第3話 伝説の先輩、野獣
とある大学のキャンパスでは、ひとりの先輩が伝説となっていた。その名も「野獣先輩」。
彼はどの学部にも属していない謎の存在でありながら、なぜか授業にも出席し、サークル活動にも顔を出す。後輩たちは彼を敬愛し、そしてある意味で恐れていた。
ある日、クソ真面目な大学2年生・遠野は、その野獣先輩と初めて遭遇することとなった。
遠野はその日、課題の締切に追われ、図書館で必死にレシートのような紙でレポートを書いていた。時計は夜の9時を回り、周囲は人もまばらだった。
「はぁ、終わらない……」
溜息をつきながら頭を抱える遠野の前に、突然、謎の男が現れた。
「おっ、ここ空いてんじゃ~んw」
その声に遠野は驚いて顔を上げる。無理もない。そこに立っていたのは、他でもない野獣先輩だったからだ。
「あ、あなたが……噂の野獣先輩ですか?」
「そうだよ。(ドヤ顔)で、お前、今何してんの?」
「えっと、レポートの締切が明日なんで……」
野獣先輩は遠野のパソコン画面を覗き込むと、ニヤリと笑った。
「おっ、やるじゃん。でもさぁ、お前さぁ、この構成は甘すぎるよねぇ?」
「えっ、どういうことですか?」
「いいか? お前の教授、こういうの好きそうだけど、もっと濃い内容を求めてくるだろ?これじゃ、“草”しか生えないぞ。」
そう言うと、野獣先輩は遠野の隣に座り、メチャクチャにキーボードを叩き始めた。
「おっ、大丈夫か大丈夫か? お前のレポート、こんなんじゃ駄目だぞ(指摘)。まぁ俺に任せておけって。」
みるみるうちにレポートが整っていく。野獣先輩は時折「ンアッー!」と叫びながら、華麗に文章を仕上げていった。
その様子を遠野はじっと見ていた。
「教授の好みを知るのは大事だゾ。俺はねぇ、全ての教授の趣味嗜好を把握してるんだよ。どの文献が好きかもバッチリだぜ」
「す、すごい……!」
「ちなみにこの教授はタマとか舐めるのが好きだ」
野獣先輩の的確なアドバイスで、遠野はなんとかレポートを完成させることができた。
「ありがとうございます、先輩! こんなに助けてもらえるなんて……」
「気にすんなよ。これも後輩を可愛がる俺の愛だよ。お前も……好きだよ(直球)。でもさぁ、これからは自分の力で頑張れよ?」
そう言い残して野獣先輩は立ち去った。その後ろ姿はどこか哀愁を漂わせていた。
翌日、遠野が提出したレポートは教授に絶賛され、学年トップの評価を得た。しかし、同時に遠野の周りでは妙な噂が流れ始めた。
「お前、野獣先輩に会ったんだろ?」
「えっ、どうしてそれを?」
「野獣先輩に助けられた奴は、一度だけ学業で神の如き成功を収めるらしい。でもその後は、『もう(助けてくれないんだね)』って感じで自力で頑張らないといけないんだってさ」
遠野はその噂を聞き、再び野獣先輩を血眼の爬虫類のようになって探そうとしたが、二度と彼の姿を見つけることはできなかった。
それから数年後、遠野は無事に大学を卒業し、立派な社会人となった。
だが、彼の胸には今も野獣先輩の言葉が残っている。
「お前も努力しねえとなあ? あったか~い心でな」
伝説の野獣先輩――彼の存在は謎に包まれたままだが、その影響を受けた学生たちは、今日もどこかで「イキスギィ!」と叫びながら頑張っているに違いない。
ありがとう、野獣先輩。
そして、これからもよろしくね、野獣先輩。
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