第29話 闘技祭初日④
「沙羅!!!」星霞璃月は神楽沙羅の後ろから特大の月光刃を放ち、上空へ跳んだ。
神楽沙羅は不敵に笑った。「待ってた!」とだけ言い、風刃疾走で一気に上空へ跳び出した。
猛スピードで迫ってくる月光刃を見て鷹沢は避けられないと判断し、迎え撃つ。
鷹沢は苛立ちながら、「こんな攻撃、うざいだけなんだよ!!」と叫び、自分の烈火刃を放った。
ガガガガガガガガガガ!!!!!!バ――――――ン!!!!!!!!
烈火刃と月光刃がぶつかり、強烈な光が校庭全体を覆った。
二つの巨大な衝撃波は相殺され破壊された。
アナウンサーは目を見開いた。「凄まじい力と力の衝突だ!!」
「どうだ!!」
「バカね。それは足止めよ」
「なっ??!!」
同じ瞬間に、神代雪乃は自分の前で手を合わせるようにして叫んだ。
「霜獄結界・縛(ばく)!!!」
リングの端に雪の結晶が無数に出現し、輝くダイヤモンドダストの渦が、一気に鷹沢チームに襲い掛かった。
「なんだ…!?」
リング一帯がホワイトアウトとなり、何も見えない状態となった。
観客はリング状が何も見えなくなってしまい、唖然としながら、何が行っているのかを一瞬でも逃さないと瞬きせずに凝視した。
ダイヤモンドダストの渦は消え、そこにいたのは、鷹沢チームが頭だけを残し全身氷漬けにされた姿であった。鷹沢たちはみな、驚愕の表情を浮かべた。
彼らの体の動きは拘束され、これまでのスピード重視の戦術が、一気に崩れた。
「か、体が動かな…い」鷹沢は焦りを隠せず、何とか脱出できるように藻掻くが動けない。
神代雪乃のデバフスキル霜獄結界の特化版、霜獄結界・縛(ばく)が、彼らの動きを完全に止めた。どんなに強力な攻撃でも、その力が行使できなければ無意味だ。
「ふぅ・・・ギリギリだったけど、これで私たちの勝ちね」星霞が安堵の声を上げた。
霜獄結界には様々な使用法があり、今回の「縛」を使う時は、事前に大量の霜獄結界を用意する必要がある。星霞たちは真正面から勝負をしていれば、負ける可能性を考えていた為、搦め手を使ったのだ。
「てめぇ、ひ、卑怯だぞ!!正々堂々と正面から戦えやぁぁああああ!!!」
神代雪乃のデバフが、完全に鷹沢チームの攻撃力を無力化した。
「バカね。それと同じこと、神々の塔でも言うの?こういうのは罠にはまった方が負けなのよ。誰が力に対して力で対抗すると思うの?終わりね。あなたたちの紙装甲では私の攻撃を受けたらどうなるかしら?」
星霞璃月は呟き、思う存分に力を溜めて、月光刃をフルに発揮して強烈な一撃を5人纏めて放った。超特大の「月光刃」が鋭い音を立てて空を切り裂き、鷹沢チームに命中。爆音がリングに響いた。
カッシャ――――ン!!!!
ピッ!「0」ピッ!「0」ピッ!「0」ピッ!「0」ピッ!「10」
彼らのLPは完全に崩れ、LPが消えた鷹沢チームの4人はリング外に吹き飛ばされた。月光刃の威力で氷も全て破壊された。
「ぐあっ!」鷹沢だけがリング上を転がった。何とか縁の部分に掴まり、落ちる事だけは防いだ。これまでの圧倒的な攻撃力を誇っていたチームが、一瞬にして崩れ去る。
「まだ終わりじゃない!」LP10だけが残っている鷹沢は立ち上がろうとするが、神代雪乃のデバフがまだ効いており、動きが鈍い。
「くそ!デバフはそのまま効果があるのか・・・!?」震える足を黙らせようと、鷹沢は足を必死で掴んだ。
「俺一人でも…、まだ負けてはいない!」鷹沢は気合を入れ、最後の力を振り絞ろうとした。しかし、彼の心の中では、焦りと恐れが交錯していた。
星霞璃月、神楽沙羅、神代雪乃は、ゆっくりと鷹沢に一歩一歩近づいていく。
アナウンサーはあまりの逆転劇に声を失っていた。「す・・・すごい・・・」
「暁君の言う通りになったね…」
一歩ずつ鷹沢に近付く星霞は、最後の一手を打つこのタイミングで、1週間前の暁との作戦会議の事を思い出した。
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