第7話 二人の敵との対決

 そして、ウスディドール殿下は、


「ブリュレットテーヌよ。お前はわたしに対して反逆をしてきた。ここまでのわたしに対する反逆を許すわけにはいかない。わたしはお前に対して、フィスラボルト公爵家からの追放を命じる。それにより空く当主の座には、オギュレリアを任命する。公爵夫人には、オギュレリアの貢献役を命ずる」


 と宣言した。


 ついに、わたしのフィスラボルト公爵家からの追放が決まってしまった。


 一旦は落胆したが。しかし、すぐに態勢を立て直す。


 怒りは一気に上限と言えるところまで到達していた。


 わたしは、オギュレリアさんに向かい。


「あなたは、わたしからウスディドール殿下を寝取っただけではなく、フィスラボルト公爵家の当主まで奪おうとしているのね。わたしは絶対にそれは認めませんわ! わたしはウスディドール殿下の婚約者で、フィスラボルト公爵家の当主なんですから!」


 と厳しく言った後、継母に向かい、


「わたしをあれだけイジメておいて、さらにわたしを追い込むとは、一体何をやっているんですか! あなたの心の中には、権力に対する欲望しかないのですか? ああ、何と嘆かわしいことなんでしょう。あきれてものが言えませんわ……」


 と少しあざ笑うように言った。


 すると、オギュレリアさんは、


「わたしがあなたからウスディドール殿下を寝取ったなどと! わたしのことを侮辱するのですか? どうしようもない人ですね。ここまでとは思いませんでした。ふざけるのも大概にしてください! わたしはあなたのようなどうしようもない人から、ウスディドール殿下を守る為に立ち上がったのです。ウスディドール殿下は、そうしたわたしの心を汲んでいただき、そして、わたしのことを愛して下さる素敵なお方ですわ!」


 と腹を立てながら言ってきた。


 そして、一旦言葉を切った後、続けて、


「それにあなたは、わたしがどういう人物かご存じでないようね」


 と言ったのに対して、わたしは、


「わたしからウスディドール殿下を寝取った方だと認識していますけど」


 と応えた。


 この返事を聞いてオギュレリアさんは、


「ああ、嘆かわしい。わたしはこの王国の教会に認定された聖女ですわよ。あなたはウスディドール殿下のお言葉を聞いておられなかったのでしょうか? その聖女に対してあなたは先程侮辱したどころか、そう言ってまた侮辱をするのでしょう? いい加減にしてほしいですわ!」


 とますます腹を立てながら言ってくる。


 わたしは、


「聖女ですって? いくらこの王国の歴史において、高潔ではなくてもその能力の高さのみで聖女認定された方がおられるからと言って、わたしからウスディドール殿下を寝取るという酷い方が聖女に認定されるというのは、理解ができないことです」


 と反論した。


 オギュレリアさんはわたしに反論をしようとしていたのだけれど、その前に継母が話に介入した。


「オギュレリアさん、あなたは聖女なのです。ブリュレットテーヌの反論など聞き流しておけばいいのです。この子はあなたと違って、治癒魔法の能力を持っていないのです、あなたと比べたら問題にならないほどの差があるのです」


 継母はそう言ってオギュレリアさんを抑えた後、


「あなたはオギュレリアさんに対していろいろ侮辱するようなことを言っていて、あなたがどうしようもない人間だということを改めて思ったわ。オギュレリアさんがかわいそうでならない。それだけではなくて、わたしに対してもいろいろ言ってくれたわね。よくもまあ、わたしがあなたのことをイジメているということとか、権力に対する欲望しかないとか、そういうでたらめなことが言えるわね。あなたのことをここまで育てたのは誰だと思っているの。わたしのことを侮辱しないでほしいわ。わたしはあなたのことを育てたというのに、こんなことを言ってわたしのことを侮辱するなんて……。全くもって信じられないことだわ」


 と少し涙声になりながら言ってくる。


 いずれにしてもウスディドール殿下に同情してもらい、わたしのことをさらに下げようとしている。


 そんなことをしなくても、もう十分ウスディドール殿下のわたしに対する評価は下がっていると思うのだけれど。


 とはいっても、このまま言われ続けているだけでは怒りのやり場がない。


 反撃あるのみ!

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