第3話:ってことでようこそ我が家へ。
ってことで、俺とスライムのケチャップさんは編集社の人や、総理大臣、
ホテルのボーイさんや他のお客さんに見送られながらデカいリムジンで俺の家
まで送ってもらった。
「では、私どもは退散しますから、あとは小野田様にお任せします」
「一ヶ月後ケチャップ様をお迎えに伺いますので・・・ではそれまでさようなら」
そう言って編集社の谷川さんは帰って行った。
人間より歩く?・・歩くって言っていいのか、歩くのが遅いケチャップさんを
俺は否応無しに抱っこしていた。
とくにベタつくこともなくプニプニした大きめのグミを抱えてるみたいだった。
「ほら、ここが俺の家・・・遠慮しないでいいからね」
「今日から同棲生活だから・・・」
「あの私たち、付き合ってるわけじゃないから同棲はいかしんじゃないの?」
「同居でしょ?」
「うん・・・まあそうだけど・・・いいじゃん、さ、入ろう」
「お邪魔しますう〜」
「地球人ってこういうところに住んでるんですね、小野田さん」
「ああ、ご丁寧に苗字で呼ばなくていいよ、俺のことは圭介・・・
け・い・す・け・・・ケイスケでいいよ」
「じゃ〜ケイスケ・・・今日からお世話になるだっちゃ・・・」
「だっちゃ?・・・ラムちゃんか?」
「虎模様のビキニ着た女の子が「ダーリン好きだっちゃ」って言ってるアニメも
見たからつい出ちゃうんです」
「気をつけるからね」
「それでもいいけど、俺は変な大阪弁しゃべられるよりはいいよ」
「まあ、ぼつぼつ行こうか・・・」
「とりあえずソファーにでも座っててよ・・・ケチャップちゃん」
「ケチャップでいいよケイスケ・・・」
「そう、じゃケチャップで・・・」
スライムは目だけギョロギョロして無表情、だけど愛想が悪いって感じじゃ
なかった。
まあ企画に当選したことだし、スライムに嫌われたくないから紳士的でいようかな。
「なにか飲む?・・・喉乾いてない?」
「めっちゃ乾いてる・・・震えるくらい・・・」
「何がいい?オレンジジュースでいいかな?」
「なにそれ?」
「だからオレンンジの実を絞った・・・果汁100%の飲み物・・・」
「よく分かんない・・・」
「あ、そうなんだ・・・そのへんはやっぱり異星人なんだね」
「なんでもいい・・・とりあえずオレンジジュース?とやらでいいから・・・
飲ませて・・・喉が渇いて体が震えるってば・・・ 」
「分かった・・・そこソファに座って待ってな」
「あのさ・・・この家、俺一人しかいないから遠慮しなくていいからね」
そこから、なんで俺が一人暮らしをしてるかってことをケチャップに説明した。
「だからね、好きにしていいよ・・・俺は土日以外は日中、仕事にでるから
その間はテレビでもオーディオでもなんでも楽しんでくれていいから・・・ 」
「しごと?・・・ってなに?」
「社会人としての義務・・・働かないとお金もらえないし食べていけないからね、
だから働いてるんだよ、それは仕事」
「人間は働かなきゃ生きていけない生き物なの?」
「働きもしないで、チンタラしてたら、すぐにホームレスだからね」
「ほ〜むれすって?」
「そうか・・・知らないことばかりなんだな・・・先が思いやられそう」
「このくらいでイラこいてたら後が続かないからな、深呼吸してまじで、ぼつぼつ
いくかな」
見るとケチャップは我関せずって感じで、部屋の中をあちこち物色していた。
「異星人も好奇心って点じゃ人間とさして変わんないか?」
つづく。
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