第25話:酒癖がめっちゃ悪いお姫様。
ってことで、夕方俺たちは連れ立って俺の知ってる居酒屋へ・・・。
ケチャップとザッハトルテとミルフィーユも連れて全員でタクシーに乗って
出かけた。
俺が20歳になる前からお世話になってる店。
元カノ「桃香」と知り合ったのもこの店。
実はこの店は桃香の母親の姉がやってる店で、桃香はバイトで手伝いに来てて
俺が見初めた。
桃香と別れたあとも、時々この店に来ていたが一度も桃香とは会ってない。
万が一にも俺に会うのが嫌で来ないのかもしれないな。
店の中に入ると、すでに数人の常連さんで賑わってた。
「あら・・・ケイちゃん・・・久しぶり」
そう言ったのが店の看板娘「みっちゃん」・・・って言っても俺より五つ年上
だけど・・・。
愛想がめっちゃいいから、客受けがいい。
みっちゃん、目当てに来てる客も多くいるみたいだ。
「みっちゃん・・・元気してた?」
「元気、元気ハツラツ・・・なんとかミンシードリンク」
「ケイスケ・・・誰?」
ケチャップが目ざとく言った。
「この店を手伝ってる、お姉さん・・・」
「めちゃ親しそうだけど・・・もうエッチしたの、あの人と・・・」
「なわけないだろ・・・あのな、俺は誰彼なしにエッチしたりしないよ」
「俺はただの客だよ・・・」
「ケイちゃん、めずらしく連れがいるんだね・・・」
みっちゃんは俺の連れケチャップとザッハトルテとミルフィーユを見て言った。
「ああ・・・まあな・・・」
「俺の親戚のおじさんとイトコ・・・それと俺の彼女・・・」
「はじめまして親戚のおじさんにイトコさん」
「それとケイちゃんの彼女ちゃん」
「って・・・いつの間に彼女作ってたのよ・・・桃香・・・・」
「まあ〜可愛い彼女ちゃんじゃん・・・」
「ケイちゃんにはもったいないわね・・・」
「お名前は?、なんて言うの?」
「メチャップです」
「外人さん?」
「あ〜みたいなもんです・・・別の星から来たもので・・・・」
「そうなんだ、じゃ・・・ゆっくりしてってね・・・なににする?」
「まずは、全員ビールでいいかな?」
「とりあえず、それでいいよ・・・みっちゃん」
ザッハトルテとミルフーユは初めての居酒屋で借りてきた猫みたいになっていた。
だけど酒が入るにつれて、それぞれの本性が垣間見えてきた。
ザッハトルテは酒が入るとバカ陽気になる・・・ミルフィーユは泣き上戸・・・
問題だったのはケチャップ・・・笑い上戸に泣き上戸・・・怒ったり甘えたり、
忙しいこった・・・酒癖がめっちゃ悪いお姫様だよ・・・」
ケチャップは店の中でグダをまき散らし始めた。
飲みに連れてくるんじゃなかったかな、俺は少し後悔した。
そのまま放置しとくと店に迷惑がかかりそうなので、早々に引き上げることした。
「みっちゃん・・・お勘定・・・」
「あら、もうお帰り?」
「こいつらが店に迷惑かけないうちに帰るわ・・・今度は俺一人で来るから」
「そう・・・また来てね、ケイちゃん」
俺は、みんなを引き連れて店を出た。
ザッハトルテとミルフィーユは酔ってはいたがフラつきながらでも自分で
歩いていた。
ケチャップは・・・コンニャクか豆腐あるいはスライムみたいになっていた。
俺がいないと道端でそのまま寝てしまいそうだった。
「みっじゃんは・・・馴れ馴れじい、ケイスケに・・・」
「自分の彼氏でぼだいぐせじ・・・」
「ケチャップはなにヤキモチ焼いてるんだよ」
「商売だよ・・・客に愛想振りまかないと商売になんねえだろ?ああいうのが
普通なんだよ」
(ったく・・・へべれけに酔ってるし・・・)
帰りのタクシーの中でもケチャップは俺にからむからむ。
「ケイスケ浮気したら許さなだいかだで・・・」
「浮気なんかしないよ」
「浮気なんかしたら・・・一生恨んでやずかだ・・・」
「私をフったら、アソコ握りつぶじで・・トンカチでぺしゃんこにじで
スルメびたいにじて使い物にならなぐじでやるからだ・・・」
「女の子が、なんてこと言うんだよ・・・」
「飲みすぎだよ・・・いいかげんにしろよ」
「酒グセ悪い姫ですな〜始末におえませんの〜」
ザッハトルテは他人事みたいに言った。
「まったくだよ、お姫様っては日頃のうっぷんが溜まってるんだな・・・」
家に帰ってもケチャップは泥酔していて、すぐに俺を襲って来ようとした。
「やめろって・・・ダメ女になってるぞ・・・」
「バカケイスケにバカザッハトルテ・・・童貞ミルフィーユ」
「あの私たちは二階に退散させていただきますから・・・」
そう言ってザッハトルテとミルフィーユは逃げるように二階へ上がっていった。
「昨夜の埋め合わせ・・・してくでるんだろどうな、ケイスケ」
「そんなにベロベロに酔ってて、できるかよ?」
「喉、渇いた・・・・ケイスケ・・・血、吸わぜで・・・」
「トマトジュース飲めよ」
「あんなのじゃ喉も体も潤わないの・・・」
「ね?・・・血、吸わぜで、お〜で〜が〜い〜」
「しょうがないな・・・じゃ〜少しだけだぞ」
そう言うとケチャップは俺の首筋に吸い付いてきた・・・。
少し吸ったら、すぐにやめると思ったらケチャップは血を吸うのをやめない。
「たちまち血を吸われる快感が押し寄せてきた」
でもやたら長い・・・ケチャップは俺に吸い付いたまま離れない。
「ケチャップ・・・もうそろそろいいんじゃないか?」
「俺の体の血、全部吸っちゃうつもりか?」
「酔っ払ってるから、見境つかなくなってるんだろ、おまえ」
「ああ・・・俺、干からびて死ぬかも・・・」
つづく。
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