【新たな選択】

「...きて...ー...」


ん...何か聞こえる...。


「起きて...」


ノルンの声だ...


「起きて......シエル!!」


ノルンの力強い声に俺は飛び起きた...

しかし...俺以外の3人はぐっすり眠っていて、

窓からは眩しいくらいに日の光が差し込んでいた...。


「おかしいなぁ...今確かにノルンの声が...」


不思議に思いながらもまずは何事も無かったことに安堵の息を吐いた...。


大きく背伸びをし、大きなあくびをしながらレイン達を見た。

昨日の疲れがかなり溜まっていたのだろう、

こんなにぐっすり眠るレインとシオンを見るのは初めてだ...。

にしてもなんだこの可愛い天使2人は...

俺はシオンとノルンの頬を交互に優しく引っ張った。


「なんだろう…何かいけない事をしている気分だ。」


外に出ようと扉に向かうと床がギシギシと音を立てる、普段それ程気にならない音がこう静かにしたい時に限って何故こんなにも大きく聴こえるのだろうと不思議に思っていた…。


「ん...んん〜」


ノルンが目を覚ます…。


「ごめん、起こしちゃったな…」


ノルンは小さくあくびをして背をぐーっと伸ばした後目をかきながら

俺を見た。


「おはよう…シエル、よく眠れた?」

「あぁ、夢を見れたくらいよく眠れたよ、疲れもしっかり取れた。」

「よかった〜はぁぁ〜〜……。」

「まだ少し眠そうだな…悪いことしちゃったよ……。」

「ううん、大丈夫!もう朝だし、起きなきゃ…!」


ノルンの髪が寝癖でぴょんっと触角の様になっていて少しクスッと笑ってしまった…。


「寝癖直した方がいいかもなノルン、レインに馬鹿にされるぞ〜?」

「ん…?あ、ほんとだ…えへへ〜」


ーうっわ…もう可愛すぎるだろぉぉ

寝癖でできた触角で遊び始めたノルンに興奮がとまらない!!

いやいや駄目だ!危うく嫌われてしまう気持ち悪さを出してしまった…。ー

と自分を押さえつけ我に返る…。


「俺、先に外に出てるからシオンとレインも起こしてあげてくれノルン。」

「うん!わかった!」


扉を開けると眩しくて目を開けるのに少し時間がかかった、

昨日はあまりじっくり見ていなかったが、やっぱりこの村は綺麗だなと

見入ってしまう…。

視野いっぱいに広がる田や畑…

日差しが反射して綺麗に輝く川、

見ていて飽きないどこかとても穏やかな気分になってしまう。


「おや、起きられましたか…少しうるさくしてしまわれたかもしれません…。」


話しかけて来てくれたのは初めて顔合わせする住人だった。

どうやら村長から全員に俺たちの事情は話されていたらしく、嫌な顔ひとつせず気さくに話しかけてくれた。


「王国があるここ一帯は雨が全く降らないのにどうしてこんなに農作物が良く育つんだ?」

「あぁ〜、ヘリオス村は魔法を使える者が多くてですな、ほら…あぁやって魔法で適量の水をかけているんです。雨を降らせる魔法だと与えすぎてしまって駄目になる物も多かったのでこの方法にしたんですよ…だから雨が降らなくてもこれだけ良く育ってとても美味しくなるんです。

