第20話 ギャンブル②
「女と勝負するなんて久しぶりだなーおい!!おい女、賭け事とかやったことあるんか?見たところあんまり場数踏んでないように見えるが?」
「初めてですが……」
「はっはっは、初めてと来たか!!何がお前をここへ馳せさせようとさせたのか?」
――ライズが行ってきてもいいと言ったからなんて言えないしなぁ
「まぁ、お金に困ってまして……」
「はっはっは!!女が金に困ると来たか、まぁええが。もちろん金は持っているんだろうな」
「えぇ」
「じゃあ始めるとするが、っと言いたいところだが、初心者の女には一対一の方がよかろう、勝つか負けるかただそれだけ。複数人でやると、人数によって勝ち負けの配分が変わるという心理戦みたいなものがあるからな」
「裏か表かを当てるだけでいいのです?」
「もちろん、どちらかを当てればお前の勝ちだ。ついでに裏か表かもお前が決めていい。あーっと、相手は誰にするかだが」
ガタイのいい男は、誰かを探すように酒場の中を軽く見渡し、一人の青年に目をつけると、彼がうなだれている様に座っている席へと歩いていく。
「おい、小僧。もう出来上がってんのか?毎回毎回、記憶がなくなるまで酔っ払いやがって!!」
「ん?あーいやぁ…………」
ほぼ机に突っ伏している青年の襟を、首根っこを掴むように軽々と持ち上げると、リーシャたちが囲む円卓へと、無理やり連れてこられた。
「コイントスの勝負に小僧をご指名だから、早くしろ」
「いや、もう僕無理ですぅ……」
「無理もくそもお前は金出すだけでいいんだから、適当に椅子でも座ってらぁ!!船長のクセして、海には酔わずして酒には酔いあがって。この親の七光りめ」
ガタイのいい男は青年の頬を軽く引っぱたくと、投げるように椅子に座らせた。
「おい女!!待たせたな。相手はこいつでいいか?いいならさっさと掛ける金を出せ。こいつの意識があるうちにな」
「はい」
リーシャがポケットからお金を出そうとした瞬間、青年の目に正気がやどり、うなだれていた顔をあげた。
「女!?こんな酒臭い賭場に女!?女はどこかい?君か?それとも君か?」
「えぇ私ですが」
青年はリーシャの返事を聞き、素早く椅子から立ち上がると、彼女の隣に一瞬で向かい、顔を隠すように纏っている黒いローブのフードをまくり上げた。
「これはお可愛い女性で。それとこの赤い髪、とても美しい。この世の物とは思えないほどに」
「えぇ…………」
自身の薄赤い髪の毛を、酔っ払いの青年に触られ困り果ている彼女に、助け舟を出すように、隣にライズがやってきた。
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