第12話 中学一年の頃のちんこ②

中学生になってから、人生で初めての「定期テスト」というものがやってきた。小学校でのテストといえば、その場の授業の理解度を確認するための軽いものだった。授業中に習った内容がそのまま出題されて、勉強というほどの準備も必要なかった。

でも、中学校のテストは違うと噂で聞いていた。範囲が広く、内容も難しい。


僕は初めての本格的なテスト勉強に取り組むことになった。でも、夜になっても勉強に集中できない。

気づけば、何か妙な感覚に襲われていた。

勉強に集中しようとすると、ちんこが勝手に勃起し始めるのだ。

何とも言えないムズムズした感覚がちんこから溢れ出してくる。その衝動は勉強しようとする度に湧き上がってきた。当時はまだオナニーというものを知らなかったから、その欲求を抑えようとしても無駄だった。


教科書の文字を追おうとしても、理性で抑え込もうとしても、ちんこのムズムズした感覚は意識すればするほど強くなっていく。勉強しなければいけないと頭では分かっているのに、この落ち着かない衝動を制御できずに、ただただ不安な気持ちになっていった。


ついに我慢の限界を迎え、僕はちんこに手を伸ばした。椅子に座ったまま、そっとズボンのファスナーを下ろすと、待ちきれないように硬く勃起したちんこが顔を出した。

目の前に現れたそれは、かつて小学生だった頃のちんことは明らかに違う。

今の僕のちんこは、力強く、大きく、そして明確に自己主張していた。

太く張り詰めたそれには血管が浮き出ていて、亀頭は完全に露出している。その姿は溢れんばかりのちんこの変化を見せつけているようだった。

そしてその変化は、僕のちんこが確実に変わりつつあることを突きつけてきた。

小学生のときに勃起していても、ただ少し長くなるくらいで大きな変化はなかった。そして、今感じているようなムラムラした感覚がちんこから湧き出してくることもなかった。


だけど、ちんこの根元の肌はまだツルツルで滑らかで、そこにはまだ「ちん毛」というものが生えていない。この未完成さが「子供」と「大人」の間で揺れる自分そのものを象徴しているようだった。


恐る恐る、手で握ってみた。その瞬間、じんわりとした温かい感覚が手のひらに伝わり、なんとも言えない不思議な快感が身体を駆け巡った。でも、次にどうすればいいのか全くわからない。ただ握りしめたまま、どうにもならない衝動と戸惑いに揺れるばかりだった。


そのとき、ふと「いけない、勉強しなきゃ」と頭の片隅で気づく。でも、ちんこから湧き上がるムズムズした感覚は簡単に消えてはくれない。頭ではわかっているのに、どうしてもその衝動を無視することができない。ちんこを出したり触ったりしているうちに、いつの間にか机に向かう集中力は完全に消え去ってしまっていた。

僕はオナニーという行為を知るまで、こんなふうに性的な欲求に振り回される日々を過ごすことになるのだった。


-----


ある日、ふとした流れで友人たちとちんこを見せ合う場面に遭遇した。きっかけは、ひとりの友人が放った軽い一言だった。

「お前のちんこ見せろよ!」

彼は笑いながらそう言うと、自分のズボンとパンツをためらいもなく下ろした。

「俺のちんこ見せるから」と堂々と宣言し、目の前で小さなちんこを晒す彼。

そのちんこは、まさに子供の象徴そのものだった。つるつるで、まだちん毛は一本も生えていない。細くて小さな円錐形のちんこは、滑らかな包皮に包まれて、未成熟な印象をそのまま残していた。

先端部分の包皮はぎゅっと締まっており内部を見ることはできない。その姿からにじみ出る幼さが、彼自身の無邪気さや子供らしさを象徴しているように思えた。


次に、少し躊躇していたもう一人の友人が、観念したようにズボンとパンツをずらした。そこに現れたのは、さっきとはまるで対照的な姿だった。下腹部にはすでに立派なちん毛が密集しており、そのちんこ自体も太く、一回り以上大きい。同じ年齢のはずなのに、もう完全に「大人」のちんこだ。


