第17話 アドバイス
そして翌日、暁は星霞たちに会うために学校を訪れた。
「おはよう、星霞さん」
暁は、スキルウィーバー科の教室に現れた。スキルウィーバー科の生徒たちは元クラスメイトの暁が、自然体で教室に来たの見て驚いた。
「おい・・・時雨だぜ」
「なんでここに来てんだ?」
「あいつ、何故星霞さんになれなれしく話しかけてんだ」
そんな羨望と不可解さと興味で、教室の生徒たちは一斉に暁を見てあちこちで話し始めた。
そんなザワついた他の生徒たちの様子を気にすることなく、暁は教室のど真ん中を歩いて、星霞の所へ向かった。
「ちょっと話していいかな?」
「あ、暁君、おはよう・・・。ちょっと場所を変えても良いかな?」
そう言って、星霞は慌てて暁を連れて、教室の外へ出て行った。
他の生徒たちは何の話をするのかと興味本位で教室の外へと出て、2人の行方を目で追って行った。
星霞は暁を連れて、近くの特別教室へ連れていき、そこで二人きりになって話をすることにした。
「暁君、びっくりしたよ。まさか、暁君から来てくれるなんて!」
「僕も、ポーターの仕事があるから朝しか時間が無かったんだ。次はいつ学校に来られるかも分からないから、先に伝えられることだけ伝えたいなと思ってさ」
「そ、そうなんだね。暁君、本当に暁君だよね?」
「ん?そうだんよ?なんで?」
「そうだよね。直接来てくれてうれしいなぁと思ったからね」
「そう?ちょっとよく分からないけど、とにかく僕は、昨日は鷹沢たちの模擬戦を見てきたんだよ。あいつらの模擬戦でいくつか気になった点があるんだ」
暁は昨日の模擬戦について、総評をした。「連携や個々の判断力は良いね。鷹沢たちの調整は見事だったな。凄い攻撃力で、並のチームだったら木端微塵だね。プロの探索チームもやられていたし、プロ顔負けだね」
「それで、暁君は、鷹沢チームを褒めるために話しに来たんじゃないよね?」星霞はフッと笑って暁に聞いた。
暁も微笑して「もちろんさ」と答えた。
「鷹沢チームは、あれは典型的な“コントロール戦術”だね。相手の動きを封じて、自分たちの得意な展開に持ち込むタイプだ」
星霞は頷きながら、暁の言葉を待った。
「鷹沢チームの核は、リーダーの鷹沢京介。全ての攻撃の起点にして、総司令塔。あいつが全ての中心になってるんだ。だから、まず鷹沢を封じる必要がある」
「でも、彼を直接狙うと、逆に周りのサポートメンバーにカウンターを受けるよね?」
「そうだね。でも、彼らの戦術の弱点は“連携ありき”ってことだ。つまり、チーム全体が揃わないと機能しない。僕のアドバイスは、鷹沢チームを分断することだよ」
「分断……?」星霞が首をかしげる。
「具体的には・・・」
そう言って、暁は自分が考える鷹沢チームの攻略法を星霞に伝えた。星霞は笑顔になって暁にお礼を言った。
「ありがとうね。後は私たちが暁君の言う通り動けるかどうかね」
「まぁ、星霞さんたちなら大丈夫だよ。ミリタリーアント50匹よりかは弱いことは確かだからね」
「はははは」
2人が笑っていると、ガラガラと教室のドアが開いた。
「おい、ここは今から授業準備だ。なんで生徒がここにる?」
「すいません。今すぐ出ますので」
「たく・・・イチャイチャしやがって・・・俺なんかずっと彼女がいないのに・・・」
とよく分からないことをブツブツと呟く教員をすり抜けて、2人はお互いに別れを告げた。
______________________________________
レビュー★★★をお願いしますm(_ _)m
今後の創作の励みになります(T0T)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます