番外編〜ある日の依頼〜【三】

少ししてエロー村近くの洞窟前へと着いたペトル一行…。

静かな時間が続きあまり冒険感がないがペトルはものすごく楽しんでいた。

ペトルからすると自分達に映るよりも遥かに大きく見える洞窟の入口に大きく口を開け、ほうけた顔をして首が痛くならないか心配になるほどずーっと洞窟を見つめる。


ペトル:「うわぁぁ…まっくらぁ〜…。」


ユウト:「ここまで来るのにモンスター全くと言っていい程いなかったの変だな…まぁ幸運だったって事で!」


ミオシャ:「ねぇアイリーン、その薬草ってこの中なの?」


アイリーン:「うん!昔からこの洞窟は鉱石の採掘場として使われてたらしいんだけどスライムとかが住み着くようになってから人が近寄らなくなってね、そのスライム達が運んでくる餌がその薬草を育てるらしいの、前に薬屋の人から教えてもらった事なんだけど覚えてて良かった!」


シエル:「にしても暗いな…たいまつ持ってくれば良かったかも、……まぁそんなこと気にしなくても大丈夫そうだけどね、アハハ!」


ペトルを見るとそんなことよりも早く中に入りたいのか踊るように足踏みをしていた。

子供の無邪気さというものは大人になった者にとってとても羨ましいと思える程輝いて見える。


シエル:「この洞窟、これだけ暗かったらゴブリンとかは住み着かなそうだね、あいつらは必ずたいまつをつけるからペトルが入っても大丈夫そうだ。」


アイリーン:「そうですね、王国周辺は特に兵達も目を張ってますから今の所ゴブリンがいるという情報は聞いてませんね、まぁいたとしても私達がいるので必ず安全にペトルくんに薬草を採取させます!ね!シルフェ!」


