第20話 連邦病との闘い 治療方法の確立

颯太が連邦病の症状を観察し、結核の可能性を強く感じ始めてから数日が経過した。病院内は相変わらず混雑しており、次々に運ばれてくる患者を処置していく中で、彼の能力が発揮される瞬間が増えていた。颯太は、患者一人ひとりを診察するたびに、彼らが抱えている病気の「原因菌」が頭の中に浮かび上がる感覚を覚えていた。目の前にいる患者の症状が、瞬時に彼の脳内で解析され、病原菌が特定される――これは、彼の能力「病魔の呪い」の一部だった。



颯太は、ミレイアとガルスと共に患者を診察していく中で、自身の能力がどれほど役立つかを感じていた。いつもなら医学的な検査に頼らざるを得ない場面でも、彼の目の前に現れるのは、原因となっている菌のイメージだ。


「この患者、咳がひどくて、体温もかなり高い……」

颯太はその患者を観察しながら、頭の中に菌の名前が浮かび上がった。それは結核菌だった。


「結核菌が原因です。間違いありません」

颯太が静かに言うと、ミレイアは驚きと興味の入り混じった表情で颯太を見た。

「え? どうしてそんなに早くわかるの?」


「僕の能力で、病気の原因となる菌が頭に浮かんでくるんです。この患者の症状は間違いなく結核のものです。肺に細菌が感染して、症状を引き起こしている」

颯太は患者に手を触れながら続けた。

「結核は、細菌によって引き起こされる病気で、肺に感染することが多い。早期に発見し、適切に治療すれば回復しますが、進行が遅いため、見逃されがちです」


ミレイアはその話に納得し、頷きながら薬草を取り出した。

「それなら、私たちの持っている薬草を使って治療を始めましょう。これで少しでも症状を和らげることができるはずよ」


颯太はその薬草を使って治療を始める前に、さらに考えた。

「でも、結核は感染力が強いです。隔離をしっかりと行うことが最優先です。それから、患者に必要な栄養を補うための対策も急がなければならない」


その場で、すぐに隔離区域を設け、患者を隔離する手筈を整えた。そして、次に進むべきは治療薬の準備だった。




颯太とミレイアは、連邦病に対する治療薬を作成するため、手元にある薬草を使って調合を始めた。ミレイアは、抗菌作用のある植物や消化を助ける薬草を取り出し、颯太と共にその処方を作り上げていく。


「カルタの種、フレイアの実、この二つが結核の治療に役立つかもしれません」

ミレイアは薬草を使って細心の注意を払いながら調合を続け、颯太はその横で治療法を整理し、薬の濃度や投与方法を計算していた。颯太はこの薬草の調合が、どれだけ治療効果を発揮するかに強い関心を持ちながらも、同時にどれだけ早く実行に移せるかが重要だと感じていた。


「これで少しでも結核菌を抑えることができれば、症状の改善が期待できるはずです。栄養補給も同時に行うことで、回復を早めることができるでしょう」

颯太は慎重に薬液を患者に投与し、治療を開始した。



治療薬を投与し、患者を安静にさせる一方で、次に準備しなければならないのは、結核患者の呼吸を楽にするための器具だった。ガルスが担当し、痰を効率的に排出するための器具や、換気装置を作ることに取り掛かった。ガルスは何も言わずに作業を始め、その腕前を颯太が信頼していることは言うまでもない。


「ガルス、これは痰を吸引するための器具です。呼吸を楽にするためにも、これが必要です」

颯太がその器具を確認した後、ガルスはさらに改良を加えていった。数時間後には、吸引機と換気装置が完成し、患者たちがそれを使うことで少しでも呼吸が楽になることが期待できた。


「これで、痰がうまく排出できるようになる。患者の呼吸が楽になるはずだ」

ガルスは作り終えた器具を颯太に渡し、颯太はそれを使って患者に治療を施した。



治療薬の投与、器具の使用、そして隔離措置がすべて整い、颯太は治療に本格的に取り組んだ。最初はなかなか効果が見られなかったが、数日後、少しずつ症状が改善し始めた。患者たちの呼吸が安定し、体温も正常に戻り、何より痰の量が減少していった。


「先生、少し楽になった気がします」

一人の患者が颯太に微笑んだ。颯太はその言葉を聞き、心の中で小さな安堵を感じた。だが、それでも油断はできない。治療を続け、さらなる患者を助けることが求められていた。


「これで少しずつ回復していくはずです。治療を続け、患者の状態を見守りましょう」

颯太はその後も、患者一人ひとりの治療に付き添いながら、治療法を改良していった。



数日間の治療と改善が続く中、颯太は連邦病の治療に対する自信を深めていった。患者たちの症状が着実に改善し、治療の効果が証明されたことで、彼の名声は連邦全体に広まり始めた。


「颯太、君のおかげでどれだけの命が救われたか分からない」

アシュランが颯太に感謝の言葉をかける。颯太はその言葉に微笑みながら答えた。

「僕ができたのは、ただ治療を施すことだけです。これからも、この治療法をもっと広めて、全ての患者を救いたいと思います」


颯太の顔には、医師としての誇りと決意が宿っていた。だが、連邦病との闘いは始まったばかりだ。彼はさらに多くの命を救うため、医術顧問としての責務を果たす覚悟を新たにした。



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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。もしこの作品を楽しんでいただけたなら、ぜひ評価とコメントをいただけると嬉しいです。今後もさらに面白い物語をお届けできるよう努力してまいりますので、引き続き応援いただければと思います。よろしくお願いいたします。


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