第10話 では、ホルンはどうかというと

 トランペットは「シ♭」がいちばん低い音ということでだいたい定着したのですが。

 ホルンのばあいは、バルブシステムが普及するなかで、バルブを使わずに出せるいちばん低い音がハ長調の「ファ」である楽器と、ハ長調の「シ♭」である楽器が残りました。


 で、ハ長調の「ファ」を、クラシックの音名では「F」といいます。

 また、ハ長調の「シ♭」を、クラシックの音名では「B」(普通はドイツ語式に「べー」と読みます)といいます。


 ところで、ハ長調の「シ♭」は、ポピュラー音楽では「Bフラット」というほうが普通です。

 これは、クラシックでは「♭」のつかない「シ」を「H」(ドイツ語式に「ハー」)にして、「H」のフラットを「B」にしたのに対して、ポピュラー音楽では「♭」のつかない「シ」を「B」(普通は英語で「ビー」と読みます)にしたからです。


 この言いかたを使って、バルブを使わずに出せるいちばん低い音が「ハ長調のファ」のホルンを「F管」のホルン、「ハ長調のシ♭」のホルンをべー管のホルンといいます。


 この言いかたは管楽器全般に使うので、(ハ長調の)「シ♭」がバルブを使わずに出せるいちばん低い音のトランペットは「B管のトランペット」といいます。

 なお、「ド」がいちばん低い音ならば「ツェー管」、「レ」がいちばん低い音ならば「デー管」です。

 ハ長調の「ミ♭」がいちばん低い音の管楽器は「Es管」といい、「エス管」と読みます。Es管の管楽器もけっこうありますが、ホルンではEs管より一音(二半音)高いF管が残りました。


 F管、B管それぞれにバルブシステムをつけて、右手でたいへんな操作をしなくても、また、演奏中に管を継ぎ足さなくても、たいていの音は出せるような改良が行われました。


 トランペットはB管でほぼ定着したのに、ホルンはなぜB管とF管の二系統が残ったかというと、たぶん、音色に違いがあるからです。

 F管のほうが響きが豊かで、深みのある音、B管は、それに比べれば音がくっきりしていて軽快、と言われるのですが。

 ……私は聴き分けられないです……。

 すみません。

 というか、B管でじゅうぶんに豊かで深い音色じゃん、と感じてしまうのです。

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