シルフェ:「うん…大丈夫、ドラゴン以外なら勝てるよ…多分…」


ユウト:「もう少し自分に自信をもってくれシルフェ…俺が一番お前の強さをよく知ってるんだから、そこは胸張ってくれ。」


ユウトがそう言うとなぜかシルフェは顔を真っ赤にして下を向いたまま黙ってしまった…。


シルフェ:ーぅぅ…そんな真剣に褒めないでぇぇ…ー


シエル:「俺もユウト達のことはほんとに信頼してるから、かなり心強いよ!同行にも感謝する。

ありがとう。」


ペトル:「ペトルたんけんたいしゅっぱーつ!!」


ユウト:「あれ、いつの間にか探検隊になっちゃったや…アハハ!」


洞窟は先まで真っ暗だった為アイリーンが魔法を唱え、いつでも攻撃出来るように火の魔法で洞窟内を灯した。

洞窟内は少し肌寒く、声や足音も響くが、魔物を引き付けないため音消しの魔法もアイリーンが唱えてくれていた。


ユウト:「俺も早く魔法詠唱出来るようになりたいな〜、アイリーンは無詠唱だけど珍しいよな?」


アイリーン:「無詠唱はとっても楽よ?発動も早いし、心の中で唱えるだけでいいから、私で良ければ無詠唱のやり方教えるわよ?」


ユウト:「ん〜…俺は無詠唱よりやっぱり魔法は詠唱する事にロマンを感じるんだよな〜」


ペトル:「おにぃちゃん、ろまんってなにぃ?」


ペトルが小さな声で囁(ささや)くように聞いてきた。

アイリーンが音消し魔法を使っていることをわからないからかとても頭を撫でたくなるかわいさを感じた。

ペトルに合わせて俺も声を小さく答えた。


シエル:「ん〜…ごめんペトル、俺も聞いたことない言葉なんだ〜、あとでどういう意味かユウトに聞こうな〜」


ペトル:「アハハ!おにぃちゃんもしらないことあるんだね!」


いきなり声を大きくするペトルに少し驚いたが急な大声にペトル以外の者がくすっと笑ってしまっていた。


ユウト:「おおー!?急にでかい声出すんだね!アハハ!かわいいな〜ペトル!小さい頃のミオを思い出すよ!小さい頃に行ったお化け屋敷でさ〜!」


ミオシャ:「む〜、怒るよお兄ちゃん…あと恥ずかしいからそんなことここで言わないで!」


シルフェ:「ミオシャの小さい頃気になる…帰ったら聞こうかな…」


ミオシャ:「もう!なんでシルフェまで!?この話盛り上げちゃだめぇ!」


話に盛り上がっているユウト達を後に先頭にいたアイリーンが突然足を止めた。


シエル:「アイリーン、どうかしたかい?」


アイリーン:「あ、いえ…すこし変な気配がしたんですけど、気のせいかもしれないです。」


シエル:「ん〜見てみようか!」


鷹龍の目で洞窟の深層部まで見たが特に反応は無かった。


シエル:「うん!大丈夫だね!ぱぱ〜っと行こうか!」


俺の言葉にアイリーンは不思議そうな顔をし、なにか言いたげだったが疑いはせず素直に後を着いてきた。


アイリーン:ーあのシエルさんの自信はなんだったんだろう…?でも嘘をついている様には全く見えなかった。普通の冒険者ギルドの人がもってるスキルはせいぜい魔物感知か千里眼のはず…でもそんなスキルじゃこの真っ暗な洞窟の先は見えないはずなのに、なんだろう、すごく変な感じ…。ー


しばらく洞窟を進んでいると色とりどりにかがやく鉱石と一緒に生えている薬草らしき物を見つける事ができた。

アイリーンは迷うことなく採取し目的の者だと説明してくれた。


ユウト:「くそぉ〜、ピッケンを持ってくるべきだった〜、こんな鉱石一つでも高値で取引できるだろうなぁぁ〜…」


アイリーン:「そうね、物凄い額で売れそうよね!残念ながら私も持ってきてないわ…えへへ」


ペトル:「おにぃちゃんたちこれがほしいの??ねぇねぇあかいおにぃちゃんこれとれる?」


シエル:「ん?採れるけどどうしたんだい?」


ペトル:「おにぃちゃんたちもおてつだいしてくれたからあげたいの」


シエル:「そういう事なら俺におまかせ!!」


ダガーを鉱石の一点に刃先を集中させ、拳で持ち手に一瞬だけ力を加えた。


パキィィィンッ…!!!


ユウト達:ーえええええええ!?!?!?ー


ユウト:「いいいい、今どうやってやったんですか!?しかもそのナイフで!」


アイリーン:「ナイフというよりシエルさんのそれダガー…ですよね?ダガーを使うのは盗賊かアサシンくらいなのに……シエルさんって…その…」


シエル:「アハハッ!ダガーって結構便利でさ!いつも持ち歩いてるんだよ、別に普通の冒険者だってダガーくらい持ち歩いていいんだし、まぁ、偏見はあるかもだけどね…。」


なんとか誤魔化せた?のかどうかはさておき、砕いた

鉱石を手を広げるペトルに渡した。


ペトル:「わぁ〜、すっごく綺麗だよ!はい!おにぃちゃん!おねぇちゃん!ぼくからのありがとうのきもちだよ!」


ユウト:「え…?!い、いいの?ペトル…こんないいもの」


アイリーン:「ペトルの気持ち、しっかり貰ってあげよユウト。ありがとうペトル、大切にするね」


ユウトとアイリーンは地面に膝を立てペトルから鉱石を受け取った。

ペトルは人に感謝される事が好きなのだろう。

"ありがとう"ーこの一言を言われるだけでとても輝いた笑顔を見せる。

この純粋さを大人になって忘れていく事に何故だろうかと不思議に思うが、きっと忘れているだけで本当はいつでも純粋な気持ちになれる事を諦めてしまっているのではと少し自分を見つめ直していた…。


