第2話 スキルポイントとステータスポイント

 スキルポイントは奴隷商人を調べた時のように画面を操作する。すると、青白い文字が動き、「スキルリスト」という項目が表示される。


 スキルリスト


 ・奴隷契約(奴隷契約に関するスキル)

 ・奴隷搾取(奴隷が所持するスキルの強化や使用するスキル)

 ・装備(装備している武器に関するスキル)

 ・奴隷商人固有(奴隷商人に関する魔法スキル)


 四つの項目に分かれていた。


「一つ一つ検証するしかないか?」


 

 奴隷契約をタップしてみる。


 奴隷契約のランクを上げられる。


 現在、奴隷契約(小):習得済み。


 奴隷にできる個体数五体。相手が承認すれば、奴隷契約が行える。

 契約を結んだ相手の能力を向上させられる。



「奴隷契約(小)? つまり、契約を結べば相手を強く出来るってことか? 奴隷契約を強化すれば個体数や奴隷の能力向上させられるってことか?」



 次の選択肢は? 


 

 奴隷搾取をタップする。


 現在、奴隷がいないため選択ができません。


「なるほど、これは奴隷がいないとダメなのか」


 

 なら、次は装備だな。


 装備可能項目


 現在装備可能武器


 1、鞭

 2、縄

 3、鎖

 4、蝋燭

 5、針

 6、剣


 現在装備可能防具


 1、パジャマ

 2、スーツ

 3、ボンテージ

 4、革のパンツ

 5、革のジャケット


 現在装備可能魔法


 1、火属性魔法

 2、幻覚魔法

 3、支配魔法

 4、暗示魔法

 5、闇属性魔法


 ♢


 装備武器:革の鞭


 ・鞭の操作:習得必要スキルポイント、1

 ・鞭の攻撃力:習得必要スキルポイント、1(10強化までは、ポイント1)

 ・鞭の耐久力:習得必要スキルポイント、1(10強化までは、ポイント1)

 ・鞭に付与:習得必要スキルポイント、10


 装備防具:パジャマ


 ・パジャマ耐久力強化:習得必要ポイント、1(10強化までは、ポイント1)

 

