第4話 右手の操作ほか

 ホルンでは、もうひとつ、びみょーに音を変える方法があって。

 それが、右手の操作です。

 ほかの金管楽器はベルが前を向いていたり上を向いていたりするので、そのベルのなかに手を突っ込むことはできませんが、ホルンは、ベルが右脇腹のところで後ろに向くので、ベルのなかに手を突っ込むことができます。

 ふだんは右手は空気が普通に通るようにしていますが、音の高さを変えるとき必要があるときには、空気の通り道をふさいだり狭くしたりすることでその変化をつけます。一音(=二半音。「ド」と「レ」、「レ」と「ミ」のあいだの音程)ぐらいは変えられるということです。

 自分では吹かないので、これが感覚としてよくわからないのですが。

 現在はホルンの性能が上がって、右手で音の高さを変える必要はなくなったのですが、この、右手で音の高さや音色を操作するという奏法は、一種の特殊奏法として残っています。

 また、ホルンの特性として、現在のホルンでも正確な音が出ない音域があったりするので、そこは右手でびみょーに音の高さを調節するのだそうです。

 ……って、ホルンの教則本に書いてあったんですけど、なんか、すごい難しいことをやってるような……。


 ところで、金管楽器では「横に穴をあけて、その穴を開閉することで音の高さを変える」のはNGと書きましたが、実際には、金管楽器で、横の穴を開閉することで音の高さを変えていた楽器はありました。

 オフィクレイドという楽器がその代表です(ほかにもあります)。

 昔は「オフィクレイドは性能が悪かったのですぐに廃れた」とか書かれていて、どんな楽器かもわからなかったのですが、いまではウィキペディアを見ればオフィクレイドの記事がありますし、YouTubeではオフィクレイドの演奏も聴くことができますので、どんな楽器でどんな音か、自分で判断できます。

 いい時代になったものだと思います。

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