第13話 神が降臨しててワロタ
『貴重な素材だし、俺の剣と一緒に再生させてくれるか』
シドがそう促すとステラがアイアンゴーレムの死骸と剣を再生させ始めた。
衝撃的な光景にロマンナは自分の目を疑う。
夢といった方がまだ信憑性がある。
普通神聖術では人以外のものは再生できないし、その再生の神聖術とって大掛かりな儀式を取り行わないと碌な効能を発揮しない。
だと言うのに目の前のステラは息は吐くような気軽さで無機物にまで及ぶ再生を行使している。
他人とは違う異能──加護を持つロマンナにしても異質なものに見えた。
人以外にも再生を行使できるということは戦いによって失われた自然や荒れ果てた土地さえも再生することができるし、消費されたものもカケラさえあれば元通りに戻せるということだ。
神に等しい力を持っていると言っても過言ではない。
魂までも戻せる力があるというのなら最悪ステラだけ残れば人族はいくらでもやり直すことができる。
確かにこんな力があるのならば神に祝福された者と言われる聖女の中でもシドに“
知れば知るほどステラが本物だと認めざるを得ない。
罷免されてこれと正面から対比されることがなかっただけでもマシではないかと思えてきた。
そうしてステラの実力を認めていくと不思議とシドの存在感が増していく。
この人間は一体何なのか。
普通大隊を組んで倒すような地下迷宮のボスを単騎で戦闘不能に追い込み、見たことのない技術体系の武器を即興で作成し止めを刺した。
明らかにもう常人とは思えない。
これが普通の人間ならば魔族など敵にもならずに蹴散らしているだろう。
神がかり的な強さに神に祝福されているとしか思えない本物の聖女を連れているところを思うと神──エリスその人と言われた方が納得できる。
と言うよりも素手で鎧倒してることを考えればエリスとしか思えない。
『素材も元通りにできたな。ボスも倒したしせっかくだし、奥に行くか』
『いいな』『倒すだけ倒して何もなしは世知辛すぎるしね』『お宝取りに行くってことよね。そうよね』『億万長者か』『奥から何か感じます』
そんなことを考えているとシドの提案により、ダンジョンの奥に進むことが決定した。
地下迷宮でボスを倒した後といえば、ご褒美のお宝なので士気は高くドンドンと進み始めた。
『最初ツンケンしてたくせに素直じゃん』
共に進んでいくと横にいる奴──ロイドがロマンナに話しかけてくる。
腹の立つ言い方にイラッとする。
「素直? 私はガンダイン様から言われたからそうしてるだけよ」
『まあまあ図星だからってまたそんなツンケンしなくても』
「燃やすわよこのクズ」
『ああ、ロイドは悪気はないから許して上げてよ。こいつデリカシーないだけだから』
本気で燃やそうかと思い、気迫でロイドの顔面を蒼白にさせると横からニナが取りなし始めた。
『要は息があって来て仲間の一人ぽくなってきた言いたいだけだから。ただ仲良くなりたいだけなのよ』
「仲間……」
確かにシド──エリス様のことを人間だと勘違いしていた先ほどは自分より判断が早かったために自然と従っていただけでそれは仲間の一員として動こうという心がけからではない。
自分が仲間になろうとするなど断固として認められない。
それではまるで聖女から落ちぶれて頼る人がいなくなったから全力で擦り寄っている惨めな奴ではないか。
実際理性では擦り寄った方がいいのはわかっているがその現実をありのまま受け入れるのはロマンナにはあまりにも残酷すぎたため否定する。
「とんでもないわね。私はあなたたちと同類じゃないわ」
『わかりやすいなあ』
「何がよ!」
キッパリと断ったつもりだったが断り方が図星なのを必死に誤魔化す人のそれだったし、一度仲違いしたままそれきりというのがどうも嫌いだったニナは一時的とはいえ仲間として受け入れて仲直りしたことにしたかったので肯定として受け取った。
『そろそろだな』
ニナにロマンナがわからせられると宝のある場所まで辿り着いたようでシドが声を上げた。
「エリス様……」
神々しく光り輝く白い鎧が佇んでいるのが見えた。
その神気から神に類するものだと察すると鎧の目が起動したように青く光った。
───
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