小学校の頃は、この二人は同じように子供のちんこをしていたはずだ。それが今では、こうも違う。

並ぶ二人のちんこは、同級生なのに、「大人」と「子供」のようだった。


そして、そんな彼らを目の当たりにする中で、自然に僕も自分自身のちんこを意識せざるを得なくなった。

僕のちんこは、まだちん毛こそ生えていなかったけれど、大きさや形が小学生の頃とは明らかに変わってきていた。

友人のように無邪気な子供らしさを保てていない。僕は過去の「子供らしさ」をどんどん失っていっているように感じていた。


毎日お風呂の時に見る自分のちんこにはまだちん毛が生えていない。でも、いつか突然、当たり前のようにちん毛が生えてくるんだろう。そして、いつのまにか、友人のようにもじゃもじゃのちん毛が当たり前のように生えてしまっているんだろう。そして、今こうして感じている違和感や不安も、きっと忘れてしまうんだろう。


それは、幼い頃に大事にしていたおもちゃと同じだ。当時は毎日一緒に遊び、寝るときも手放さなかった。「これがなきゃダメだ」と思っていたはずのそれも、いつの間にか押し入れの奥で埃をかぶった存在になってしまった。たまに見つけても、「ああ、こんなのあったな」と思うだけで、特別な感情は湧いてこない。そんなふうに思うのかもしれない。


-----


僕は中学一年生の終わり頃まで、射精を経験したことがなかった。

ちんこがムズムズするあの独特な感覚は何度も味わっていたけれど、それをどうやって解消すればいいのか全くわからなかった。どうにかしてオナニーという行為をやり遂げたいと思い、何度も試してみたけれど、コツも方法も掴めず、結局先に進めないままだった。


亀頭を手のひらで擦ってみる。確かに気持ち良さは感じる。でもその感覚がどんどん盛り上がっていくというわけではなく、どこかで止まってしまう。手でちんこを揺らしてみたり、少し力を変えてみたりと工夫を凝らしてみても、結局その先の未知の感覚には辿り着けなかった。「これでいいはずだ」と思っても、結果はいつも同じだった。まるで目の前に分厚い壁が立ちはだかっているようで、その壁をどう攻略すればいいのかわからないまま、また同じ場所に戻ってしまう。


初めてのことだから、どう対応していいのか全然見当がつかない。誰かに聞くこともできないし、答えが書いてあるような本もない。だから僕は、お風呂場で思いつく限りの方法を試してみた。お湯で温めたり、石鹸を使って滑りを良くしてみたり、少し強めに握ってみたり。だけど、それでも答えは見つからなかった。ただ、ムズムズとした感覚だけが残り、どうしたらいいのか分からないまま時間が過ぎていった。


そして、中学一年生の冬のある日、風呂場で身体を洗っていると、いつものようにちんこが勃起してきた。もう慣れっこになっていたその現象に、特に驚くこともなく手で握る。ただ、それ以上に進むことはこれまで一度もなかった。どうやっても途中で止まってしまうのが僕のいつものパターンだった。


しかし、この時は少し違っていた。ふとした拍子に手が握ったまま上下に動いた瞬間、なんだか今までと違う感覚が体を走った。


「もしかして……」と思い、そのままもう一度試してみる。手でちんこを握りしめて、ゆっくり上下に動かしてみた。すると、これまでの努力が嘘のように、気持ち良さがじんわりと出てきた。新しい感覚が体中に広がる。

驚きながらも、手を止めずに続けてみた。

動きを繰り返すうちに、その感覚はどんどん強くなっていった。手の動きも自然と速くなる。気持ち良さが積み重なり、何か大きな波が近づいてくるような予感がした。ちんこは今まで以上に硬くなり、まるで体全体がその瞬間に集中しているようだった。


そして、突然、脳天に雷が撃ち抜かれたような衝撃が走った。思わず目を見開き、全身が震えた。初めての快感に飲み込まれ、頭の中が真っ白になる。その瞬間、ちんこから「ぴゅっ」という音が聞こえそうな勢いで液体が飛び出した。

言葉にできないほどの快感だった。これまで知らなかった感情と体験が、一気に僕を飲み込んでいった。頭が真っ白になり、浮遊しているような気分だった。ただただ、「気持ちいい」ということしか感じられない。

ようやく落ち着きを取り戻して手を見ると、そこには白い粘液がついていた。指でそっと触れると、それはネバネバしていて、糸を引いた。自分のちんこからこんなものが出たなんて、信じられなかった。そして、今まで自分を苦しめていたムズムズした感覚が消え去ったことに気づく。


こうして僕のちんこは、この瞬間、生殖器となった。

13年間生きてきて、僕はずっと性的快感というものを知らなかった。

これまでの僕にとって、ちんこはおしっこをするための器官でしかなかった。


今までは、女の子に対して抱く感情も純粋だった。一緒に遊ぶことが楽しい、話をして笑い合いたい、もっと仲良くなりたい、そういった無邪気な気持ちだけだった。


でも、射精を経験した今、その感覚は変わってしまった。女の子と仲良くなりたいと思う気持ちのどこかに、「セックスしてみたい」という欲望が入り込んでいるのだ。あそこに自分のちんこを入れてみたい、そんなことを考えるようになっていたのだ。


もう無垢だった子供には戻れない。あの頃の無邪気な視点からは、もう世界を見ることができなくなったのだ。

自分がもう子どもではなくなったことをはっきりと感じた。これまで透き通っていた気持ちや世界に、どうしようもなく汚れた何かが混じり込んでしまった感覚だった。


あの日までの僕は子どもだった。

それがたった一度の、初めての射精で一変した。性的な快感を得たことで、子どもであることが終わりを迎えたように思えた。どこか純粋だった自分を壊してしまったような感覚が拭えなかった。


-----


僕は初めてオナニーを経験してからというもの、ほぼ毎日するようになった。それまで蓄積されていた性欲が、一気に解放されてしまったような感じだ。今まで知らなかった快感を一度味わってしまうと、その心地よさを求める衝動を止めることができなかった。


一日でもオナニーをしないと、なんだか体の中でムラムラが溜まっていく感覚に襲われる。何かをしていないと落ち着かないような、そわそわした気持ちになる。授業中に先生が問題を解説している最中にも、そのムラムラが頭をちらつく。家族と一緒に晩ご飯を食べている時でさえ、ふと頭の片隅にあの快感の記憶が蘇ってしまうことがあった。


思えば、オナニーを知らなかった頃の自分が、まるで別人だったように思える。どうしてあの頃は、このムラムラした感覚を我慢できていたのだろう。今の僕には到底わからない。


「もうこれで最後にしよう」と何度も心に決めているはずなのに、気がつくとまたムラムラに負けて、ちんこを握っている。あの快感をもう一度味わいたいという欲望が、どうしても抑えられない。

射精の瞬間を迎えるたびに、僕は自分が「変わってしまった」ことを感じながらも、どうしようもなくその快楽に取り込まれていった。

ただ、何度もオナニーをしているけれど、精液はまだ少量しか出ないという身体の未発達な部分はあった。


-----


中学一年生の終わりを迎える頃、僕のちんこは明らかに成長していた。

見た目はすっかり大人にだいぶ近づいていた。


明らかに太さが増し、形も変わってきていた。

根元から先端にかけてずっしりとした円柱のようになり、その先端部分は特に膨らんで見えた。これは小学生の時のちんこにはない特徴だ。

その膨らみは亀頭で、まだ完全には露出していないものの、皮がそのほとんどを覆っていた。

中学生になってから、この亀頭が成長したことで先端の膨らみがはっきり目立つようになってきていた。

そして、ちんこの先端の皮の隙間からは、亀頭の一部がわずかに顔を覗かせていた。今までは全くそんなものは見られなかった。

けれど、今では皮が亀頭の成長に押されるように広がり、中を見せるようになっていた。


小学生の時の細く小さなちんこからは変わり、確かに僕のちんこは大人に近づいてきていた。

でも、そのちんこの周りはまだツルツルのままで、ちん毛が生え始める気配すらなかった。これは、どこかまだ自分が子供が残っているように見せていた。

でも、そんな状態も長くは続かないんだろうと、漠然と感じていた。

最初は、ふとした瞬間に、ほんのうっすらと毛が生え始めているのに気づくのだろう。それが日を追うごとに濃くなり、気づけばもじゃもじゃにちんこの周りを覆うようになっているのだろう。


僕は中学一年生になって人生で初めて射精という経験をした。

その瞬間は、僕にとって一つの大きな転換点だったように思う。


振り返れば、つい一年前、僕は小学六年生だった。ランドセルを背負い、小学校へ通っていた。

その頃の自分が、まさかたった一年後に自分のちんこから精子が出る日が来るなんて、想像すらできなかっただろう。


二年前、小学五年生だった頃の僕は、もっと幼かった。一人でできることも少なく、親に頼ったり甘えたりするのが当たり前の毎日だった。その頃の僕のちんこは小さく、性的なことへの意識は全くなかった。

そんな小学生だった自分が、たった二年後には自分のちんこが大人のように成長して、精子を出せるようになるなんて、想像することもできなかっただろう。


八年前、幼稚園児だった頃の僕は、天真爛漫で、無垢そのものだった。

粘土遊びに夢中になり、指先を泥だらけにしながら、心の底から楽しんでいた。

お遊戯会では何も考えず、大きな声で歌っていた。

先生に絵本を読んでもらう時間は単純な物語に没頭出来た。

その時の僕は天真爛漫さと無垢な心 を持っていた。そして、僕のちんこは幼く、小さな睾丸には精子が存在しなかった。

そんな僕が、たった八年後の今、ちんこは成長し、肥大した睾丸には精子が作られるようになっている。

性的快感を求めてオナニーをして射精をするようになり、さらに女の人の中に自分のちんこを挿入し、精液を出したいと考えている。

あの頃の僕にはまったく理解できないし、想像すらできなかっただろう。


でも、こうした変化は僕だけじゃない。

幼稚園の頃、クラスには「スーパーマンになる」と本気で信じ込んでいた男の子がいた。毎日のようにタオルを背中にくくりつけ、園庭を走り回っていた。腕を大きく広げ、「飛べるようになるまで練習するんだ」と信じて疑わなかった。その姿は、まさに子供の純粋さそのものだった。

その彼も、今では大きく変わっていた。

夏前のプールの授業、着替えの時に僕は偶然彼の体を目にした。さらに、休み時間に彼がオナニーの話をしているのを耳にした。

あのスーパーマンになりたがっていた純粋な子供のちんこには、ちん毛が生え、性欲に突き動かされてオナニーをし、射精をしているのだろう。

スーパーマンになる夢を持っていた純粋な子供が、今では毎晩のように自分のちんこを握り、オナニーをして射精をしているのだろう。

あの頃、空を飛ぶために誇らしげに広げていた手で、今は性的快感を求めてちんこを握っているのだ。


-----


僕は中学一年になったばかりの頃は、まだまだ子供だった。性的なことなんて頭の片隅にもなく、小学生の頃の延長で遊びのことばかり考えていた。でも、中学一年の終わりが近づくにつれて、気づけば頭の中はオナニーや性的なことばかりになっていた。


僕は中学生になり、気づけば子供らしさを手放していた。そしてこれから、僕はさらに変わっていくだろう。

無邪気だった頃の記憶は年々薄れていき、こうして性欲に支配される時間が増えていくのかもしれない。僕の中学生活はまだ続いていくけれど、その間にいろいろな変化を経験しながら、少しずつ子供の頃の自分とは遠ざかっていくのだった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る