シエル「さぁ、そろそろ戻ろうかみんな。」


その後何事も無く洞窟を出て国内へ戻ろうとした時だった…。


ユウト:「ん?どうしたアイリーン、シルフェ…それにミオシャも…??」


ペトル:「おにぃちゃん…なんか……ねむたく…なってきちゃ……た……。」


シエル:ーなんだ…なにかおかしい、どうなってる?!ー


ユウト:「おい!しっかりしろ!シエルさん、なにが起きてるんでしょうか?」


???:「おいおい、おかしいな〜?なんで効かない奴がいるんだ?」


???:「さぁ〜ねぇ〜、魔力が足りなかったんじゃない?私は出来ないけど〜」


???:「じゃあてめぇが唱えろや、俺は魔法使いじゃねぇんだからよ」


シエル:「はいはーい!な〜にしてるの?そこで」


???:「んだ?あの馬鹿は、こんな状況なのによ、浮かれてんぞ?グハハ!変なやつ」


ユウト:「シエルさん、あいつら手配書に載ってた盗賊じゃないですか?」


シエル:「みたいだね、うちのギルドにも貼ってあったよ、最近ここらで商人を襲ってる盗賊…お前ら、よく兵に捕まらないね、それか相手にされてないかのどっちかかい?」


???:「煽ってんじゃねぇぞ?なぁなぁ俺たちそれなりに名がしれてるらしいぞペチカ!」


ペチカ:「あ〜そう、別に興味無いわ」


シエル:ー風の盗賊団、トッツ、ペチカ、ダールだったっけ、前にダース森林でノルンを襲ったのもこいつらかもしれないのかな…?ー


トッツ:「まぁなんでもいい、とりあえずその石くれよ、そしたら逃がしてやっしさ!」


ダール:「あ?馬鹿かてめぇ、殺してでも盗りゃいいだろうが、そんな強そうに見えねぇぞ?どうせ駆け出しだろ!小さいガキ殺すの苦手なら俺がやってやらぁ!」


ユウト:ーくそっ…!盗賊相手はさすがに厳しい、シエルさんのジョブはわからないけど、人数も向こうが多い、アイリーンはまだなんとか意識を保ってるみたいだけど、一瞬動けるか動けないかってとこだな…どうする…ー


シエル:「すごっ〜く物騒(ぶっそう)な事言って、怖いねぇ〜、ガキって俺のことかな?…もしこの子の事を言ってるなら…お前ら、覚悟しろよ…。」


ユウトは驚愕(きょうがく)した、急に空気が薄くなったような、息が詰まる感覚がユウトを襲い、体が震えて動けなくなってしまっていた。


ユウト:ーな…なんだこの感覚…恐怖とかそんなんじゃないけど、なんか体が痺れて…動けない、あいつらの呪文か?!ー


ダガーの柄に手を当て鷹龍の目で三人を睨んだ。


ペチカ:「ねぇ…あいつのあの目…なんか見たことない?」


ダール:「あ!?知るか、覚えてねぇよんな事!散々殺してんだ、いちいち覚えてられっか!」


トッツ:「殺っちまうか!いくぞ!!」


三人はダガーを抜きそれぞれ散らばりながらこちらへ向かってくる。


シエル:「アイリーン!今だ!」


アイリーン:「キ…キャンシマス!!」


アイリーンは隙を狙って呪文無効化魔法を唱えた。


シエル:「ユウト、アイリーンとペトル達を連れてここから離れるんだ、お願いできるかい?」


ユウト:「はい!必ず守ります!シ…シエルさんは!?」


シエル:「ん?あ〜!大丈夫!任せて!」


ユウト:ーなんだろう…不思議だ、こんな状況なのになんでこんなに落ち着いてられるんだろう…ー


ダール:「なに逃げようとしてんだぁぁ!?逃がすわけねぇだろ!!」


ユウト:「やば!!俺の馬鹿!!行くぞアイリーン!」


ユウトとアイリーンは目が覚めたペトル達を連れてその場を離れようとした、しかしその先にはペチカが待ち受けていた。


ペチカ:「はぁ〜、ほんとめんどう、石くれるだけでよかったのにさ、そんなに命より石の方が大事なの?」


アイリーン:「どいて!盗賊なら魔法に耐性ないでしょ、そっちが不利なはず。」


ペチカ:「ざんね〜ん、ちょっとした御守りに助けられててね〜耐性あるんだ〜、ってことで早く終わらせたいし皆殺しね!」


物凄い速さで向かってくるペチカにアイリーン達は怯んでしまい、ユウトが剣を抜いたがペチカの速さを目で追うことは出来なかった。


ユウト: ーだめだ!!もうこんな近くに!!こっ…怖い!!ー


ペチカ:……ぐっっふぅあぁ!!!!


