第14話:トマトジュースなんかで誤魔化すつもり?。
その夜は焼肉だった。
ケチャップは美味しい美味しいと、ギャル曽根ばりに肉、肉、肉を食った。
肉だからな・・・これで多少ケチャップの禁断症状が出る日にちが遅れるかもな。
お腹が満腹でゲブゲブ言ってるケチャップに俺は冷蔵庫の中からある物を出してきて
彼女に勧めた。
「あのさ・・・これ飲んでみ?」
俺が買ったものは、それはトマトジューズだった。
俺はケチャップにトマトジュースを出してやった、いわば試験的に。
「なにこれ?」
「トマトジュースって飲み物・・・いいから飲んでみて?」
ケチャップは恐る恐るトマトジュースを、ひとくち飲んだ。
「美味くない・・・オレンジの方がいい」
「え?美味くないのか?」
「それって何かに似てるって思わないか?・・・違うのかな?」
「俺は血は吸ったことはないけど、傷口から出てる血は舐めたことあるけど
味はそんな感じだった気がするけどな・・・」
「え?・・・もしかして・・・これって血の代わり?のつもり?」
「あ〜いや・・・トマトジュースならお手軽かと思って・・・スーパーとか
コンビニへ行けば手に入るしな・・・。
これ俺の血の代わり?俺の血が吸えない時の・・・」
「うそ・・・こんなもの血の代わりになんかなんないよ」
「こんなもので、誤魔化そうとしてる?」
「ケイスケ・・・私に血を分けるの、やっぱりイヤなんだ」
「ジュースを血の代わりに使おうなんて・・・」
「いや、そういう訳じゃないんだけど・・・もしかしたらトマトジュースで
我慢してもらえるなら、それに越したことないかなって思って・・・」
「ケイスケ・・・私をバカにしてる・・・こんなことで誤魔化せる訳ないじゃん」
「ひどい・・・」
そう言ってケチャップは泣き出した。
「悪かったよ・・・ごめんな・・・謝るから許してくれる?」
「終わりだね・・・私たち・・・恋人解消だよケイスケ」
「え?このくらいのことで?・・・解消?・・・」
「このくらいって、私にはこのくらいじゃ済まないの・・・」
「交流って話もこれでおしまい・・・」
「私がケイスケの血を吸わせてもらえないのなら一緒にいる意味ないでしょ?」
「そういうのに関係なく俺のことが好きだって言ったじゃないか?」
「だけど・・・なんか・・・裏切られた気持ちだもん」
「じゃ〜なに?・・・異星人との交流って話はもうおしまいなのか?」
「だね・・・ごめんねケイスケ」
「そうなんだ・・・そうか・・・しかたないか、そうだよな」
「悪かったな、姑息な手段使ってごまかそうとして・・・」
でも、そこまでケチャップがショック受けるとか思わなかったから・・・」
「トマトのジュース見せたら私が笑ってくれると思った?、ウケる〜って
言うとでも思った?」
「そこまでは思わないけど・・・」
「そうか・・・許してもらえないのかな?・・・じゃ〜自分の星に帰っちゃう
のか?・・・」
「この企画もここまでなんだ・・・」
「そうだね・・・残念だど・・・」
「まさかトマトジュースが別れる原因になるとはな・・・」
「帰らないで欲しいって言ってもダメか?」
「・・・・・・帰る・・・」
「そうか・・・分かった・・・今夜はもう遅いからここに泊まって明日
自分の星に帰ればいい・・・」
「ほんとに悪かった・・・考えてみたらトマトジュースってな・・・安直な
考えだよな、バカにしてんのかって思うよな・・・」
「本当にごめんな」
「・・・おやすみ、ケチャップ・・・」
そう言って俺はケチャップをリビングに残したまま2階の自分の部屋に引っ込んで行った。
意気消沈だよ・・・一週間も経たないうちに彼女にフラれるなんてみっともねえ。
桃香とも、なんか些細なことで別れる原因作った気がするな。
まさかトマトジュース一本で、何もかもなくしてしまうなんて思いもよらなかった。
たかがトマトジューズくらいで・・・。
だけど考えてみたら、トマトジュースがイヤで俺がイヤならスライムに戻りゃ
いいじゃん。
なにも無理して俺の理想の女になる必要ないんだから・・・。
でもまた明日から、ひとりの生活か・・・ケチャップが恋しくなるだろうな。
おまえがいなくなったら、俺はどうしたらいいんだ?
もう人間の彼女なんか作る気にもならないし・・・どうしたらいいケチャップ?
教えてくれ・・・。
つづく。
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