第19話 静けさの中の決意

嵐を乗り越え、無事に港へ戻った雅史、玲奈、大介の三人は、カフェ「パッタイ・タイムズ」に帰還していた。久しぶりに感じる平和な日常。だが、その静けさは、次に待ち受ける戦いの予感とともに、どこか落ち着かないものだった。


雅史はカウンターに座り、紅茶を淹れながら玲奈の話を聞いていた。

「ゼロ地点という場所…まだ具体的な情報は少ないけど、ノーパンティがすべてを賭けている計画の中心地である可能性が高いわ。」


玲奈がタブレットを操作しながら言葉を続ける。

「ただ、その場所は一般の地図には載っていない。衛星写真を解析しても、何か特殊な遮蔽物で隠されているみたい。」


雅史は紅茶を一口飲み、土鍋を軽く叩いた。

「つまり、そいつが奴らの最後の砦だな。それを叩けば、ノーパンティも終わりだ。」


大介が窓際に立ちながら、ふと呟く。

「だが、その砦を攻めるのは相当な覚悟がいるぞ。向こうは準備万端だろうし、何が待ち受けてるかも分からねえ。」


玲奈が不安そうな表情を浮かべる。

「そうよ…今度の戦いは、今までとは違うかもしれない。」


雅史は少し微笑みながら答えた。

「確かに厳しいだろう。でも、俺たちがこれまでやってきたことを考えれば、乗り越えられないわけがない。」


その夜、カフェの営業を終えた雅史は、店内で土鍋の手入れをしていた。土鍋の表面にある小さな傷跡に触れながら、静かに呟く。

「これまでお前と一緒にいくつもの戦いを越えてきた。次が最後の大一番かもしれないな。」


玲奈がその様子を見て声をかける。

「どうしてそこまでパンティを守ることにこだわるの?」


雅史は少し考え込んだ後、答える。

「俺にとってパンティは、ただの物じゃない。自由と尊厳の象徴みたいなもんだ。ノーパンティがやろうとしていることは、それを奪う行為だろう?」


玲奈は目を伏せながら小さく頷いた。

「そうね…。彼らがやっていることは、人の選択肢を奪い、自由を消し去ることだもの。」


雅史は微笑みながら土鍋を背負い直した。

「俺はただ、守りたいものを守る。それだけさ。」


一方、ノーパンティの残党たちは、ゼロ地点で次なる計画を進めていた。グリーヴァス卿が施設内の巨大モニターを見上げ、冷たく笑みを浮かべる。

「奴らがゼロ地点に近づくのも時間の問題だ。しかし、ここで迎え撃てば我々の勝利は確実だ。」


部下が緊張した面持ちで尋ねる。

「すべての準備は整っていますが、もし彼らがここに到達した場合、我々に勝ち目は…?」


グリーヴァス卿はその問いに答えず、モニターに表示されたパンティ破壊プログラムのカウントダウンを指さした。

「これが完成すれば、奴らが何をしようと無駄だ。」


夜が更け、カフェの灯りが静かに消える中、雅史たちは次なる戦いに向けて休息を取っていた。だが、その胸にはそれぞれの覚悟が秘められている。


雅史は心の中で呟く。

「次で終わりにしよう。この土鍋とパッタイで、必ず奴らを止めてみせる。」


次なる戦いが、彼らにとって最も過酷な試練となることを知りながら、三人は静かに夜を迎えた――。


(第19話 終わり)

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