第12話:彼女を連れてスーパーへ。
「あ、そうか・・・その手があったか・・・俺、バカだな」
「吸うことばかり考えてたけど、飲むって手があるな・・・なるほど・・・」
そうか飲むのか・・・飲む?・・・。
そこで俺は閃いた・・・これはナイスアイデアだと思った。
「私がもしケイスケの血を飲むときは採血させてね・・・大きめのペットボトル
3本分くらいでいいから・・・」
「そんなに抜いたら、まじで、死んじゃうだろ・・・」
「冗談だよ・・・本気で真に受けて・・・ケイスケか〜わいい♡・・・」
「からかうんじゃないよ・・・」
「採血って・・・病院で検査されてるみたいで・・・血、吸われるより嫌だよ」
「・・・あのさ・・・血、吸ってもいいけどさ」
「まじで定期的に、俺の血、吸わないとダメなのか?」
「ケイスケにダメって言われたら他の誰かの血、吸うしかないからね」
「あ〜そうか・・・その手もあったか・・・それはダメだな」
「よその誰かの血を吸うってのはダメだ・・・なんかそれ他の男とエッチ
されてるみたいで・・・イヤだわ・・・他の男になんかケチャップを寝取られ
たくないもん」
「わ〜想像しちゃったよ・・・ケチャップが他の男にエッチなことされて
気持よくなってるシーン・・・めちゃ腹立つ」
「なにひとりで想像してヤキモチ焼いてんの?」
「いい、俺の血吸え・・・」
「とりあえず昨夜、血、吸ってるから、あと六日は吸わなくても我慢できる
よな・・・ それまでに血作っとくから・・・」
「それまで俺はレバーや焼肉食って、貧血なんかにならにようにしとくか・・・ 」
「ケチャップ、焼肉好きか?」
「なにそれ・・・・?」
「肉を焼いて食べるんだよ」
「まあいいわ・・・ケチャップ、さっそく明日の夜は焼肉だ・・・昼間の
うちにスーパーに肉買いに行こう・・・肉」
「うん・・・行きましょ・・・にく買いに・・・」
「美味いぞ〜 食ったら分かるから、たぶんケチャップは特別好きだと思うぞ」
実は俺にはもうひとつ考えがあった。
うまいくかどうかは分かんないけど・・・もしかしたらイケるかもな・・・。
人間、思い込みってやつがあるからな・・・それは異星人でも同じだろ?
ケチャップの為に会社を辞めてしまった俺は、自由になったから次の日彼女を
連れてスーパーへ買い物に出かけた。
で、スーパーへ行く途中、ケチャップは大勢の若者やおやじどもに視姦された。
めちゃいい女だからしかたない。
俺なんか何度ケチャップを目で犯したか・・・。
ケチャップは地球へ来て即、ホテルに連れていかれただろうからスーパーなんて
入ったことがなかったんだろう。
コンビニへ行った時と同じように各棚に陳列されてある食材を珍しそうに
見ていた。
迷子になってもいけないので、俺は右手にカート、ひだり手にケチャップの手を
ひいて・・・ 食材を物色した。
そして、お目当の肉を買って、ある物とある物をさりげなくカートに入れた。
本当は精肉店へ行けばいいんだけど・・・スーパーのほうが安いし
給料入ってこなくなったから親の仕送りだけで生活していかなきゃいけない。
俺ひとりなら、なんとかなるけど人の血を吸うだけの彼女がひとり増えたからな。
節約もしなきゃいけないだろ・・・。
血を吸うだけの彼女って・・・って、そんな言い方したらケチャップが可哀想だな。
彼女がいてくれるってだけで俺の生活にハリが出てるのはたしかだし。
なんて言うんだろう・・・ひとりぼっちで暗かった俺の家に明るい太陽が差し込んだ
みたいに・・・彼女は綺麗だし、眩しいし、暖かいし・・・何もしなくても
そこにいてくれるだけで俺にとっては、めちゃ癒しになってるんだ。
ハグするとめちゃいい匂いがするし・・・。
ケチャップの匂いは男をダメにする匂いだ・・・ケチャップがいなくても、その残り香を思い出しただけで、俺はヘタレになってしまう・・・もう胸がキュンってなるんだ・・・。
ああ、たしかに・・・俺は完全にケチャップに恋しちゃってるよな。
元、スライムなのに。
つづく。
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