第2話:ケチャップって名前の異星人。
交流する異星人がまさかスライムだとは思ってなかった。
厳密にはファンタジーゲームに出てくるスライムとは違うんだと思うけど・・・
なんせ相手は異星人だから、たぶん別種なんだろう。
ソファに座ってたのはお目目ぱっちりなブルー色の透き通ったスライで、
俺の方を見ていた。
俺が小野田って名乗ると、さっそく一人のおっさんが即、立ち上がって対応して
くれた。
「あ、小野田様、このたびは、ご当選おめでとうございます」
「私は編集社の谷川と申します」
「ご紹介しておきますと私の右にいらっしゃる方が総理大臣の吉川様です」
「そ、総理大臣?」
ははあ、それでホテルの警備が厳重だったんだ。
「はい、いちおう異星人さんは国賓でいらっしゃいますから」
「国を挙げてのおもてなしなんでございますからして・・・」
「あとの方はSPさんです」
「そして、こちら・・・今回、この企画に参加してくださった異星人さんです」
編集社の人はソファに座ってるスライムを紹介した。
「よろしく・・・私、ケチャップです」
スライムはペコッとお辞儀した。
(およよ・・・スライムが喋った・・・どこにクチがあるんだ?)
(ケチャップって・・・あのオムライスにかかってるケチャップ?)
「あ、どうも俺
お願いします」
そう言って俺もペコッと頭を下げた。
ケチャップって名乗ったスライム型異星人、なんかちょっと可愛い・・・。
まあ、バイキンとかウイルスとか持ってないと思うけどヴィラン系とかクリー
チャー系じゃなくて実はホッとした。
リドリー・スコット監督の映画のエイリアンみたいな異星人だと卵を体に産み
つけられて腹を破って出てこられたらたまったもんじゃないからな。
「あのケチャップさん日本語は普通にしゃべれるんですね・・・」
「頑張って覚えたよ」
「地球に来る前に日本のアニメで日本語勉強したの」
(の?・・・のってその口調はもしかしてスライムさんは女性?)
(でもちゃんと日本語勉強してくるなんて偉いじゃん)
「では、さっそくですが企画では、異星人様は一ヶ月間、当選者様の家で過ごす
という企画ですのでケチャップさんは本日より小野田様の家で生活することになり
ますので・・・それでよろしいですか?」
「え?は?・・・あの、そういう企画なんですか?」
「ここで親交深めて、おしゃべりして写真撮ってサインとかもらって終了、とか
じゃないんですか?」
「いえいえケチャップ様のたってのご希望でして・・・当分、当選者様の家で
お世話になるとそうおっしゃってますが・・・これは星を代表しての親交ですので
当選者様には拒否権はございません・・・お分かりでしょうか?」
「お分かりって・・・断れないってどういうこと?」
「私からもよろしく・・・なんせ国賓でいらっしゃいますから粗相のないよう
お願いしますね」
って総理大臣からもお願いされた。
ってことで異星人、ケチャップさんは俺の家に預けられることになった。
小一時間くらいの交流だけだって思ってたのに、俺の家に来るってか?
どうすんだよ・・俺が異星人の面倒見るってことだよな・・・。
待て待て・・・スライムってなに食うんだ?
つづく。
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