昨晩この村の料理を食べて頂けたようで…いかがだったでしょうか…?」

「それはもう!ものすごく美味しかったよ!ほんとうにありがとう。」

「いえいえ、喜んでいただけたみたいで私達もとても光栄ですよ…。」

「せっかくだからもう少し村を回ってみるよ、ありがとう!」


「えぇ、ゆっくりしていってください…ではまた〜。」


その場を後にして村を回っているとたくさんの住人に話しかけてもらった…。

俺たちがどんな職種でどんな人間かわかっていながら、こうやって優しく接して貰えることに喜びが増していった。

ほんとうに素敵な村だ…

そんな事を思っているとレインたちが起きてきたようで、ノルンが宿の方から手を振っているのが見えた。


「おーい!…シエル〜来て〜…。」


ーは〜いっ!今行くよ〜ん!!ー

「って…馬鹿か俺は……。」

ノルンの元に行くとレインが腕を組んで立っていた。


「早起きだなお前…俺はまだ寝てたかったくらいだ…はぁ〜ぁぁ…。」


「お前は寝すぎなんだよ馬鹿、でっけぇあくびしやがって!」

そういうとレインはギロっと睨んで来たので俺も睨み返した…。


そんな事をしていると中からシオンが出てきて不思議そうに俺とレインを見ていた。


「何してるの…?2人とも、朝から喧嘩なんて、すごい元気だね〜尊敬しちゃう〜」


そんな眠そうに言われても…とシオンの頭をポンッと優しくチョップした…。


ん?っという顔をするシオン…

あ〜朝からいい事づくしだぁ〜。


「ちがうよシオン、朝からこいつと喧嘩なんて…そんな面倒な事しません〜。」


「仲良いね2人とも…ノルン、おはよう!」


「うん!おはようシオン!」


「俺とお前そんな仲良いか?」


「知らんっ!俺に聞くな馬鹿シエル…。」

こんなくだらない会話

がずっと出来るくらい、毎日平和だったらといつも思う…。

そんな事を考えながらレイン達と話していると俺たちを呼ぶ声が聞こえてきた…。


「お〜い……あんだだぢぃ〜」


あの特徴的な話し方とあの声は間違いなく"オルダ"である。


オルダは元気に手を振り、叫びながら俺たちの元に駆け寄ってきた。


「夜はよぐねむれだが??」


「ものすごく!ありがとうオルダ、体もかなり回復したよ、それで急いでたみたいだけど…どうかしたのかい?」


そうオルダに問うと、ハッと思い出したように大声をあげた…。


「ぁぁああっっ!!そうだっだっ!村長様がおよびだっ!」


どうやら物忘れが激しいようで、よく村の住人達に迷惑をかけてしまうとオルダは俺たちに説明してくれた……。


オルダの後をついて行き村長のいるヘリオス村の中心にある大きな建物へと案内された。


中へ入るとモンスターの毛皮で作られたであろう立派で大きな椅子に座り、俺達を出迎えてくれた。


「朝早くから呼び出してしまい申し訳ない…昨夜は良く眠れましたかな…?」


村長はゆっくりと椅子から立ち上がり杖をついて布で巻かれた何かを手にし、俺の元へと近づいてきた。


「昨晩村の者がダーズ森林の奥にある祭壇の洞窟へと見回りに行った際、洞窟内でこれを見つけたと私の元へ持ってきたのです……なにか手掛かりになればと…お呼びしたのです…。」


村長のアルデラはそう言うと物を床に置き、布をめくった。

そして、めくられた布から出てきたのは長く束ねられた黒髪と、折られた剣先だった…。


「どうですかな?何か…心当たりは……?」


「なぁ、レイン…この髪って…多分デインの髪だよな…?

でもこの剣先はあいつらの"誰の物でもない"……。」


黒髪はデインの髪だと分かるのは、あいつは髪が少し硬く、まめに整えていた為その癖が髪質に出ていたからである。


だがこの剣先は明らかにミリスでもデインのでもなかった…。


デインは長く、特注の鉱石とヒュドーラの牙で造られた丈夫な槍なのでそもそも剣先の造りが違う…、ミリスは双剣だがあいつの剣に光を当てれば蒼く輝く為ひと目で見分けがつく…、

マキシスは剣先が紅く輝き

黒炎と名付けられた大斧を振り回す馬鹿だから全く違う…。


「なぁ、あいつら敵と戦闘になって敵の剣折ったんじゃないか…?」


「まぁ、そうだろうな…だがシエル、気づいていると思うが……デインの髪が落ちてたって事は敵の戦力はかなり高いって事だ…、あいつに当てられる奴なんて…ここらじゃまぁいねぇだろうな…。」


ー俺なら当てられるぞ?

