輩の冒険譚 谷塚Rom子 @blacknote
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