第3話 謎の女性、ノーパンティの影
朝の柔らかな光がカフェ「パッタイ・タイムズ」を包む中、一人の女性が店内に現れた。
黒髪をショートにまとめ、鋭い眼差しで雅史を見つめるその女性は、どこか異様な雰囲気をまとっていた。
「いらっしゃいませ。」
いつものように穏やかな声で挨拶する雅史。しかし、その裏では、彼の伊達メガネが自動的に女性の動きを解析していた。
女性はカウンターに腰掛け、軽く微笑みながら注文を告げた。
「紅茶を一杯。それと、できれば話を聞いてほしいの。」
雅史は紅茶を淹れながら軽く頷く。
「どうぞ。何のお話ですか?」
女性は紅茶を一口飲んだ後、少し声を低くして言った。
「ノーパンティという組織のこと、知ってる?」
雅史の手が一瞬止まる。だが、表情には一切動揺を見せなかった。
「ノーパンティ…ですか?」
「ええ。彼らは、世界中からパンティを消し去ろうとしている危険な組織よ。私はその組織に命を狙われているの。」
雅史は静かに紅茶のカップを拭きながら、彼女の話を聞いた。彼女の名は桐島玲奈(きりしま れいな)。かつてノーパンティの研究機関で働いていた科学者だった。しかし、彼女はその非人道的な計画に反発し、組織を脱走していたという。
「彼らは、次の段階に進んでいるわ。世界中のパンティを消し去るだけでなく、“パンティ禁止法”を制定しようとしている。」
玲奈の声には怒りと悲しみが混じっていた。
雅史は紅茶をテーブルに置き、伊達メガネを押し上げる。
「なるほど、パンティを守る者として放っておけないな。君がその情報を持っているなら、狙われるのも当然だろう。」
玲奈は少し驚いたように雅史を見つめた。
「パンティを…守る者?」
雅史は土鍋を軽く叩きながら微笑む。
「俺にはこれがある。そして、パッタイの力で無敵になれる。君が知っている限りの情報を教えてくれ。」
玲奈は一瞬ためらったが、やがて意を決したように語り始めた。
「ノーパンティの本部は、郊外の廃倉庫にあるわ。そこでは、世界中のパンティを吸引して破壊する“パンティバキューム”という巨大な機械が開発されているの。」
雅史は真剣な表情で頷く。
「パンティバキューム…そんなものを稼働させられたら、この世のパンティは消滅するな。」
玲奈がさらに言葉を続ける。
「その計画を阻止するには、パンティバキュームの設計図を破壊しないといけないわ。私がその場所まで案内する。」
その時、カフェの窓ガラスが激しい音を立てて割れた。
「伏せろ!」
雅史は玲奈をカウンターの裏に引きずり込む。外からは複数の黒ずくめの男たちが現れた。彼らは明らかにノーパンティの追手だった。
「見つけたぞ、桐島玲奈。おとなしく我々に従え!」
雅史は冷静に土鍋を背中から降ろし、準備を整えた。
「ちょっと待ってくれよ。俺の店で勝手に暴れるのは許せないな。」
彼は土鍋を開き、素早くパッタイを調理する。蒸気が立ち上る中、完成した一皿のパッタイを一気に食べると、雅史の身体がみるみる力強く変化していった。
「さあ、勝負だ。パンティを守る者として、お前らには負けられない!」
玲奈が驚いたように見つめる中、雅史は土鍋を武器のように構え、敵に向かって立ち上がった――。
(第3話 終わり)
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