NTRトライアングル

@dekai3

曲がりくねった一本の棒

「濡らすのはいい…ローションでも勝手に付けて…」


 僕の顔は見たくないと、ベッドでお尻だけこちらに向けた彼女が言う。

 彼女からしたら僕に触られたくもないし、こうして裸どころか性器を晒すのだって嫌なのだろう。

 微かに震えている手足が内心を物語っている。


「じゃあ、冷たいかもしれないけど」


 僕はそう言いながら、彼女が涙目で咥えて大きくした自分の性器にねっとりとした液体を垂らしていく。

 もう冬だからか常温のローションは冷たいけれど、血を滾らせている僕のモノが萎える事は無い。


「早くしてよ……出してくれさえすれば後はいらないんだから……」


 こちらに顔は向けぬまま、泣きそうな声をした彼女は僕に行為を迫る。

 僕としてはそろそろ慣れて欲しい物だと思っているが、それはそれで困るし、彼女は意にそぐわぬ行為に気を遣うつもりは無いらしい。

 彼女との行為はもう数回にも及ぶというのに。


「そっちにも付けるね」

「……いい、触られたくない」


 彼女の性器にもねっとりとした液体を垂らそうとしたのだが、彼女はそれを必要無いと切り捨てる。

 多分だけど、僕の配慮も受けたくないのだろう。僕に抱かれるのは必要があるからであって、不快感が解消されるのを良しとしないのだ。

 むしろ、この後の事を考えると不快感が高い方がいいのだろう。

 それなら都合がよいだろうと納得し、彼女の腰を掴んで自分の下半身へと引き寄せる。


「っ………!!!!」


 前触れ無しに、一息に奥まで貫いた。


「ぐぅ…う、うぅ……うっ……」


 一息遅れて漏れ出す、彼女の嗚咽。

 僕としては彼女の要望にも応えてあげたいので、彼女が望むのならとわざと苦しむように動き出す。

 相手の事を考えない自分の欲求の為だけの動き。

 力任せに、無理やりに、痛がろうが苦しもうが決して止めない。

 只管に僕のモノが気持ち良く精を放つ為だけに彼女の体を使用する。

 実を言えば僕だって好きで彼女を抱いている訳じゃない。

 お互いに納得済みの筈。

 なのに、彼女は僕だけを悪者にしたいという態度を取る。

 それが、少し鼻に付いた。











「………出すよ」

「………さっさと出して」


 暫く後、僕はこの行為の終わりを告げる。

 彼女はそれに質素に答える。

 相手が納得しなくとも、刺激があれば行為を終えることは出来る。


「………抜くよ」

「………終わったら早くどいて。ほら、早く!!」


 僕のモノを抜いた後、彼女は漸く我慢が終わったと急に活発になる。

 そしてソファーへ移動する僕には目もくれず、ベッドの横で僕と彼女の行為をずっと見ていた僕の恋人へと待望の眼差しを向ける。


「んふふ~、頑張ったねおねえちゃん! ほーら、おちんちんが入った場所きれいきれいにしましょ~ね~!」

「うんっ!!」


 さっきまで僕のモノが入っていた場所に口を付け、まるで傷口を消毒するかのように舐め回す僕の恋人。

 僕はソファーに座って煙草を吸いながら、その行為を見つめる。


「おねえちゃんのここ嬉しそうにしてるね! そんなにあたしに触られるのが嬉しいのかなぁ~?」

「嬉しい! カナちゃんに触られるの嬉しいよぉ!!」


 僕の恋人のカナエは孤児院で育ったらしい。

 孤児院と言ってもそれなりのお金がある子供が入れる寮の様な物で、そこは女の子専用の施設だったそうだ。

 カナエはそこで施設の従業員のクミコさんに目を付け、自分の虜にした。


「あはは! ほら、おねえちゃんのお腹を中から押すとこんなになるよ!」

「あぁ! カナちゃん!! カナちゃんんん!!!!!」


 僕はそんなカナエの境遇は知らないまま大学で出会い、僕としては普通に恋に落ちたつもりだった。

 カナエは僕の告白に喜んでくれて、カナエも僕の事を好きだと言ってくれた。

 そして翌日、カナエは僕にクミコさんを「保護者」として紹介してくれた。

 そこでカナエが孤児だった事も知ったし、そんな境遇なら「保護者」であるクミコさんが僕に対して厳しい目を向けているのも仕方ないなと思った。

 でも、実際は違っていた。


「あぁ、おねえちゃんの中から垂れてきちゃったね…」

「え、カナちゃん!? そんな、汚いよ!!」


 ――カナエが音を立てて、クミコさんの中に放った僕の精を啜る。

 ――クミコさんは恍惚とした表情でそれを見つめ、体を小刻みに振るわせている。


「ふふ、ごちそうさま!」

「ああ、カナちゃん……」


 カナエは『汚された女性』にしか性的な興奮が出来ず、

 クミコさんは『カナエ』でしか性的な興奮が出来ない。

 そして僕は『嫌がる女性』にしか性的な興奮が出来ない。


 カナエは自分とクミコさんとの関係も継続させる為に、僕のクズな性的思考を理解した上で告白を受け入れてくれたのだ。

 それまでのクミコさんは深夜の講演や路上を歩いて男に襲われるのを待っていたというのだから、それを考えると今の関係はまだ健全なのだろう。

 ちなみに、カナエは男とのセックスは出来るが子供を産むつもりは無いらしく、僕とカナエの子供はクミコさんが産む予定になっている。

 そういう契約もあるので僕としてはクミコさんとも仲良くしたいのだが、クミコさんからしたら僕はカナエを奪った間男みたいな物なので仲良くしたくないらしい。

 僕からしたら恋人から「実はあなた以外に好きな人が居ます」と言われたような物だし、カナエは楽しみながらセックスするから僕と体の相性が良くないので、僕からしてもクミコさんは必要なのだ。


「ね、まだおちんちん元気にならないのー!? ほらおねえちゃん、また元気にさせてあげなよ、ね?」

「カ、カナちゃ……いえ、カナちゃんがそう言うのなら……」


 目の奥に怪しい光を灯すカナエの言葉に従い、クミコさんが渋りながらソファーに座る僕の足の間の収まる。

 どう見てもカナエは僕と話す時よりもクミコさんで遊ぶ時の方が楽しい顔をしているし、クミコさんもカナエの為になら心底嫌でも僕の相手をしてくれる。


 カナエを挟んだ歪な関係。


 クミコさんにカナエを奪われたのか僕がカナエを奪ったかは分からないけれど、この先が繋がっていない三角関係トライアングルはずっと続くのだろう。


 僕はクミコさんの軽蔑の眼差しを受けながら、その口内で二度目の怒張を迎える。

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