第26話:ケイスケのことを思うあまり。
ケチャップに酒なんか飲ませたおかげで、彼女は我を失って泥酔したままだから、
俺の血を全部吸ってしまいそうだった。
無理に引き離さなかったら俺は気を失ってただろうな・・・。
「ケチャップ・・・いいかげんにしろ・・・俺を殺す気か?」
引き離したケチャップは、目があっちの方向に行っていてクチから血が
垂れていた。
「しっかりしろよ・・・」
俺はケチャップのほっぺたを、軽く叩いた。
俺にほっぺたを叩かれて少し我を取り戻したのかケチャップは目をパチクリ
させて俺を見た。
「あ・・・ごめん・・・ねえ、ケイスケ抱いて・・・私を抱いて」
「大丈夫か、おまえ」
「エッチしてお願い」
「ほんとのこと白状するとね・・・前から思ってたの・・・」
「最初にケイスケとエッチして血を吸った時ね、いつか理性が効かなくなって、
自分を止められなくなるんじゃないかって・・・」
「自分の欲求を止められなくなったら、どうしようって・・・怖くて」
「いずれはそうなるって、なんとなく分かってた気がするの」
「ケイスケのことは愛してる・・・でも死なせちゃったら、おしまいでしょ」
「なに言ってるんだよ」
「だから、私と一緒にいたら、きっと取り返しがつかなくなるよ」
「もしかしてケチャップ・・・変なこ考えてないか?」
「ケイスケ・・・私たち別れよ」
「そんなのダメだって・・・なに言ったんだよ、冗談だよな・・・ケチャップ」
「私、わがままばかり言ってケイスケを困らせてるし・・・」
「こんなこと繰り返してたら、いつかケイスケに捨てられるかもしれないし」
「そんなことないって・・・捨てたりなんかするわけないだろ?、バカなこと
考えるなよ」
「ずっと、このままこの家で暮らせばいいじゃないか?」
「俺はもう決めてるぞ・・・ケチャップと一生愛し合って暮らして行くって」
「その気持ちはとっても嬉しい・・・でもね・・・愛だけじゃどうにもならない
こともあるの」
「もう二度と酒、飲まなきゃ、我を失うこともないじゃん?」
「お酒だけの問題じゃないと思う・・・」
「私はケイスケの血を吸うことに我慢できなくて、どんどんエスカレートしてっ
ちゃうよ・・・分かるもん」
「愛しすぎるあまり、パートナーを死なせちゃったら最悪だよ 」
「そんことになることが見えてて、それでも愛をつらぬく勇気は私にはないよ?」
「それにケイスケは元カノ、桃香さんにまだ未練があるんでしょ?」
「今、関係ないだろ、そんなこと」
「関係あるよ」
「もし桃香さんが戻ってきたら?」
「そんなこと考えたことないし、今はその問題は重要じゃないし・・・。」
「でも、本心はやり直せるなら、そうしたいって思ってるんでしょ」
「まあ、嫌いで別れたわけじゃないからな、憎しみあって別れたわけじゃないから」
「もう一度会いたい?」
「会いたいけど会えないだろ?・・・向こうがイヤだって言うに決まってるよ」
「でも、ヨリを戻せるなら、戻したい?」
「なんで、そんなことにこだわるんだよ・・・今の俺たちには関係ないって
言ってるだろ・・・」
「関係あるんだよ」
「これからのケイスケには、めちゃ関係あるの・・・」
「やっぱり人間は人間同士・・・それが自然な関係なんだよ」
「異星人同士なんて無理だったんだよ」
「まさか・・・星に帰るってバカなこと考えてないよな?」
「ちょっとだけ考えてる・・・うう〜ん、まじ本気で考えてる・・・」
「ザッハトルテとミルフィーユが地球にやってきたのも、その兆候かもしれない
じゃん 」
「それに私は充分、すてきな経験をケイスケにもらったし・・・」
「私とは最後だと思って、今から抱いて・・・思い切りエッチして、私の中に
入って来て・・・」
「エッチしてくれないと暴れちゃうから!!」
最後かどうかは別にしてエッチしないと収まりそうになかったから俺は
ケチャップを抱いた・・・なんでこんなことになったんだよ。
そもそも俺の理想の女がバンパイアじゃんきゃよかったんだ。
つづく。
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