第29話

「ケー兄お風呂ありがとう、おかげでさっぱりしたよ〜ねーねーケー兄こっち来てきて」


 お風呂上がりでほんの少し顔を火照らせまだ髪が乾ききっておらず肩に張り付いたままゆいちゃんがこちらにやってくる。寝巻きは白のスウェットでとても似合っていた。


「ん?どうしたの、なんかあった?」と言われたようにゆいちゃんのそばに向かう。


「えへへ、どう?今日はケー兄と同じ匂いだよ。ケー兄の匂いってなんか落ち着くねー不思議〜」


 ゆいちゃんの言葉に少しドキッとしたがまだ男とか意識してないから言えるんだろうな。これが英梨さんに言われでもしたら………俺は一体なにを考えているんだと思っていたら英梨さんがヒョコッと顔を出しこちらをチラッチラッと見ているのに気づく。


「英梨さんもさっぱり出来たかな?ほらっこっちに来なよ。食後のデザート出すからさ、火照った体に冷やしたチーズケーキは美味いと思うよ」


「そうだった、チーズケーキあったんだよね!ほらっお姉ちゃん早くこっち来なよ。お姉ちゃんが早く来ないとチーズケーキ食べれないよー」


英梨さんが観念したように出てくるとそこには、まるで物語に出てくるようなカワイイワンピースを着ていてつい見惚れてしまう


「そっそんな見られるとはっ恥ずかしいです」


「あっごっごめん、ついカワイイなと思ってこんな姿見る機会ないし」


「カッカワイイですか?この寝巻きお気に入りなんです。肌触りも良くて寝る時落ち着くんですよ」


「うん、お姉ちゃんのそれカワイイですよね、だからね早く来てよお姉ちゃんチーズケーキ、チーズケーキ」


「分かったから騒がないの!すいません敬斗さんゆいが騒がしくて」


「いいよいいよ、こんな風にこれから賑やかになるんだから慣れていかないと、今まで一人だったし」


「そうだよ、お姉ちゃんこれからは三人なんだから」


「もう敬斗さんはゆいに優しすぎます」


「ほらほら英梨さんも座って、ちょうど皿にケーキ盛ったからみんなで食べよ、千鶴さんもどうぞ」


「今日は来て良かったわ〜食後のデザートなんていつぶりかしら」


 みんなが席に座りチーズケーキを渡していく。ゆっくりフォークを使って一口大に切っていく、口に運ぶとヨーグルトの酸味が口に広がりながらチーズの香りが鼻に抜けていく。シンプルなやつだからこそ分かる丁寧な作りが実感出来る。硬さも程よく食べていると実感も出来る。


「ケー兄このチーズケーキ凄いさっぱりしてて美味しいよ〜。これならいくらでも食べちゃいそう」


「ごめんね、この一皿で終わりだからゆっくり食べてね」


「本当美味しいです敬斗さん、火を使わないなら私でも作れるかなー?チャレンジしてみようかな」


「作り方は簡単だから英梨さんでも問題ないよ、今度一緒に作ろうか」


「お姉ちゃんずるい、ゆいも作るゆいと作るからー」


 賑やかなデザートタイムも終わりあとは風呂に入って寝るだけだ。


「それじゃ敬斗あんたは着替えを取ってきたら部屋に出入り禁止だから、これからは遅くならない程度に女子会やるから」


「いや、寝る場所あれだから部屋を提供するのはいいけどさ、あまり変な話はしないでくれよ」


「それは分からないわね、まっ頭には入れとくからさー行った行った」


 俺はささっと皿を洗い着替えを取りに行くのだった

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