第28話 テーブル②
「まぁまぁ、落ち着けって。これは俺とコイツとの話だ」
「だがな、こんなどこの出かも分からん、年端の行かない娘の言うことなんざ信じた後には……お前、終わるぞ」
「心配ありがとうよ、だけど俺には、コイツが金をだまし取ろうとか、俺を陥れてやろうとかいう悪意は感じられないんだ。だからまぁ、話だけでも聞こうじゃないか」
「はぁ、好きにしろ。もう俺には関係ない」
この酒場の中でも割とまともそうな、ガタイのいい男がケニルに丸め込まれ、酒場はこの二人のやり取りを聞こうとする客たちの静粛で包まれた。
「三つ質問があるけどいいか?」
「どうぞご自由になさってください。答えられる範囲であれば嘘偽りなく申し上げます」
「本当に船を借り上げるという、事の大きさを理解しているのか?」
「えぇもちろん」
「すまんな、こんなこと聞いて。あまり人を見かけで判断したくはなかったのだが、どうしてもな?」
「うふふ、問題ありませんわ。」
ケニルはガタイのいい男を説得させるような視線を送った後、もう一つの質問をリーシャに投げた。
「じゃあ次の質問、どれくらいの期間借りるつもりなのか?」
「最低でも一か月は借りたいわ。あとはあなたの判断に任せるけど、私の見立てでは、数年単位でこの契約が続く――いえ、あなたがこの契約を放棄するとは到底思えないわ」
「ほう、見かけによらず大きくでるな」
「大きくでる?これでもまだ踵をあげたくらいですけど」
「ははは、最後の質問だけど、資金はいつ支払う?」
リーシャは肝心な質問に、少し首をかしげて悩んだ、フリをした。
――資金はティアラを売れば、金貨100枚くらいはどうにでもなるとは思うけど、いつ売れるか。そこが肝心なのよね。適当な事は言えないし。
少したってからリーシャは、悩ましそうにつむんでいた口を開けた。
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