第11話 実弾兵装
実弾兵装。
ロボットものではよくあるマシンガンとかの火薬で弾丸をぶっ飛ばすタイプの兵装だ。
このギャルゲ「ヒロイックキングダム」の世界はファンタジーものなので本来ならばそんなものはない。
だが前魔王を安全に攻略するために作ることにした。
前魔王は二重バリア──物理でしか崩せないバリアと魔法でしか崩せないバリア貼る厄介な加護持っているため、正攻法で行くと前魔王の魔法の弾幕を掻い潜って物理攻撃を行って一段目のバリアを壊した後、魔法も発動して二段目のバリアを壊さなければならないのだ。
当たり前だがこんなことをやっている間に前魔王の反撃を受けることになる。
主人公たちの乗る神鎧なら耐えられるだろうが俺たちの鎧では一発でスクラップになることは想像に難くない。
だからこそバリアを破壊する威力のある遠距離物理攻撃手段──銃が必要なのだ。
銃があれば一段目のバリアを弾幕に晒されずに壊せる上、二段目を壊したらそのまま攻撃に使って前魔王を蜂の巣にできて美味いことだらけだ。
今回の前魔王攻略のマストアイテムと言ってもいいだろう。
元々工房で作成しようと思っていたが、すでに開発に取り掛かっているのは僥倖だった。
ゲームでは出て来てないことから察するにあのまま行けば銃身の問題でお蔵入りになっていただろうし、まだ集められた素材が鎧の素材に転用される前で良かった。
素材を集めるのに時間がかかるでもなしにアイアンゴーレムの素材を入手すればすぐに作れるからな。
先ほどステラが開けたアイアンゴーレムが主に出現するダンジョン「神下ろしの神殿」の中を団体で進んでいく。
本来は中盤に来る聖女の専用鎧──神鎧「サンクトゥス」の解放を行えるイベントダンジョンだが、主人公とのイベントをこなさないと神鎧は解放されないため今回はアイアンゴーレムの素材を取ったら帰るつもりだ。
「一体お出ましだな」
中盤の主人公のパーティが三人でフルパなのに対してこっちは七人だし、一体など敵にもならないだろう。
量産鎧なので主人公たちの乗る専用鎧──神鎧よりは性能が低いとはいえ、数揃っているし、装備固定もされていないからな。
「打撃が弱点だ。叩いていけば中のコアが揺れて割れる。俺が惹き付けておくから全員でひたすらに殴れ」
「「「「うす」」」」
全員に指示を送るとアイアンゴーレムの目の前に出て惹きつける。
基本的にアイアンゴーレムは攻撃されてもターゲットは変更されない。
なので一人惹きつける人間いればあとは叩き放題だ
ゲームではちょうど攻略時にメイス持ちの聖女が鎧なしということで出撃不能で主人公しか打撃手段を取れるキャラがいなかったのでヒロインたちに惹きつけるようにするが、ヒロインたちも惹きつけずに真正面から殴り合って死にそうになったりするので、分担しても問題が発生したが今回はそういう縛りがないからな。
そんなことを考えているうちに打撃──六人分の拳を一身に受け、あっという間にアイアンゴーレムが溶ける。
早いな。
十数えないくらいで倒せている。
ここの人数で持てるアイアンゴーレムの死骸の数は一人一体として七体がマックス。
上限まであと六体なのでうまくいければあと一分くらいでいけるだろう。
『げ、多くないか』『一体は楽勝だったけど三体はキツくない。私あんなの惹きつけられないんだけど』『わ、私も惹きつけます』
そう思っていると三体前からやってきて周りの奴らが浮き足立つ。
ゴツゴツしている分、三体来ると圧が強いからな。
ステラが悲壮な覚悟を決めているところ悪いが、攻撃パターンを把握していない状態で今日鎧の操縦を始めたばかりの人間が相手にできるとは思えないので、全て俺が惹きつけることにする。
「三体とも俺が惹きつけるから。近くにいる奴から六人で纏まって倒してくれ」
そう言うと迫ってくる三体のアイアンゴーレムの前に出る。
三体ともこっちにターゲットをとったようで顔をこっちに向けると迫ってくる。
端の一体の方にこちらも近づいていってもう一端の一体が攻撃しにくいようにすると接近した方の一体が殴りかかって来るので避ける。
避けた先でもう一体がジャンプして腕の振り下ろしを放って来るので転がって回避する。
三体に狙われているのでしょうがないが忙しないな。
あんまりアクロバティックに避けてもゴレームたちが動きすぎて他の連中が攻撃しづらいからこのまま行くか。
避け続け行くと一体のもとに六人が到着してタコ殴りにしてすぐ溶けた。
そこからは早く、残りの二体もすぐに解ける。
「これで四体だな」
事切れて倒れる三体を確認して計四体倒したのであと三体と思うと、二体のアイアンゴーレムと通路の幅と同じくらいの太陽の紋章の付けた一際大きい奴がきた。
あのデカい奴はここのボス──タイタンだ。
ボス部屋から出てこれるんだな。
ゲームではゲームシステム的にボス部屋に止まっているだけで、ゲームじゃないここではボス部屋──だだぴろい空間に止まる理由もないので出て彷徨っているところか。
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