第27話

逃げるように風呂場に去っていた英梨さんにため息を吐きながらゆいちゃんが仕方ないなぁと後を追いかけていくがすぐ戻ってくる。


「ケー兄もし我慢出来ないなら見にきてもいいからね、婚約者なんだしいつか見るでしょ?私の貧相な体には興味ないだろうし、お姉ちゃんのは脱いだら本当にすごいよー」と言って走り去りまたすぐ駆け抜けていくが俺の横を通りすぎる時にポトッと何かを落としていく。


「ゆいちゃんなんか落としていったよ?必要なものじゃないの?」俺はすぐゆいちゃんに問いかけると


「!!ケー兄分かったからそれは拾わないであっちいって」と珍しく慌てたように言ってくる。


俺は、その言葉を聞く前に反射的に落ちたものを拾ってしまい何かを確認してしまう。その手に持ってしまったのはかわいらしいイチゴ柄のパンツであった。


ゆいちゃんが俺の手に持ってあるのを確認すると今まで見たことのないような素早さで俺の手からイチゴパンツを奪い去り去り際に


「ケー兄のエッチ」と顔を赤くしながら呟いていった。


ゆいちゃんからの言葉にちょっと呆然としていると小さくフフっプハハと笑い声が聞こえてくる。


「あの年でも女の子だねー、いやあの年頃からどんどん女の子になっていくのかね」


千鶴さんが目を細めながらなにかを懐かしむかのようにこちらに話しかけてくる。


「あんたたちこれから一緒に住むなら気を付けなきゃだよ、二人とも年頃の女の子なんだから事故でも見られて嫌われることだってあるんだから」


そうだよな、一緒に住むってことはその辺の対策も考えなきゃいけないよな。休みはあれだけど普段は過ごす時間帯が違うからその辺で調整かな。


「それにしてもそんな顔を見れる日が来るとは思わなかったよ、料理以外まったく感情を表に出すことなかったのに今日は色々な顔を見れて嬉しいね」


「そんな事ないとは、いや…そんな事あるのかな?多分これからはあの二人が色々な感情を出させてくれると思うよ、いい意味でも悪い意味でも」


「それは私としては楽しみだわ、これからは定期的に顔を見に来たいし、あの子たちもこれからは私の娘と言ってもおかしくないしね。それに引っ越し先もこれからは探さなきゃいけないでしょ?私の知り合いにいい物件を扱っている人がいるから明日話だけでも一緒に聞きにいきましょ」


「ありがとうございます。俺だけだとセンスとか偏りそうだったんで助かります。女の子と暮らすことを考えると色々考えないといけないから」


「その辺は任せなさい、同じ女目線でしっかり見てあげる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る