第14話 魔王の本心③
広間に響く剣と魔法の衝突音。圧倒的な力を前に、レオンたちは必死に戦い続けていた。だが、魔王カイザーの漆黒の剣と、それを支える魔力の防御は依然として強固なままだ。
「奴の剣を抑え込むどころか、こちらが削られる一方だ……!」
カリンが息を切らしながら呟く。その目には焦りが浮かんでいる。
「でも、あきらめたら終わりだよ!どこかに必ず弱点があるはず!」
ユキが必死に杖を握りしめ、再び雷魔法を詠唱する。彼女の魔力は限界に近いが、その表情には決意が宿っていた。
「奴の動きを観察しろ。次の一手で決める!」
レオンは剣を構え直し、カイザーの動きをじっと見つめていた。
カイザーの言葉
「お前たちの執念は見事だ。しかし、その先にあるのは虚無だけだと、まだ気づかないのか?」
カイザーは静かに語りながら漆黒の剣を構え直す。その剣には新たな魔力が収束し、周囲の空気がさらに重くなった。
「何を言ってやがる!俺たちは未来を守るために戦ってるんだ!」
カリンが剣を振り上げ、カイザーに向かって叫ぶ。しかし、カイザーはその言葉を受け流すように微笑む。
「未来……か。それがお前たちにとっての真実だというなら、私も全力で応えよう」
カイザーは剣を振り上げ、一撃を放とうとした。その瞬間、レオンの目が鋭く光った。
突破の兆し
「カリン、奴の右側を狙え!アルフ、ユキ、剣の魔力を乱せ!」
レオンが指示を飛ばす。カリンは即座にカイザーの右側に駆け込み、剣で攻撃を仕掛けた。一方、アルフとユキは同時に魔法を放ち、漆黒の剣に衝撃を与える。
「闇の波動(ダークウェーブ)!」
「雷鎖(サンダーチェイン)!」
二つの魔法がカイザーの剣に直撃し、その魔力の流れが一瞬だけ揺らいだ。その隙を見逃さず、レオンが全力で突き込む。
「今だ……!」
レオンの剣がカイザーの防御を貫く寸前、カイザーが再び動きを見せた。その漆黒の剣が反転し、レオンの剣を弾き返す。
「甘いな」
反撃と新たな発見
レオンは弾き返され、後退を余儀なくされる。その攻撃は不発に終わったかに見えたが、アルフがその瞬間を見逃さなかった。
「待て……今の一瞬で防御の流れが完全に止まったぞ!」
アルフは目を細め、カイザーの剣を指差した。
「奴の防御は無限じゃない。一定の魔力負荷を与えれば、わずかに流れが止まる!」
「つまり、一気に畳み掛ければ隙を作れるってことか……!」
レオンが息を整えながら頷く。カイザーの防御を崩すには、全員の力を一点に集中させる必要があった。
「ユキ、アルフ、魔法をもう一度!カリン、俺たちで最後の一撃を決める!」
決戦の一撃
ユキとアルフが再び魔法を準備する。彼らの全力を込めた詠唱が広間に響く。
「これで終わりにする……!雷槍(サンダーランス)!」
「闇の呪縛(ダークシール)!」
二つの魔法がカイザーの剣を再び包み込み、その防御の流れを乱した。そして、レオンとカリンがその隙を突いて同時に突撃する。
「カリン、行くぞ!」
「任せな!」
カリンがカイザーの足元を狙い、その動きを封じる一撃を放つ。一瞬の隙を作り出したその攻撃に続き、レオンが渾身の力で剣を振り下ろした。
「これで……終わりだ!」
レオンの剣がカイザーの鎧を貫き、その中心に光の衝撃を生み出す。広間全体が震え、カイザーの動きが止まった。
カイザーの微笑み
一瞬の静寂の後、カイザーは膝をつきながら微笑みを浮かべた。
「……見事だ、勇者よ。そしてその仲間たち。だが、これで終わりではない」
カイザーはゆっくりと顔を上げ、彼らを見据えた。
「お前たちにこの世界の未来を託す覚悟があるならば、この後に待つ真実を知るがいい。その重みを、受け入れられるかどうかは……お前たち次第だ」
その言葉と共に、広間の奥に新たな扉が現れた。その扉は光を放ち、次なる試練を示しているかのようだった。
新たな試練へ
「まだ終わっていない……!」
レオンが剣を収め、扉の方へと視線を向けた。その目には決意と覚悟が宿っている。
「次で最後だ。進むぞ、みんな!」
カリン、ユキ、アルフがそれぞれ力強く頷き、彼らは新たな扉へと向かっていった。その先に待つのは、魔王カイザーの本当の真実――そして、世界を揺るがす最終的な選択だった。
次回、第15話「選択の代償」。魔王カイザーの語る真実が明らかになり、レオンたちは究極の選択を迫られる――!
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