【閲覧注意】2 テロじゃない可能性
教室
教室
わたしは
棚の上には、校
たいてい、どの新聞の一
「雉見新聞」は、
新聞紙の上に手袋を
その新聞一面
まあ、わたしも、写真って
まあ、写真で
追悼式典会場は、
どの学校も同じじゃないかな。体育館のステージのや体育館
まあ、そんなことはどうでも良い。
十五年前の十二月第一週
テレビで見た
そして、
式典の日は雨が降っていて。だから、この写真の男の人は、
傘の
そのあとの五分間は、
朝八時四十五分から九時三十分までが一時間目。
二時間目は、九時三十五分から十時二十分。
中休み時間は、十時二十分から二十分間。
三時間目は十時四十分から始まって、十一時二十五分まで。
四時間目は、十一時三十分から十二時十五分。
ここは、児童
早
それなのに、
「
昼休みは、十三時三十分まで。そこで、
トイレに
五時間目は十三時三十五分から十四時ニ十分。
十四時二十五分から十五時十分までが六時間目。
帰りの学級活動をして、掃除して帰る。
毎日教室掃除はする。
今週の時間
月
火 図国算
水
「学」は学級活動。
「ク」はクラブ活動。
四年生のわたしは、メンバー一人だけの
「五年生になったら。朗読クラブ以外の、別のクラブに
第一
第二希望は、「読書クラブ」。
第三希望は、「
校長先生は「バスケットボールクラブ」を
「総」は総
あとは、運動会、学習発表会の準備時間に
でも、名前の無い学校では、「自習時間」になることが多い。
でも、
「朝の会は先生
先生からの
裏方さんの誰かが自習
いきなり教室のドアが
桂川先生と、
桂川先生は教卓の椅子に腰をかけないで、教室のドアを
一気に
「ごめんね。
職員会議が
十時五十分頃。一度、課題を全部終わらせちゃって、追加の課題をもらいに行ったときは、「
もう、給食時間になったから。
お腹はペコペコ。
さすがに、普通の職員会議では無いことはわかっているけれど……。
裏方さんは、桂川先生の分の給食を会議室まで届けに行って戻って来てくれた。
その間、わたし一人で食べちゃいけなくて、裏方さんが戻って来る五分間、ずーっと給食を見つめていた。
今日の給食は、苦手なパスタの「ミートソーススパゲッティー」。
小学校給食のソフト
この学校は、小規模給食。
スパゲッティーは
あんまり、
そして、
うーん。
イタリアだったら、何のスープなんだろう……。コンソメスープかな?
給食を食べて、昼休みを教室で一人で
五時間目は、餅つき交流会の
六時間目のクラブ活動は、朗読クラブ。
でも、朗読
どうしても、トイレに行きたくなって。
行ったよ。
もちろん、裏方さんが「トイレの後の手洗い。水が
ノートパソコンでカタカタデスクワークしているだけの人かと思っていたら。ちゃんと、自習監督してくれていた。
わたし、ちゃんと、手洗い用のハンカチをリュックの中から、
時計は、午後三時を過ぎている。
「『クリスマスメモ』、『作・ののお のの』、『
「遅れてすまない!
あっ、もう六時間目も終わったか!」
何度も「クリスマスメモ」を読み返しているうちに、桂川先生が教室に戻って来た。
「職員会議、お疲れさまでした」
「……帰りの会は明日の連絡事項のみにするか。
明日の図工の授業から、彫刻刀を使う。
俺は御前に無理させたくはない。御前が嫌な顔して取り組むのを見たくない気分だ」
「気分、ですか……」
「……
「……どうでしょう。
もう、調理用
あっ、チリチリ……チリチリコンコン?
うーん、
「それじゃあ、問題。
この
一、チリチリ。
二、チリチリコンコン。
三、チリコーカン」なんて、桂川先生がふざけていたら。
「どれも違いますよ。
それだと、『
きれいな女の人が教室のドアから入って来た。
黒いジャケットと、
カッコイイ。
「
「桂川先生。
さて、そこのお
問題です。
チリコンカーンは、どこの国の料理でしょうか?
豆とトマトの料理だから、
「勝手に入室されては
でも、女の人の
アクション
何か、桂川先生が好きそうなゲームに登場する「
「国
それは、そちらのお嬢さんそのものではありません。
十五年前から。風原連続児童猟奇殺害事件がテロの
しかし、それはたった一人の女の子が子どもの遺体の一部を持って、テレビ
それ
そもそも、犯人が『テレビ局へ行けと
事件
『名前の無い学校』の監査を引き受けている者どもとしては、ここの
監査の人が、何かを言い返そうとした桂川先生の出かけた言葉を遮った。
「
風原の事件は、
そこにいる子どもは。日本
女の人は、椅子から立ち上がって教室掃除をしようとしないわたしのそばへやって来た。
「『名前の無い学校』の裏方さんをそろそろ、
もちろん、年明けの『
桂川先生が首を横にブンブン振ってから、教室
<<二階四年一組教室で緊急事
アナウンスが流れて、
でも、キレイな女の人を見ると、拳銃を脇の下のホルダーに戻してしまった。
「さあ、お嬢さん。
桂川先生がお
何か、私どもに、『手
「『あー、別に良いです』」
校長先生がいつの間にか、わたしの背後に立って。わたし……ううん、女の子の高い声を
「校長。一応、監査の人にはそんな投げやりな態度を取らないでください」と裏方さんのボスがわたしに向かって、……いいや、わたしの両手首をつかんで、操り人形のように操作する校長先生に注意している。
注意されているはずの校長先生は、わたしの右手首をつかんだまま、監査の人に向かって、わたしの右腕をのばす。
「『人殺し―、人殺し―。
わたしが死んだら、御前等全員人殺し―。
いーけないんだー、いけないんだー』」
「校長、『先生に言ってやろう』と言われても困りますよ。
ここは、
グギギギギ。
でも、痛い……とは思わない。
だって、すぐ校長先生がわたしの両手首をつかみ直したから。
「『
「言うではなく、行くの『行ってやろう』ですか?」
「『そうそう。
今月の給食
「東京の各国大使館まで、どうやって行くつもりですか?
