第15話 孤島への出発、決戦への序章
翌朝、カフェ「パッタイ・タイムズ」の店内は静かな緊張感に包まれていた。雅史、玲奈、大介の三人は、孤島にあるノーパンティの新たな本拠地への作戦準備を進めていた。
玲奈がタブレットを操作しながら説明する。
「この孤島は、周囲が険しい岩場に囲まれているから、正規のルートでは近づけない。船を使う必要があるけど、海域にも警備が張り巡らされているわ。」
大介が地図を見ながら提案する。
「なら、夜に行動するしかないな。暗闇ならこっそり近づける。」
雅史は静かに土鍋を背負い直し、力強く言った。
「それでいい。俺たちの目的はただ一つ、パンティを守り、奴らの計画を完全に潰すことだ。」
玲奈と大介が頷き、三人は準備を整えるためにそれぞれの役割を確認した。
その夜、三人は小型のボートに乗り込み、孤島に向かって出発した。月明かりが波に反射し、不気味な静けさが漂っている。玲奈が警戒しながら海域の地図を見ていると、大介が声を潜めて言った。
「どうやら警備艇が巡回してるらしい。見つかれば一発でアウトだ。」
雅史は土鍋を抱えながら軽く笑った。
「大丈夫だ。静かにやり過ごせばいい。」
しかし、島の近くまで進んだとき、突如としてサーチライトがボートを照らした。警備艇の警報が鳴り響き、拡声器から怒鳴り声が聞こえる。
「不審船発見!即刻停止せよ!」
玲奈が驚いて声を上げる。
「どうするの!?これじゃ捕まる!」
雅史は落ち着いてボートのエンジンを切り、静かに言った。
「玲奈、大介。俺が注意を引く。お前たちはその隙に島に上陸しろ。」
大介が少し焦った表情で答える。
「おいおい、一人で大丈夫かよ?」
雅史は土鍋を抱えてボートから身を乗り出した。
「土鍋とパッタイがあれば何とかなるさ。信じろ。」
雅史は警備艇の目の前に立ち、堂々と手を上げた。
「おいおい、そんなに大騒ぎするな。俺はただの漂流者だ。」
警備員たちが戸惑いながら武器を構える中、雅史は背中の土鍋を開き、ゆっくりとパッタイを作り始めた。
「ちょっと腹が減っててな、パッタイでも作ろうと思ってたところだ。」
その香りが漂い始めると、警備員たちは困惑した表情を浮かべた。
「何をやっている…?ただの料理人か?」
雅史はパッタイを一口食べると、身体に力がみなぎり、警備員たちの動きを一瞬で見切る。
「さて、少しだけお相手してやるか。」
素早い動きで警備艇に突進し、土鍋を盾にして武器を弾き飛ばす。次々と襲いかかる警備員たちを圧倒し、その間に玲奈と大介は島へと無事に上陸することに成功した。
雅史も警備艇を無力化し、ボートで島にたどり着いた。玲奈が駆け寄る。
「無事だったの!?本当にすごい…!」
雅史は土鍋を背負い直し、満足そうに笑った。
「パッタイの力だ。これがある限り、俺は負けない。」
三人は静かに島の内部へと足を踏み入れた。木々の間を進むと、巨大な施設が姿を現す。玲奈が地図を確認しながら言った。
「これがノーパンティの新たな本拠地…。見た感じ、規模が全然違うわ。」
大介が不敵な笑みを浮かべる。
「いいじゃねえか、燃えてくるな。」
雅史は施設を見上げ、静かに呟いた。
「これが最後の決戦だ。パンティを守るため、全力で行くぞ。」
三人の戦いは新たな段階に突入しようとしていた――。
(第15話 終わり)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます