第2話

 このリンという女性を見た時から感じているこの感情。これはなんだ?わからない。

「んっ・・・・えっ?」

リンは、まだ今の状況を把握できていない。龍は、「大丈夫か?」、と聞く。

「ありがとう。あなたが助けてくれたのね」

リンは、笑顔を見せた。その笑顔を見た龍は、激しく心が乱れた。龍である自分が、こんなにも人間の笑顔一つで、心を揺さぶられる。こんなことはあり得ないと思った。

「貴様・・・我に魔法を使っているな」

龍は、勘違いをした。でもリンは、「いいえ」、と優しく返す。

「・・・・そうか」

「そういえば、あなたの名前聞いてません。聞いてもいいですか?」

「ふむ。余の名は、龍王リューだ」

「ぷっ」、とリンは、笑った。

「な、なんだ。余の名前が、そんなに、おかしいか」

「いえ、だって、龍だから、リューって」

リンは笑い。龍は怒る。

「さてリン。貴様が住んでいた森は燃えていた。貴様には家族がらぬようだな」

「なぜ?それを」

「森を飛んでいるなか、貴様以外の人間の姿が見えなかったからな」

リンは、少し暗い表情をする。リューはそれに気づかず続ける。

「しかし、なぜか、空を飛んでいると、小山に一つの墓があった。貴様、何か知っているか?」、とリューがリンを見ると。

「えっ・・・・!?」

リンが泣いていた。

「あっ・・・あれは、私の母の」

「す、すまん。帆が知らず知らず。燃やしてしまった。謝ろう。すまなかった」

するとリューは、リンに深く頭を下げた。「余にできることなら、なんでもしよう」

リンは泣き止むと、「なら・・・・私の父親を一緒に探してくれませんか?」

リューは、「よかろう。だが、貴様の父親がどこにいるかわかっているのか」

リンは、「母から聞いたところによると、雪原の村で父と会ったと聞いています」

「よかろう。そなたの願い、余が叶えてやろう」

リューは、リンを背中に乗せて、空を飛んだ。

「すごいです」

「余は龍であるぞ。空を飛ぶなど造作をない。さて、リンよ。貴様の父親とやらに会いに行こう!」

「はい」

龍のリューは、リンの願いをかなえるために、飛びだった。

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