ペチカは物凄い強さで溝(みぞ)に拳を打ち込まれ、血を吐きながらその場で倒れ込む。


アイリーン・ユウト:ーえ!?ー


シエル:「女だからって善人の命奪おうとするなら手加減しない…今ならまだ見逃す、目の前から消えろ。」


アイリーン:ー今の動き…あれはやっぱりアサシン…?ー


ユウト:ーすっ…すげぇぇ!なんだよあの動き、アニメでしか見たことない…!シエルさん何者なんだ!?ー


トッツ:「み……見えなかった…なんだよ…あの動き…もしかしてアサシンか!?」


ダール:「この国にアサシンなんて…いねぇはずじゃねぇのかよ…くっ…!くそぉ!!てめぇよくもペチカを!!」


ダールはユウト達からするとものすごい速さでシエルに攻撃するがかすりもせず何度も何度も避けられてしまう。


トッツ:「あの目…あの時の"ガキ"と一緒だ…でもなにか違う……ダメだ…ダメだ!ダール!!一旦引け!!」


シエル:「判断が遅いんだよばーか!」


ダール:「くっ…くそ…ちと黙ってろトッツ!!」


ペチカ:「げほっ…げっほ…くっ…何もんだよ…へ…?!!ダール…あんた…」


ダール:「んあ?…あ……ぁぁ…うわぁぁぁぁ!!!」


ペチカの視線に映るダールは立っていることが不思議な程体の部位という部位が斬られそれに気づいたダールは恐怖で声を大きく荒らげそのまま気絶した。


シエル:「早く殺してほしいかい?痛すぎて体の感覚が麻痺してるみたいだろ?でも次は首をブッチんしちゃうけど覚悟出来てるかい?…言ったろ?目の前から消えろって、相手を間違えたね君たち。俺も殺しを仕事にしてるんだよ残念ながらね、でも君たちみたいに誰でも殺すわけじゃない、ちゃんと相手は選んでるつもりだよ…。」


ペチカは恐怖で漏らしていた。

トッツはダールとペチカを見捨て走り去ったがシエルに追いつかれ首元にダガーを当て脅した。


トッツ:「す……すすすすすまなかった…!もう足を洗うよ!やっ…約束するから!な?助けてくれよ、本当にすまなかった!」


シエル:「お前、そう言った商人達を何人殺した…?さぁ…応えてごらん?」


トッツ:「お……おぼえて…ねぇ……俺たちにも生活があったから…!!仕方ねぇえん……ぐぁ……」


シエルはトッツの首元を斬る振りをして、斬られたと思ったトッツは白目をむいて首を手で抑えながら倒れた。


シエル:「お前らが殺した商人にも家族がいて、生活があったんだよ…"盗賊"名乗るなら殺される覚悟くらいしておくべきだったね…苦しんで償え。」


ペチカ:「ぁ……ぁぁ……お願い……許して……ください……!殺さないで!!」


シエル:「殺さないで…ねぇ…、悪い奴はみ〜んなそういうんだよこういう時、でもね子供の命も、人の命も軽く見てたお前らに俺は情けをかけるつもりは無い。俺は"アサシン"だから」


シュッッッ……。

ダガーをペチカの頭目掛けて投げ寸止めでダガーを掴み、持ち手で頭を強く叩いた。


ペチカ:「この国に……アサシンがいるなんて情報…なかっ………た……。」


ペチカも頭にかなり強い衝撃をくらった為、白目をむいてそのまま地面に倒れた。


シエル:「はぁ……たまには平和に依頼をこなしたいんですけど……。」


ユウト:「シ……シエルさん…。」


シエル:「見て欲しくないから逃げてって言ったのに…ありゃりゃ…」


アイリーン:「シエルさん…、そのもしかしてなんですけど、シエルさんってアサシンなんですか…?」


シエル:ーさすがにここまでしといて言い逃れ出来ないか…アハハ…ー


シエル:「うん、実はそうなんだ…黙っててすまなかった。この国の法は知ってるよね、だったら…この先も、今までも…俺とユウト達は一切の関係がなかっ…」


ユウト:「シエルさんアサシンだったんですか!!」


シエル:「え??」


ユウトの反応が自分の頭の中で想像していた反応とはかけ離れていたからかユウトの憧れたような表情にどう反応していいか困ってしまった。


シエル:「え〜っと…その…」


ユウト:「いやぁ〜!この世界にもアサシンっていたんだ!!すっごくかっこいいじゃないですか!!あんな速さ見たことないですって!!」


ペトル:「おにぃちゃんすっごかった!!!しゅば!

しゅっっぱぁぁ!!って!」


ミオシャ:「お兄ちゃんに抱えられてたからよく見えなかったけど、ものすごい強さなのはわかった気がする。」


この国の者なら俺たち"アサシンと関わる"ーそれはいわゆる死を意味する事であり、普通ならもっと嫌悪に満ちた表情をされてもおかしくないと思っていた。


過去に女性を依頼の途中で助けた事があったが、その女性は悲鳴をあげて泣きながら「目の前から消えて!!どうか…お…お助けを…」と辛い仕打ちにあってしまった。

その事がずっと頭から離れずそれ以降あまり人前で普段の動きをしないようにしていたが、ユウト達やペトルを守る為、無意識にトッツ達にたいして怒りを顕(あらわ)にしていた…。