遠足じゃないんですよ!」
「『滑走路の要らない、
校長先生、名前の無い学校の上空はもちろんだけれど……。
特に、街の中を飛べば、「市街戦を
ここが、本当に自
「
国
貴方が風原の殺人
わたしの後ろにいた校長先生がキレイな女の人の前に出て来て、「
香水ババアは怖い顔から
「購入した彫刻刀を使わないなら、それは
貴方一人を助けるために、かなりのお
そのお金があれば、国内の虐待被害の死亡数を少しでも
保護者の元へ帰って、日常生活へ戻るべきだと
どう思いますか?
お面のお嬢さん」
「『家に、帰れるなら。家族に会いたいです』なんて言えば、
それこそ、
「心も体も、成長もしています。
お面のお嬢さんが狙われることは、もう、ほとんど、ありません。
我々監査部が保障しましょう。
そうすれば、来年度からは名前のある学校へ
ゆっくりゆっくり
「監査のお仕事がつまらないんでしょう。
どうか、落ち
相手にのまれてはいけません」と虹子さんはアドバイスをしてくれたけれど、わたしの
いきなり、デパート一階の
そんな鼻がツーンと痛くて、
「死ねば良いのに」
「今、何ておっしゃりましたか?」
化粧と服以外中身の無いおばさんがボスと話している間。校長先生は本音が口から出ちゃった。
あんまり飾らない先生で、教育者というよりは、
校長職は校長室に
「だから、『死ねば良いのに』って言いました」
「校長の言っている意味が解りません。
私に死ねとおっしゃているんですか?」
「いいえ。
あっ、そうですねー……そのほうが
いっぱい、お
「貴方はこの子を教育する現場責任者でしょう?
それなのに、普通じゃない!
私の家族・
鼻の
お面をつけていないおばさんは、校長先生を責めるのを諦めて。今度は、裏方さんや桂川先生を怒鳴りつけた。
「こんなさー、お面をつけている子どもがバカみたいに自殺するか。変態に殺されるか。
それか、変態じゃない普通の大人にも傷つけられてばかりの
日本の大人はさ、日本にいる子にさー、ちゃんと謝ったほうが良いよ。
それと、死んだ子の写真とか、動画とか。新聞とかテレビとか動画アプリとかで流れ過ぎでしょ。
『
子どもを休ませてあげなよー」
ヘラヘラ笑いながら、校長先生は香水ババアに近づいて、何かを
ババアは、
「何か、それだけじゃ伝わらない気がしたから。
最後にこう付け加えようかな。
日本全国に
校長先生はそう思ったんだろうし、これからも校長先生は変わらない。
「あのね、お嬢さん。
わかってる?
テロか、テロじゃないか。それが大切なことなの!」
「お面の子を殺しに来るか、殺しに来ないか。それと同程度。
話し合う価値がありません。
来た
ここに居る者は皆、話し合うのが仕事じゃありませんから」
虹子さんまで、校長先生につられたのか、すっかり声が小さくなったおばさんに対して、言葉を強めた。
おばさんの口は、「馬鹿な子」って動いた。
でも。わたしの口は、動かなかった。
だって、ケラケラ笑うしか無かったんだもん。
おかしいおばさん。
おばさんの仕事は、わたしが生きているかどうかの確認だけなのに。
自分の思ったことばかり話されても、困っちゃうよ。
おばさん一人、犯人が誰か知らない癖にワーワー
裏方さんのボスも、口癖の「ローンオフェンダーなんだ」とは言ってあげてなかった。
裏方さん、校長先生、桂川先生が、おばさんをかわいそうな目で見ていた。
わたしはどんな目でこのおばさんを見てあげよう。
嗚呼、別に喋らなくても良いか。
それから。
いろいろあって。
わたしがリュックサックを背負う前に、おばさんは教室から出て行った。
一人では歩けなくて、校長先生と、裏方さんのボスに支えられていた。
わたし。
あのね。
教員住宅に持ち帰って、彫刻刀の練習をしようと思ってたの。
だから、その、彫刻刀をね、全部、プラスチックケースから出していたし。
ほら。ケースって、割れやすいしさ。
水色の柄が可愛い、子ども用彫刻刀。
その四本の彫刻刀を
安全キャップ、無くすといけないから外して。
ハンカチで
実を言うと、その、ね。
ハンカチ、六時間目の朗読中にトイレに行きたくなったから。彫刻刀から外してた。
だから、彫刻刀。
包みの無いままだったんだ。
子ども用登
おばさん、わざとじゃないの。
だから、
教員住宅201号室、子ども部屋。
カーテンをしているから、外が真っ
それに。
今は寝る前だから、
「……
「……」
「香水おばさんは、子ども用の彫刻刀を
足の裏に
でもな、安和に会ったことは内緒にしなくちゃいけない。
だから、自分で彫刻刀を
傷口がわからないように、自分で傷口を無くしてもらった」
傷口をわからなくするために、足の裏の肉を
「学校の外へ持ち出そうとしたのか?」
「包丁みたいに練習すれば良いと思いました……」
「帰り道が怖くて、内緒で持ち帰ろうとしたか、どうか。
それが聞きたいんだ。
教えてくれるか?」
「怖くないです。
練習したかっただけです」
わたしは眠くて、眠くて。
そう
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