第12話 ゴーレムバズーカーで草


 流石に素人ばかりな上、タイタンとの戦闘は負けイベだからな。

 撤退一択かと思うと土魔法で地面から岩石が生じたことで入り口が塞がれた。

 操作は下手だが威力は鎧を燃焼するくらいには強いロマンナの加護の炎でどうにかならないだろうか。


「ロマンナ、あの岩石燃やせるか?」


「あれくらいなんてことないわ!」


 こっちから使うなと釘を刺していたので反発があるかと思ったが素直にいうことを聞いた。

 好戦的な奴なのでなんか違和感があるな。

 実力で負けたので活躍の面で俺に勝とうというところだろうか。

 まあなんにせよ素直に言うことを聞いてくれたのは僥倖だ。

 ロマンナの周りで発生した加護の炎が燃え伸びると岩石を燃え上がらせる。


『あッ!?』


『岩がまた!』『出ようとしてもあれじゃ出られなくね』『閉じ込められたってこと』『ステラさっきみたいにどうにかできないのかよ』『さっきみたいなのはちょっと……』


 あっという間に岩石が溶けて無くなったと思うとまたすぐに補填され一同がどよめく。

 意地でも入り口を塞ぐ所存らしい。

 聖女と主人公のラブパワーで発動する超威力攻撃しか止めをさせないが戦うしかないよな。

 とりま他のメンツは初見しかいないので死ぬ確率がデカすぎるので単騎で行くか。


「皆はここで一旦待っててくれ。あのデカブツがどうにかできないか試してみる」


 一言言ってからタイタンのもとに向かう。

 こちらを敵と認識したようで、タイタンが共にいるアイアンゴーレムと共に進み来る。

 周りのアイアンゴーレムはタイタンの攻撃に巻き込まれて、勝手に消えるので対処は攻撃を避けるのみに留めてタイタンへの攻撃を優先する。

 開幕の攻撃のパターンはわかっているのでタイタンが拳を突き出すと同時に横に避けて装甲の薄い関節──肘を腰に備え付けてある剣で居合いの要領で取り出しと同時に勢いをつけて斬りつける。

 刃を関節にめり込ませることができたので中級火魔法の「大爆発」で爆発させて破壊がてら剣を脱出させる。

 これで身動きがしづらくなればいいんだがと思って確認するとタイタンの肘から先がなくなっていた。


『すげえ!!』『片腕を一発で落としやがった!』


 こいつは再生するのでそのうち元通りだが、これでしばらくは片手での攻撃しか出来なくなった。

 タイタンは近距離で攻撃を受けるのは脅威と見たのか、ヒップドロップで地震を起こして引き離しにかかって来るのでジャンプして避ける。

 前世で攻撃パターンは把握しているので範囲攻撃とて避けることは難しくない。


「今のでアイアンゴーレムは片付いたか」


 今のをモロに受けて吹っ飛んだアイアンゴーレムが天井に叩きつけられてから下に落下し、息絶える。

 一歩間違えたら俺もこれだからな。

 アイアンゴーレムの末路を見て、肝が冷えて来る。

 さっさと戦いを終わらせるためにも尻餅をついて投げ出されたタイタンの両膝を片腕と同じ要領で片方ずつ切りつけて大爆発で破断させる。

 念の為に左腕と頭も破断して完全なだるまにして身動きを封じる。


「ここからが問題だな」


 どうにかして再生して復帰する前にイベントで起こるような超威力の攻撃をして倒さなければならない。

 当たり前だが俺には単騎でそれを実現するようなものはないし、聖女であるステラもまだ回復しか使えないし、耐性が異様に高いのでロマンナの加護の炎も通用しないだろうし。

 冷静に考えるほど積んでるな。

 デカい杭打ち機のようなものがあればいけないことはないんだろうが、そんなものが即興で作れるわけがない。

 何かないかと周りを見るとアイアンゴーレムの骸だけが目に飛び込んでくる。

 無理じゃねえかと思うとアイアンゴーレムをワンチャン杭代りにできないかと思うとアバウトなアイデアが頭の中に浮かんできた。

 お粗末すぎるがこれを試して見るか。


「ちょっと皆協力してくれるか? 四人は砲身を固定する係で、ステラは銃身が崩壊するのを回復で防ぐ係、ロマンナは撃鉄を下す係で」


 砲身を四体のアイアンゴーレムを四方に配置することで構成し隙間を土魔法の土で埋めて作ると周りを四人で押さえつけて、中にアイアンゴーレムを装填するとステラが持続する回復をかけ、ロマンナが権能の炎を応用して爆発を起こすとアイアンゴーレムをタイタンに向けて発射される。


「意外にいけたな」


 ダメもとだったが割といい感じに決まり、タイタンの胸にアイアンゴーレムがめり込んだ。

 タイタンは生き絶えたようで前のめりに倒れ、入り口を塞いでいた岩石が消えた。



   ───


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