第7話
「待たせちゃったな、とりあえず俺の信頼出来る人に相談してみたからなんか進展あったら教えるから信じて待って欲しい」
「ここまで来て嘘をつくなんて思っていませんよ。不安な気持ちはありますが」
手を握りしめ力を入れているのが見て分かる。俺はそっと手に触れてギュッと握る。
「エッあっあぅ、だっ大丈夫ですよ、あっそっそうだ、そろそろ妹を迎えに行かなきゃ」
流石に恥ずかしくなったのか逃げるように慌て出す。
「そっそうだな、そろそろ洗濯も乾く頃だろうし、雨も止んできたみたいだからちょうどいいかもしれない」
「それじゃちょっと確かめてきますね」
……やっちまった〜 いきなり手とかに触れたらそりゃ警戒しちゃうよな。そのへん全く知識ないからどうしたらいいんだろうな、料理だけだったもんな。
「敬斗さん洗濯終わってました。ありがとうございます、それでですねこれから連絡取れるようにLimeの交換しませんか?」
「Limeなら持ってるから交換しておくか、今後連絡は必要だしな、それと俺が相談した人から詳しく話を聞くかもしれないからその時は頼みますって言ってたわ」
「そうですね、しっかり状況を話さないとその人も困りますよね。その時は私もちゃんと説明しますのでよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくな、それじゃ妹さん早く迎えに行ってやりな、親戚のおじさんとかは大丈夫か?」
「はい、まだ保護者になったわけではないので、一緒に住んでいるわけではないから。それもいつまで保つかですが」
「…そっか、早く進展するよう言っておくから」
「ありがとうございます、それじゃ行きますね。今日はありがとうございます、それと今日頂いたスープですが、薄味かと思いきやコクがしっかりあって優しい味でした。こんなスープなら妹にも飲ませてあげたいと思っちゃいました。こんな幸せな気持ちになるスープ初めてです」
彼女からこんな感想が来るなんて思わなかった。確かに俺から感想は求めたが、まさかそんな笑顔で答えてくれるとは。
「それではまたスープ飲ませてくださいね、妹の分もその時はお願いします」
彼女は来た時の悲しみを背負った顔ではなく笑顔で出ていった。
両親二人はどんな気持ちだったんだろ?自分の料理で笑顔になってくれた人の顔を見て今の俺みたいに幸せな気持ちになったんだろうか?たった一人でも一人の人を自分の料理で笑顔にする事ができた。この感覚を覚えてしまったら料理を辞めることなんて出来ないよな。
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