第3話
え?俺の最強スキルは?どこに行っちゃったの?
「これは珍しいですね...スキルや武器ではないものが出たのは初めてかもしれません...」
「おい想定外かよ。俺このまま何もない状態で異世界に放り出されるの?またすぐにここに帰ってくる事になりそうだけど...」
「むむむ、それはいけませんね。私の仕事が増えゲフンゲフン、それはあなたが可哀想ですからね...」
今自分の仕事が増えるとか言ってなかったかこの女神、女神じゃなくて駄目神なのかもしれない。
「仕方がないですね、もう一度クジを引きましょうか。そして、この女の子なのですが...」
「返そうにも返す場所がわからないですよね。ここで育てることはできませんか?」
「うーん、それは私の仕事がゲフンゲフン。そもそもここはあの世なので魂が留まるべきではないんですよね...」
所在無げに佇んでいる女の子に目を向ける。よく見るととても整った顔立ちをしている、この子も色は薄いが金髪だ、赤い瞳が不安そうにこちらを見つめ返してくる。俺は覚悟を決めた。
「この子、俺が育てます」
「え?」
「ここで育てられないなら俺が育てるしかないと思います」
「そうですか...それでは感謝の気持ちを込めて転生した先の世界でのステータスは高く設定しますね。その子を守れるように」
「ありがとうございます、君はそれで良いかな」
女の子に問いかけるとコクリと頷いてくれた。俺を信じてくれたんだ、この子は絶対に守らねば。
「この子に変な気を起こしたら雷を落としますからね」
「俺を犯罪者か何かと勘違いしてないか?」
「冗談です。では、始まりの村を選んでください」
そう言って差し出されたのはダーツの矢だった。首をかしげていると女神はどこから出したのか異世界の地図が貼られたボードを俺の前に設置した。
「矢が刺さったところがあなたの始まりの村になります!」
「これもし万が一海に刺さったらそこに放り出されるとか無いですよね?」
「...」
無言でニコニコされるのが一番怖いんだが...まあ真ん中を狙えば大きな街があるだろう。そう考えて矢を投げる。矢は狙い通り大きな大陸の真ん中に刺さった。
「それではこの街の宿屋に転移させますね」
「はい、よろしくお願いします」
「おっと、その前に渡しておくものがあります」
ハリセンでもくれるのかな、と思ったが渡されたのはネックレスだった。十字架が付いたシンプルなデザインのネックレスだ。
「大抵のことならあなたとこの子でどうにかなるでしょう、もしどうしても解決できないような事があればそれで私を呼んでください。1度だけ私が助けてあげましょう」
ほう、それは心強い。エリクサー症候群みたいに死ぬまで使わない事になりそうだが、仮にも神が見てくれていると思うと心に余裕ができた気がする。
「今度こそお別れです、下界でゆっくりしてきてください。早く帰ってきたら私の仕事が増えますので」
「今度こそはっきりと言いやがった...」
女の子に手を差し出すと女の子は小指だけ握った。名前を決めないとな、と思った俺と女の子を優しい光が包み込んだ。
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