第8話 「聖なる月曜日」対策としてのブラスバンド
一九世紀 イギリスで「余暇を健全に過ごそう」運動というのがあったそうです。
それまで、階級社会のイギリスで、下層中産階級や労働者階級(の男性)がどう「余暇」を過ごしていたかというと。
だいたい、一日じゅう酒を飲んでいた。
しかも、日曜の夜までずっと飲んでいるので、月曜日まで二日酔いが残ってしまい、月曜日は仕事にならない。
それで、「月曜日も
まあ。
私の学生時代も似たようなものでしたが。
日曜の夜から月曜の朝までアニメのビデオを見ていて、月曜が使いものにならなかったり、とか。
当時はLD(レーザーディスク)だったよな、と、歳がバレるよけいな話……。
労働者が「聖なる月曜日」をやっているようでは産業の効率上とてもよくない、というので、「余暇というのは、リフレッシュして月曜日から元気に仕事にがんばれるように使うべき!」という運動が起こってきたのですね。
まったく、よけいなお世話、というか。
現在に続く、「余暇」を「リフレッシュして仕事に取り組むための時間」と考える考えかたが登場したのです。
そういうなかで、ピクニックに行くとか、山登りとか、海水浴とか、近代的なスポーツとか、そういうのが普及していったわけですが。
その一つとして吹奏楽がありました。
つまり、いま、中学校や高校の「部活」として存在しているものが、この時代に「聖なる月曜日」対策として普及していったわけです。
で、下層中産階級・労働者の余暇活動ですから、楽器は比較的安くないといけない。
当時から、木材を使って職人芸で作られていたヴァイオリン属の弦楽器や木管楽器より、金管楽器のほうが安く手に入る、という事情がありました。
また、余暇活動ですから、吹きやすくないといけない。
で、当時は、まだトランペットとホルンにはバルブシステムが普及していませんでした。あるいは、もう普及していたのかも知れないけど、トランペットやホルンなど、昔からある楽器は難しい、と思われていたんですね。
これに対して、サクソルン属やそこから発展した楽器は、最初からバルブシステムを前提に作られているので、比較的吹きやすい。
そこで、英国式ブラスバンドでは、トランペットではなくコルネットとフリューゲルホルン、ホルンではなくアルトホルンとバリトンホルンが採用されることになったのです。
ちなみに、金管楽器の発達史には何も関係のない話ですが。
拙作に登場する
だから瑞城フライングバーズにはホルンがない、と。
これに対して、高校と一貫教育のはずの瑞城女子中学校のマーチングバンド部にはホルンがあることになっています。
【宣伝】瑞城フライングバーズのメンバーが登場するお話。
『瑞城女子高校四月物語』(バトントワリング:毛受愛沙、カラーガード:村上富貴恵、部長:向坂恒子ほか)
https://kakuyomu.jp/works/16816927862088507961
『遥か昔のエジプト精神』(カラーガード:末廣晶菜、部長:向坂恒子ほか)
https://kakuyomu.jp/works/16817139556810135815
『沸騰する祭×去らない熱』(前部長:猪俣沙加恵)
https://kakuyomu.jp/works/16818093083704673753
……こうやって並べると楽器奏者いないですね。(汗)
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