第4話:片道切符、地獄行き
「着いた……」
何が明日には着くだよ! 普通に丸2日かかったわ!!
なんか知らんけど
こっからの作業間に合うかなぁ。
洞窟チックに隠されている、研究所へ続く扉を開き、巨大な金属製の自動ドアの前に立つ。
『Do you know PIN?』
「えーと……『One way ticket to hell』」
このパスワードはサブクエストを進めることで入手できる。普段なら読み飛ばしてしまうけど、ネットの考察を見てからとても印象に残った一幕となった。
『おかえりなさいませ、Dr.フォードボルト』
「さてさて、フォードボルトの遺産を受け取りに来たぞ」
除菌装置と放射能除去装置を潜り、お目当ての兵器を探す。とは言っても、おそらくはとてもわかりやすく目立つ場所にあるはずだ。散乱する幻想少女たちの残骸を丁寧に避けながら、奥へ奥へと進んでゆく。
「……あった」
ショーケース内に満ちた機械保存用ホルマリンに浮かぶ二対の球形の物体。その下にある金属板の埃を払い、刻まれた文字を読み上げる。
「『Dr.フォードボルトの遺産:No.4、
サブストーリー終盤、第二のDr.Fを自称するニコライが、
だが、その試みは失敗することになる。
オリジナルの幻想少女はアンドロイド化する前、つまり人間だった時の記憶を心の支えとして生きている。そしてOYSは膨大な制御回路を脳メモリーに刻み込み、足りない分は以前からある記憶をデリートして不足分を補う。
つまり……………彼女の思い出は、全て上書きされてなくなってしまった。
「結果、暴走して主人公チームに破壊されてしまった……ねぇ?」
OYSを完璧に制御するには巨大なメモリー、そしてそれを制御するココロが必要だ。
オリジナルに拡張メモリーなんて付けられないし、量産型にココロなんてない。
「が、しかしぃ? ここにいるんだよなぁ、その両方を満たす
そうと決まれば、不足分の拡張メモリーを研究所内から探し出し移植、OYSを使いこなして主人公たちの危機を助けに行く。
その時、
—————ガシャン
「……………? なんの音だ?」
—————ダダダダダダダダ!!
発砲!? ここには俺以外生存者はいないはず!!
有り余るA37時代の経験値の貯蓄を使ってそれを躱し、下手人を見る。
「……………そういやぁ、お前がいたか」
「悪いけど、スクラップにしてやるよ」
冷や汗が背筋を撫で、違和感に身を震わせる。
手入れの行き届いた鈍い輝きの先端を向け、引き金を絞る。
ここで、終わるわけにはいかない。
シガータイムは、まだ遠いとしても。
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帝国軍が設計、開発し実現した無人ロボットであり、主に生物の名を与えられ、ラベリングされている。マウス、スコーピオン、ワームなどが発見されている。
Dr.フォードボルト
幻想少女プロジェクトの第一人者であり、Licaシリーズを生み出した張本人。その素性は謎に包まれており、共和国産のコーヒーを愛用していたことが資料に残っている(書類にこぼされてしみになっていたコーヒーの成分からの情報)
フォードボルトの遺産と呼ばれるアーティファクトを残しており、適合者が現れれば兵器として活用される。なお、フォードボルトは兵器を作成することを嫌っており、「自分はいずれ地獄に落ちる」が口癖だった。何を思って遺産を残したのか、全てが謎である。
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