 手持ちの武器、俺の場合は鞭とパジャマに関するスキルってそういうことか。使うのが上手くなったり、威力や耐久性を上げることができるわけだな。


 それに魔法は習得するのにポイントを使うのか、火属性魔法初級は取っておいてもいいだろ。


 装備魔法:火属性魔法


 ・魔力を消費して小さな火を作れる:習得必要ポイント、3


「……これはいるな。俺の装備は鞭だ。これが壊れたら困る」


《スキル『火属性魔法初級』を習得しました》

《スキル『鞭の操作』を習得しました》

《スキル『鞭の攻撃力+1』を習得しました》

《スキル『鞭の耐久力+1』を習得しました》


 とりあえずは、スキルポイントを5使った。


 後で実践して試さないとな。



 次は、奴隷商人固有スキルだな。



・拘束の縄:習得必要スキルポイント、5


 魔力によって縄を出現させて、他者を亀甲縛りにすることができる。


「なんで亀甲縛りなんだよ! てか、もしかしてこれが奴隷商人の固有魔法ってことか?」


 思わずツッコミを入れる。だが、現状の自分に必要なのは、選択肢を増やすことだ。その中で固有スキルは何かしら特別な意味があると思う。


 俺は少し迷ってから、「拘束の縄」を選択した。


《スキル『拘束の縄、バージョン亀甲縛り』を習得しました》


 スキルポイントを使い果たして、一息ついた。


 冷蔵庫の中は、ビールとミネラルウォーター。ツマミの炭火焼き鳥と冷凍枝豆、それに朝に食べようと思って買っていたヨーグルトと、食パンがあった。


「とにかく腹を満たせればなんでもいい」


 俺は食パンとミネラルウォーターで腹を満たした。


 腹を満たした俺は気づけば再び、青白いステータスウィンドウを睨みつけていた。


 外では今だにサイレンの音が鳴り響き、爆発音が遠くから聞こえてくる。窓の外を覗けば、黒い煙があちこちで立ち上り、モンスターの咆哮が混じる。


 人の悲鳴が聞こえるってことは、襲われているのだろうが、人を助けている余裕は俺にはない。


「……ここでじっとしているだけじゃ、いずれ俺も餌になるのは間違いねぇよな。建物も崩壊寸前だろうしな」


 次の行動を考えるように、自分に言い聞かせるように呟く。


 オークに勝てたのは運が良かっただけだ。マンションを壊すほどの化け物を倒せたのは、何かしら補正があったんじゃないか? 今の俺じゃ二匹以上に囲まれたら絶対に無理だ。


 こんな状況で外に出るなんて。すぐに死ぬに決まってる。


「とりあえず、今できることをやろう。少なくとも……生き残るためには、力がいる」


 俺は深呼吸を一つして、目の前のステータスウィンドウに集中した。

 

 画面の隅に表示された「ステータスポイント」。


 この数字が「100」あるということは、俺のこの貧弱なステータスを強化できるってことだ。


 現在のステータス


 体力:5/5

 魔力:1/1

 筋力:3

 耐久:2

 敏捷:1

 器用:1

 魔法攻撃力:0

 魔法防御力:0

 運:5


 ・ステータスポイント:100


「どこをどう強化すれば強くなれるんだ?」


 俺は真剣に考えた。どれも低すぎて話にならないが、今すぐ必要そうなのは体力と筋力だ。オークとの戦いを思い出せば、一発殴られたら、今の紙装甲じゃ即アウトだったのは明らかだし、鞭を振り続けるには筋力がいる。


「よし、筋力に20、体力はとりあえず20は欲しい。敏捷も少し上げておきたい?」


 攻撃を避けるには敏捷も重要だ。モンスターから逃げることだって考えれば、最低限の素早さが必要だろう。



 体力:生命力であり、0になることで死にます。

 魔力:魔法を使う際に使用します。0になると意識を失って自動的に回復するまで寝ます。

 筋力:全身の筋肉を強化して、攻撃力に変えることができます。

 耐久:攻撃を受けた際に肉体が耐えられる強度を強くします。

 敏捷:肉体の行動速度や、脳の処理速度を上げることができます。

 器用:体をイメージ通りに動かせたり、アイテムを上手く使うことができます。

 魔法攻撃力:習得した魔法スキルの攻撃力をアップします。

 魔法防御力:他者から与えられる魔法に対して防御する力をアップします。

 運:アイテムのドロップ率をあげます。モンスターの遭遇率を下げます。クリティカルヒット発生率が上がります。他にもさまざまな恩恵をもたらします。



 ステータスの説明は、スキルよりも大雑把な感じだった。


「これまでの人生は絶対に運が悪かった。もしも運が上げられるなら、もっと運をあげておきたいって思うよな」


 何よりも考えてみれば、この世界はすでにゲームじみた仕組みになっている。


「なら、運は大切だよな? 振っておくか」



 結局、以下のように振り分けた。



 強化後のステータス



 体力:20/20

 魔力:10/10

 筋力:20

 耐久:20

 敏捷:10

 器用:5

 魔法攻撃力:6

 魔法防御力:5

 運:20


 ステータスポイント:0


「……おお、なんか一気に強くなった気がする!」


 実際、体が軽く感じる。筋力が上がったせいか、腕を振るだけでも普段より力強さを感じた。ステータスを振る前の十倍の筋力になっているはずだ。


 これなら、次にオークみたいなのが来ても逃げられるかもしれない。


「いや、逃げるだけじゃダメなんだよな……」


 革の鞭を手に取り、少し振ってみる。


 軽く振っただけなのに風を切る音が響いた。この鞭の強化スキルのおかげか? それとも自分のスキルを上げたからか、今の俺ならもっと上手く扱えそうだ。


 今できることは全てやった。


「なら、行くしかないよな」


 俺は外へ出る決心をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る