だが心配していた事が全く想像とはかけ離れた反応に

嬉しいような恥ずかしいようななんとも言えない感情が押し寄せる。


アイリーン:「王国の法はよく知っています。ですが私達は別にこの国の民では無いので裁かれる理由がありません、ただもしかして~とは思ってましたけどえへへ…。」


ユウト:「シエルさん!俺達はシエルさんの正体を絶対誰にも言わない事を誓います。なんならこの誓いのリングをつけてもいいくらいです!」


シエル:「いやいや、そこまではしなくていいかな…アハハ…でも今目の前にいるのがユウト達で本当に良かったよ…ありがとう。」


ペトル:「ぼくもひみつ!まもるよ!!」


シエル:「ペトルはそもそもこの後その契約をするんだけどね…、でもありがとうペトル!」


ペトル:「けいやく???」


ユウト:ーペトルは依頼者だからなにかしらの手続きがあるのか…ちょっと察したけどシエルさんは敢えて直接的に言わないんだ、なんか辛いな…ー


アイリーン:「とりあえずこの状況誰かに見られると色々面倒だと思うので戻りましょうか!」


シエル:「ん~こいつらどうしよう…あ!いい事思いついた!!ユウト!俺からもお礼させてよ!」


ユウト達:ー????ー


少しして…国内の王国集兵所~・・・


王国兵:「き…君たちがこいつらを…?!」


ユウト:「ま…まぁ~えへへ…」


王国兵:「す…すごいんだな、たいした腕だ。」


王国兵はユウト達をじろじろ見た後何かに納得したのか報酬の金貨の入った袋をユウトに渡した。


ユウト:「こ……こここここんなに!?!?」


アイリーン:「シエルさん!いいんですか!?こんな大金貰ってしまって!」


俺はトッツ達をユウト達に兵に受け渡させ、その報酬を同行してくれたお礼にユウト達に渡したのだった。


ユウト:「5……500000リエス……や…やばい…欲しかった装備全部買ってもまだ余るぞ…み…見ろ!シルフェ!!」


シルフェ…泡吹いて気絶してます・・・


ミオシャ:「シ…シエルさんどれだけ寛大なんですか…!?いくらなんでも全額はさすがに…」


シエル:「寛大なんかじゃないよ、俺が貰った所で酒場に落とすだけだから!それだったらユウト達に好きに使ってもらった方が心地いいって思っただけ。なにに使うもユウト達の自由だよ!」


ユウト:「最初信じて貰えるか不安でしたけどなんとかなりましたね!!」


シエル:「ユウトのパーティーなら出来ないこともないって思ってね!アハハッ!ユウト達を見れば兵もそこまで疑わないって考えたんだよ。」


アイリーン:「エヘヘ…嬉しいような…複雑なような…」


ユウト:「素直に喜べばいいんだよ!シエルさん本当にありがとうございました!」


シエル:「感謝をするのはこっちだよ!ユウト、四人を守ろうとしたあの目…いい目をしていたよ…仲間を大切にしてるんだな、ペトルの事も守ってくれてありがとう。」


ペトル:「ありがとう!!」


ユウト:「ええ!?…い…いやいやそんな褒めないでください!実際あの時めっちゃ怖かったですから!…でもシエルさんのその言葉、忘れず精進していきます。とってもいい経験をさせて貰えました!」


ミオシャ:「私のわがままを聞いてくれて感謝してますシエルさん!…そ…その…シエルさんって…す…す…」


アイリーン:「シエルさん!またお会いできるのを楽しみにしています!!ペトルくんもまたね!」


ユウト:「ペトルも元気でな!!」


シルフェ:「ありがとう…ごさいました…。」


ミオシャ:「はぁ~…もう…みんなのばか…。」


ペトル:「うん!!またねおにぃちゃん!おねぇちゃん!」


シエル:「うん!ユウト達のこれからを楽しみにしているよ!」


シエル:ーユウトは勇者を目指してるんだっけ…きっとユウトなら本当にこの世界を救う勇者になれるかもしれないな…ー


歩いていくユウト達に希望を感じたが直接言うのはやめておくことにした。

今言ってしまったら…きっと変わってしまうかもしれないと思ったからだった…。

ユウト達は自らその道を歩んでいく…そう信じて…。


シエル:「じゃあギルドに戻ろうか!ペトル!」


ペトル:「うん!!」


番外編~ある日の依頼~【動き出す者たち】へ続く

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