レイン………。ー


「でもさ!髪が落ちてたけどそれ以外は落ちて無かったってことでしょ!ってことはまだ3人とも生きてるって事だよ!」


「そ…そうだよ!シオンの言うとおり、3人とも無傷では無いかもしれないけど生きてる可能性はかなり大きいって事だもんね…?」


「あぁ…、シオンとノルンの言うとおりだな!

この情報は俺たちにとってかなり有益だ…ねぇ…村長さん…これ以外には何も無かったんだよね??」


村長のアルデラが何か強ばっていたのを俺は見逃さなかった…。

何か言いたげなその表情は、村長は嘘が付けない善人だと確信を得ていたからだ……。


「実は……さすがに持ち帰っては来ていないのですが……

あまり不安にさせたくないと村の者には伝えずとも良いと助言を受けたのです……が、やはりお伝えせねばなりませんなぁ……。」


俺達は息を飲んだ……、

空気が重くなるのが体全体に伝わる…嫌な予感がした…、

なぜなら村長とオルダの顔が血の気のない真っ青な表情だったからだ…。


「な……なぁ…一体何があったんだよ…村長……。」

レインの声が震えていた…。

村長の口が開く……、


「村の者が見つけたのはもう一つあるのです……、刺青の入った……み……右腕です……。」


シオンとノルンが顔を真っ青にし、レインは膝から崩れ落ちた…。


俺もさすがに言葉が出ない…、デインの両腕に奴の王家の刺青が彫られているのを俺達は知っていたからだ……。


ーこの空気を変えなきゃまずいっっ……!ー

そう思うも声がなかなか出せなかった…

俺は大きく息を吸い、勢いよく吐いて、強く頬を叩く…。


パァァァンッッ!!!


3人は俺を見つめ、村長とオルダはドン引きしていた…。


「よしっ!!確認しに行くか!!」


大声で俺がそう言うと3人とも頭に???と疑問が浮かんでいるような表情で見ていて可笑しかった。


「んだっ?その変な顔は!

まだあいつらの腕って決まったわけじゃない!!そうだろ?なっ!?ノルン!」


「えっ…えーと…うん!そうだね!!お……」


お???


「き…きき……決めつけるにはまだ早いと思う!私は3人の腕見たことないから…わかんないんだけどね…えへへ……。」


「ったく……こんな時にヘラヘラしやがって馬鹿シエル…、ノルンもだ!気を引き締めて行くぞ……!」


「私の悪い癖かも…仲間を…大切な友達を信じないなんて一番酷いもんね…行こう!」


「よし!ってな訳だから村長、オルダ…、俺達でその腕見てくる!!」


「ハッ…言うと思ったぜ…お前ならそうするよな」


「腕を見に行くなんて嫌だけど、それで何かつかめるなら行く価値はあるね!…ノルン、大丈夫?」


「うん!私も協力するよシオン!」


三人が俺を見て無言で頷く…

覚悟が出来ているんだ…もし敵がいるなら正面から相手してやるって

そう強い意志を三人から感じた。


「あのどうぐづのながはたまにゴブリンだぢがあづまるごどがあるだ!まぁ…あんだらならしんぺぇねぇだな!!」


ーごめん…オルダ…半分以上よく聞こえなかった……ー


「どうかお気をつけて…次はお仲間達とまたこの村へ帰ってきてくだされ……龍の加護あらんことを……」


「大丈夫!!ありがとう二人とも…、

俺らそんな簡単に殺られる程弱くないんだからっ!

また必ずこの村に戻ってくるから、待っててほしい。

あっ…それと次はまた三人増えてると思う!アハハッ」


「えぇ…わかりました、食事と宿を準備してお待ちしています。

どうかご無事で……。」


村長の家を出て俺たちは装備を整え、村長から聞いた祭壇の洞窟へと向かった…。


ー洞窟へ向かう途中……。ー

洞窟へと続く道は奇妙な程静かで

魔物の気配すら全く感じず、そう時間がかかる事もなく洞窟へと近づいていた……。


「モンスター全くいないなぁ〜

暇だな〜……。」


「そ…それっていい事なんじゃ…シエル……」


ノルンは肩を小さくぶるぶると震えさせていた…。


この森で盗賊に襲われて生きていた子がこうも怯えた姿を見せられると調子が狂ってしまう…。


「ふっふ〜ん…違うぞノルン、もし敵に会った時の為に準備運動しとかないと!」


「ノルン、馬鹿の言うことだ……聞いても損だぞ…」


レインが口を挟む。


このアホうは余裕を見せてはいるが

不安でいっぱいなはずだ…

カッコつけがぁ〜……。


「えぁ…アハハ……レインはシエルと付き合いは長いの……?」


「そうだな〜……まぁ長いかもな、

フッ…出会いは最悪だったけどな…」


そういうとレインは俺をチラッと見てきた…。

なんだよ…って顔をしたら

レインは、フッ…と鼻で笑う…。


ーべ〜っー


「あ、私レインとシエルの出会った時の話知らない!私も気になってたんだよね…!」


シオンは興味津々でくいついて来た。


そういえばシオンにもレインと出会った時の話をした事がないな……と

ふと思い、いい機会だから話してみるかと口を開きかけた時…。


「まぁ…この件が片付いたら話してやるよ…」


ー今言うべきじゃねぇー

と言わんばかりに視線を向けてきた。


「お…優しいねぇ〜レイン〜、お前あんま思い出話し好きじゃないのに〜」


「チッ…黙れ馬鹿シエル!」


「へっへ〜素直じゃねぇのぉ〜…」


「フフッ……二人って本当は仲良しなんだね…そう思わない?シオン…なんか見てて兄弟みたいだなって...。」


「ノルンやめてくれ!こんな馬鹿と兄弟なんてあり得ねえ!!」

レインはかなり食い気味で否定した…。

もしこいつと兄弟だったら俺は兄ちゃんだな...っと思ったが口に出して言うと大声で怒るのが目に見えてわかるので言いたい気持ちをぐっっと飲みこんだ...。


「もしこいつなんかと兄弟なら俺はぜってぇ兄貴だな!!」

「ブフッ……」

レインらしいなと思うと笑いが込み上げてきた…。

「あははははっっ!!お前ってやつはほんとにっっ...あはははは!」

「んだよっ!きもちわりぃな...。」

「ほんとにノルンの言う通り、まるで兄弟ね……、二人はいっつもこうなの……でもこんな二人でも私は出会えて良かったと思ってるの、多分これからもずっとそう思ってついて行くんだろうな〜って……。」


「私も、私を助けてくれたのが三人で本当に良かった……シエル...レイン...シオン...ありがとう。」


「"運命"ってやつだな…俺たちがノルンに出会ったのは、絶対意味があるんだと思う…。」


「運命ね〜…俺がお前みたいな馬鹿と出会って、こうやって一緒にアサシンやってるのも意味があるのかね〜」

 レインはそう呟くと俺に少し視線をむけて、ーフッーと鼻で笑った。  


「おっ...着いたみたいだな...でっけ〜洞窟だな...。」


洞窟の中はたいまつで照らされていて、肉眼で洞窟の奥が見える明るさだった...。

洞窟内も洞窟の周辺も不気味な静かさに俺たちは喉をつまらせる...。


「嫌な静かさだな……さて...三人ともちょっと俺より数歩左後ろに下がろうか……。」


指示通り下がった三人を確認し一歩踏み出したその時...!!

