下
その男は燃えていた。
《対化物戦闘拡張装置
比喩ではない。
《適合率 94%》
襟が立っているかのように肩に炎が宿っている。
《タイプ オリジナル》
彼の目の前にはピストルを構えた男が一人、銃を向けられてる女が一人。
「その銃は本来、人に向けるものじゃない」
《ソースコード アンリアル》
周囲にグツグツと熱気が漂う
「その武器は、戦士が人を守るためのものだ」
《ランク サイコパス》
「決して! お前みたいなクズが使っていいものじゃないんだよ!」
男の激情と共に一気に周囲の温度が上がる
《
「お前には、知ってもらう必要がある、その武器を使ってた奴らがどんな思いで今の世界を守ったのかを」
その目には火が宿っていた。
「体が燃えたからどうした、また打てばいい」
オルメは引き金を引く、発射された弾は肩に当たる、傷ができるだが血が出ない。その代わりに撃たれた箇所から炎が吹き出し、傷を修復する。
「まだだ」
次は確実に頭を狙う、そしてケビンの額に当たり、のけぞる、オルメの口角が少し上がるが、次の瞬間にはもう弾痕が残っておらず、そのまま進んでくる。
(マガジンの弾が尽きた、しかしリロードができん)
「チッ、ロイヤルガード以外にこの技を使うことになろうとはなぁ!」
そしてペルカを解放すると、銃を両手で持ち、構える。
『
9発しか入らないピストルから、マシンガンのごとく弾が発砲される。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇ!」
その全てをケビンは体で受ける、そしてできた銃創が次から次に修復されていく、まるで何事もなかったかのようにズンズン進んでくるケビンに、オルメは畏怖の感情を感じ始める。
「な、なんでだお前にはもう30発は喰らわせてやった、どうして倒れない、回復の限界はないのか!」
「そんなの決まってるだろ、俺が俺に絶望しない限り限界はない」
もう手を伸ばせば届く距離まで縮まった。
「おまえの敗因はひとつだ、不死鳥を怒らせたそれがおまえの敗因だ」
拳を握り締め、彼は言う。
「冥土には行かせないが、聞いとけ、俺は人類生存軍特別行動隊のケビンだ、豚小屋での土産話にはいいだろうぜ」
拳には炎が纏っている、その拳を。
「あばよ」
全力でオルメの顔面に殴りつけた。
△▽△▽△▽
「あぇ…」
オルメの顔面は軽いやけどと拳の跡がくっきり残っていた。
「やりすぎちゃったかな…」
犯罪者とはいえ少し正当防衛の域を出過ぎてしまったかも知れない、そんなことを考えていると。
「ケビンさん」
後ろから真剣な声でプレシスが話しかけてきた、その顔もかなり真剣で、1時間前まで新婚の惚気を話していたとは思えなかった。
「ケビンさん…あなたは…世界P.S.N.L条約第3条、使用許可が降りてない状態でのパーソナル使用を行いました。……事情はわかっています、しかし目撃者が私です、まだどうにかなります、騎士団に入りませんか」
さっきの戦闘で五体満足のプレシスはそう提案をしてきた、多分最後の渡し船だろう、だが
「いいよ、そこまでしなくて、責任は俺1人で請け負う、それで十分だ、もう迷惑はかけないさ」
そういうと、プレシスはもう「そうですか…」と残念そうにするプレシスをその場置いて離れる、10分もしなうちに騎士団はやってくるだろう、あとは彼らに任せよう。
「ちょっとあんた」
そう言い、ペルカが声をかける。
「これであんたは、お尋ね者、おまけにアンデットに喧嘩も売ったからまともな裏社会にも潜れない」
ケビンはその言葉にはあまり驚かない、まるで以前にもあったかのように反応しない。
「だけど良い事教えてあげる」
「良い事?」
「あたしは裏社会の秩序を守る組織の娘なの」
裏社会に秩序、なんか頭の痛くなる単語の組み合わせに少し困惑するが。
「あんた、私を救ってくれたお礼に私の婿入りしなさい!」
「…ムコイリ?…婿いり…婿入り!」
いきなりの情報の多さに混乱するケビンを置いて、ペルカは彼の手を握る。
ケビン・ペター御年3435歳、彼はこれからの運命を共にする彼女ペルカに出会った。
そして、プレシスたちに馴れ初めを聞かれ、大爆笑されるのはまた別の話。
《短編》不死鳥さん、嫁できる。。。できるよね!! シャボン @syaboon
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