第5話 めぐり合ってしまった2人
金髪の子供と、黒髪の子供が崩壊した村に辿り着く。
「何だこの村… ひでぇ…」
辺りは壊れた木材、荒らされた土、そしてスライムの残骸にまみれていた。
金髪の子供が周りを見て言う。
「スライムが、妙に多いな。」
2人が、崩壊していない建物へとはいる。
中は悲惨な有様で、割れた花瓶や皿、スライムの残骸が床に落ちていた。
「スライムが集団で村を襲ったのか?それともスライムが作った村なのか…」
黒髪が床に落ちた花瓶を見て、金髪の疑問に答える。
「多分、後者だね。この部屋ちょっとおかしいもん。花瓶に花は刺してたみたいだけど、シミがないから水入れて無さそうだし。」
「乾いただけじゃねぇのか?」
「まぁ、それもありえるね。けど、ベッドが小さかったり、皿が全部新品だったり。この家、ところどころ何かおかしいから。やっぱりスライムが僕たちのマネ事をしてたんじゃないかな。」
「じゃあ、やっぱりあいつが、俺たちの村にいた理由って…」
金髪の言葉に、黒髪が頷く。
「やっぱり、あいつを見つけて謝ろう。リズ姉にも話せば分かるだろ!」
2人は頷き、村を出た。
――――――――――
『ヒューマノン』を破壊し尽くしたリチュは、再び『ヒューマ』の村に向かい歩き出す。
まだ、スライム狩りをしている人間がいるだろうが、『ヒューマノン』の破壊で復讐心の落ち着いたリチュは、とにかく落ち着いた帰る場所を求めた。
リチュは、丸太を複数持ちながら、『ヒューマ』の村へと向かった。
村に着くと、数々の子供がリチュに向かって走り出した。
リチュは、久しぶりに心温まる感情に包まれた―――
直後、子供達は、リチュに小石を投げる。
「出ていけ!この化け物!」
「お前のせいで、俺の友達はどこかに連れてかれたんだぞ!!」
「のこのこと帰ってきやがって!!」
次々とリチュに降りかかる小石と罵詈雑言。数々の敵意を受けて、リチュの心に広がっていた暖かな感情が消える。代わりに、どす黒い感情がリチュを染める。
リチュは手に持った斧で、子供の1人の頭を割った。
子供の悲鳴が村を包み、大人達も建物から出てくる。
狩りに出かけているのか男性はおらず、大人は女性しかいなかった。
子供や大人の女性達が、木の棒や石でリチュを攻撃する。
しかし、そんな
小さな村は為す術もなく、数分で人が1人もいない静かな村へと変わってしまった。
「どういう… 事だよ…」
聞き覚えのある声がリチュの元へ届く。
それは、リチュが1番聞いた声で、人間の村に生活するきっかけを作った声で、スライム達が複数死ぬ事件のきっかけとなった声だった。
「リチュ姉!! 何があったんだ!!」
ガキンが、リチュの方へ駆け寄る。
そして彼は、リチュの持つ、血の着いた斧を見て、リチュを睨みながら離れる。
「リチュ姉… もしかして…」
リチュが、ガキンの方に振り向き、笑顔を作る。
「久しぶりです、ガキンさん。
ええ、彼らは私が殺しました。」
その言葉に、剣を構えるガキン。
「どうしたのガキ…ン?」
キズーが遅れて、ガキンの元へ辿り着く。
「なんで、なんで皆を!! 俺たちはお前を信じてたのに!!」
叫び声にも聞こえるガキンの言葉を聞いてもなお、笑顔で答えるリチュ。
「私もこの村を信じていたんですよ。それなのにあんな事をするから…」
「村のスライムのことか!アレはこの村は関係ない!! そんな勘違いで皆を殺したのか!! この…
くそスライム野郎!!」
ガキンの言葉を聞き、笑顔のまま斧を彼に向けるリチュ。
「貴方も私を。そうですか、酷いですね貴方。」
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