シュッッッズトンッッ!!! ミシ...ミシミシ……。

刃が少し大きめのダガーが俺の顔の横を通り過ぎ、後にあった太い樹木に刃の半分以上が突き刺さった……。


「おいおい...嘘だろ...。」

レインの額から汗が垂れる...。

ノルンは一瞬の出来事に思考が追いついていないのか唖然としている。

シオンは刺さったダガーを確認した瞬間、瞬時に戦闘態勢にはいった。

すると洞窟の中から手をふらふらさせ、ゆっくりと歩いてくる何者かが姿を見せる。


「あっらら〜ざ〜んね〜ん...普通避けれんでしょあれは……。」

洞窟の中からゆっくりと出てきたそいつは、毛先が灰色で黒髪の見るからに歳が20前後のまだ駆け出しにしか見えない若者だった...。


「"アレ"...投げたの君かい...?いかんねぇ森を傷つけちゃ…森の精霊たちに叱られちゃうぞ?」


「おいおい...そんな余裕ぶっこかれちゃ〜さぁ〜...俺が弱いみたいだろ〜??」

「おっと..."弱い"の間違いじゃないかい...?」

「チッ...あんた嫌いだわ…その口ぶった切って一生開いたままにしてやるよ…!」

ー簡単に煽りにのってきた...やっぱりまだお子ちゃまだな…ー


「おい馬鹿!煽ってどうする…!気づいてるとは思うがあいつ片腕が無えぞ...。」

「分かってるよレイン...あの片腕だけであの威力だし…正直信じたくないかな…。」

「あぁ…俺も信じたかねぇよ...でもこれではっきりわかったな、村長が言ってた"腕"ってのはあいつのってことだな...。」


「おいおい...ぼそぼそ喋ってんじゃねえ!!俺に殺気出せよおらぁぁ!!」

男はもう一つのダガーを抜いて俺を目掛けて向かってきた…。



ー完全に思考能力が落ちてるな…だから……ー

「"弱いんだよ"」

「はっ……?なんで俺の背後にいんだ……ょ...。」

男の背を取りスッと抜いたダガーで男の左腕を斬り落とした…。

男の思考が追いついた時にはもう遅く、素早く動いていた為腕は勢いよく吹っ飛んだ。


「え……な...何が起きたの...?」

ノルンはまだ思考が追いついていないようだ……。

そんなノルンの頬を優しくつつく。

「ノルン〜しっかり俺の活躍見てくれてたかい??すっごいことしたよ…?」

「ご……ごめん……ちょっとわかんない……。」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!...クソッ...クソックソックソォォッッ……。」

男は急に視線をシオンへと向け、脚先にグンッと力を入れ地面を強く蹴った...その瞬間男の口が突如魔物のような鋭い牙に変わりシオンに噛み付こうとした……。


「シオン!逃げて!!」

ノルンが力強く叫ぶ…だがシオンは足が震えてビクともしない…。


ークソッ!!間に合えっっ!!ー

レインも気づきシオンのもとへ向きを変えるが距離がありすぎる...。

ー届けぇぇぇぇ!!!!っ……。ー

必死の思いで瞬時にシオンへと手を伸ばす……。


「ダメ……足が震えて…動けない……。」

「シオオオオン……!!!」

「シエル...ごめん……。」


「グルラア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」


ドグッッシャアアアアアアッッッッッ……!……

辺り一面に血飛沫が飛び散る……。


「シオン!!くそっ…前が…見えない……!!」

必死に顔についた血を拭い、視界に写った先には……


「シオン…!って…おまっっ!!?……デ...」

一瞬だ...シオンの頭が噛みつかれようとするそのほんの一瞬の出来事……、上から男の頭上に強く突き刺さる鋭く太い金色の槍、それは男の脳天を確実に突き刺し、余裕の立ち姿で男を踏んずけていたのは…


「デインッッッ!!!!」

そこに立っていたのは、風になびく黒い長髪に、身につけた金色の首飾りが陽の光に反射し、神々しいとさえ思える男…"デイン"だった…。

俺は嬉しさのあまり思わず大声で叫んでいた…。

ーこのタイミングの登場はズルすぎるっつの…ー

とデインに視線をおくった。


「悪い...邪魔したか……?」


「いいや……完璧だ…」


:シエル ーこんのぉ…ー

:デイン ーこの…ー

「大バカ野郎…!!」

「大バカ野郎め」


~道化の章~【因縁と因果】へ続く...。



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