第11話 新たな仲間、意外な協力者

翌朝、カフェ「パッタイ・タイムズ」には穏やかな日差しが差し込んでいた。雅史と玲奈がカウンターで紅茶を飲みながら次の作戦を話し合っていると、店のベルが鳴った。


「いらっしゃいませ。」

いつものように穏やかな声で雅史が迎えるが、ドアから入ってきたのは、予想外の人物だった。


「おいおい、久しぶりじゃねえか、泰雅史。」

現れたのは、スーツ姿に派手なサングラスをかけた男だった。体格は細身だが鋭い目つきで、どこか危険な香りを漂わせている。


「…お前は、小早川大介か。」

雅史は驚いた表情を見せたが、すぐに表情を引き締めた。


小早川大介は、かつて雅史と同じエージェントチームで働いていた男だった。しかし、目的のためには手段を選ばない危険な行動が問題視され、チームを離れていた。


玲奈が不安そうに尋ねる。

「この人は誰なの?」


雅史は少しためらいながら答える。

「昔の同僚だよ。ただ、こいつは俺と違って、手段を選ばないタイプでな…。」


大介は軽く肩をすくめ、笑いながら言った。

「そんな古い話を蒸し返すなよ。それより、今日はいい情報を持ってきたんだ。」


玲奈が警戒しながら問いかける。

「いい情報って?」


大介はスーツの内ポケットから一枚の写真を取り出した。それは、ノーパンティの幹部が秘密裏に集まっているらしい施設の航空写真だった。


「この場所は、ノーパンティの幹部たちが定期的に集まる“会議所”だ。そこに潜入すれば、奴らの次の計画を潰す手がかりが得られる。」


雅史はその写真をじっと見つめた後、静かに答えた。

「お前が急にこんな情報を持ってくるなんて怪しいな。何が狙いだ?」


大介は少し笑みを浮かべ、真剣な声で答えた。

「俺だってパンティがこの世から消えるなんて御免だ。だからお前に協力してやるよ。ただし、俺が動く以上、俺のやり方でやらせてもらう。」


玲奈は不安そうな表情を浮かべたが、雅史は土鍋を背負い直し、決意を込めた目で答えた。

「分かった。ただし、俺の仲間に危害を加えるようなことがあれば、容赦しないぞ。」


「へえ、昔と変わらねえな。相変わらず熱いやつだ。」

大介はニヤリと笑い、握手を求めた。雅史は少し戸惑いながらもその手を取った。


その夜、雅史たちは大介の提供した情報をもとに計画を練っていた。

「会議所はセキュリティが厳重だ。正面突破は無理だな。」

雅史が地図を見ながら呟くと、大介が指で地図の裏口を示した。


「ここから侵入するのが一番だ。警備は薄いが、入った後は完全に敵地だ。気を引き締めていけよ。」


玲奈は緊張した面持ちで尋ねた。

「でも、万が一見つかったら…?」


雅史は土鍋を軽く叩き、安心させるように言った。

「大丈夫だ。俺の土鍋とパッタイがあれば、何とかなる。」


玲奈はその言葉に少しだけ安堵し、大介もニヤリと笑った。

「お前がそう言うなら大丈夫だろう。じゃあ、明日の夜、作戦決行だ。」


雅史たちは決戦に向けて準備を整え、静かに夜を迎えた。

一方で、ノーパンティの幹部たちは会議所で次なる計画を練っていた。彼らの計画が実行されれば、世界中のパンティがさらに危険にさらされるだろう。


しかし、雅史たちはその計画を止めるため、命を懸けて動き出そうとしていた――。


(第11話 終わり)

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