第23話 不意の一撃
そして、怯えているレナーテにゴブリンたちが一斉にとびかかって襲い掛かる。襲い掛かってそれぞれ手足を掴んで押さえた。
「いやあああああああああああああああああああ、やめてぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「お嬢様、お嬢様お嬢様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
護衛役だった騎士の人がレナーテの襲われているを見て思いっきり叫ぶ。しかし、目の前の敵の対処に追われてとても行けそうない。ロキやルーシもだ。
ゴブリンたちは──これが目的なのだろう。適当に邪魔させる代わりに、襲う人や物資は好きにしていいとか、そんなことを言われたのが想像できる。
「やめてください、やめてください!! やめてぇぇぇぇぇ!!!!」
レナーテは何とか抵抗しようと必死にもがくが、手足を複数のゴブリンに押さえつけられていてどうすることもできない。
ゴブリンたちは力任せに服を乱暴に引きちぎっていく。気が付けば股を強引に開かされ服は破かれ下着が露出している状態。
そして──レナーテの両足の前にいるゴブリンがレナーテの両脚の付け根を掴むと、抵抗しているレナーテを無視して強引に股を開く。キキキとした気味の悪い声と、にやりと欲望丸出しの笑み。
この後、放っておけばレナーテがどうなってしまうか、手に取るようにわかる。
明らかに連携が取れている。手慣れていて、普段からこういう事をやってるんだなというのが理解できる。
俺が行くしかない。一気に突っ込んでいって、レナーテの両足を掴んでいるゴブリンに襲い掛かる。かなり前がかりで、奇襲されるリスクがあるがレナーテを救わなきゃいけない以上これくらい前のめりにならないとレナーテのところまで行けない。
ゴブリンは胴体から真っ二つに切断。それからも、襲って来るゴブリンたちを次々と倒していく。
グサッ──。
俺の胴体から体を貫く音。リスクをかけていたが、本当に攻撃を喰らうとは。
連携が得意なんだっけ。後ろから気配がした時にはもう遅かった。視線を下に向けると、下腹部から棒のようなものが突き抜けている。振り返って、背後から奇襲してきたゴブリンの槍が下腹部を貫通したのがわかる。
「お前、大丈夫か?」
近くの冒険者が思わす叫ぶ。
胴体を貫通。痛さを通り越して、熱さに近い感触がはらわたを襲そう。思わず膝をつきそうになるが、こんな痛みは今までいくらでもあった。何とか耐えられる範囲だ。
攻撃を喰らったまま強引に槍を掴んで、両手に魔力を込めてへし折る。そして、剣を薙ぎ払い相対しているゴブリンの首を切断。ゴブリンの頭部が吹っ飛び他のゴブリンに激突。
それから、精神を集中させ速度を上げてゴブリンたちに切りかかる。ゴブリンの動きがスローモーションに見える中、次々とゴブリンの首をはね、胴体を切断し──気が付けばこの場に立っているゴブリンは一匹もいなかった。
そして、レナーテに視線を向ける。涙目で、恐怖で怯えている。
ボロボロの服を掴んで、目を大きくしてこっちを見ていた。
「あ、ありがとうございます」
「どういたまして。あ、これ」
そう言って、ローブを脱いでレナーテに着させる。流石に、お姫様がボロボロの服ではね。
レナーテは、ローブを手に取ると、ローブで身体を包んで涙目でこっちを見ていた。怖かったんだというのが一目でわかる。
わずか数秒で、ゴブリンたちは一掃。そして、大きな箱を持ち出そうとしているデーモン相手に突っ込んでいく。一番倒さなきゃいけないのはあいつだ。
デーモンは俺に気付いたのか慌てて箱を投げ捨てて逃げようとするが、逃がすつもりはない。一気に急接近してデーモンに振りかざすと、デーモンは剣を受ける。
そして、そのスキに剣から手を放して一瞬で殴り掛かった。無防備なデーモンの胸を拳で殴る。俺の拳はデーモンの心臓を貫通して粉砕。そしてもう一度剣を握ってデーモンの胴体、手足、首を切断。
切断した肉体から血が噴き出て、肉体はピクリとも動かない。これで終わった。大丈夫だろ。
周囲を見ても、ロキや他の生徒のおかげで敵は片付いているがわかる。平気っぽいな。レナーテの方を見て、手を差し伸べた。
「遅れてごめんね、もう心配ないよ」
「ええと、大丈夫ですか?」
レナーテは両手で口をふさぎ、驚いた表情でこっちを見ている。ああ……キズか。仕方ない、ロキに詰められたら、適当に答えておくか。
キズを回復させようとして──やめた。必要がないからだ。
全身から感じる、包み込むような優しく暖かい闇の力。散々助けられてきたからわかる。
背後に、杖を光らせている愛奈の姿があった。
「回復、ありがと」
愛奈は、笑顔で親指を立てる。
「大丈夫だよ。死なせたく無いもん」
「そう言ってくれて、こっちも嬉しいよ」
何とか敵は一掃。それから愛奈が笛を召喚して吹いてくれて、周囲に傷ついた人が回復していく。愛奈の、キレイな音色。癒されるなぁ。
現れろ、救済に導く音色のオーラ・与楽と慈愛への到達
アライバル・マイトリー
こうしていつも、自分の身を削って周囲を助けているんだよな。
みんなが回復して、安堵の雰囲気が流れる。
「その音色凄いね。回復できるんだ」
「まあね」
魔力が枯渇して木に寄っかかる愛奈に周囲が賛美の声が送る。生徒の中で20人くらいは怪我を負っていたはずだが、それを一瞬で治してしまった。
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