第3話真実

夏休みが終わり2週間くらい経っただろう

でも彼女が復活してくることはなかった。あの時送ったLINEもずっと未読なまま彼女と過した時間がなくなって来ているような錯覚に陥った。

そこで携帯が鳴った。

「返事遅くなってごめんね明日学校行く」

その1文を見て僕は酷く安堵した。いつも彼女のLINEを開き未読のままの会話を見てため息をつくのと今の彼女の返事を見てつくため息はなんとも言い難いほどの違いがあった。


「聖おはよ!!」

朝からそんな明るい声で挨拶してくる人はきっと桜しかいない僕は後ろを振り返り、

「おはよ」と返した

彼女はどこかハニカミながらボソボソと

「久しぶり、話したいことあるから放課後残ってくれないかな?」

僕は軽口に「わかった」と言って席に着いた



目を擦りながら睡眠と戦う時間がようやく終わり放課後になった。

桜から話があると言われ約束の場所の屋上に僕は足を進めて言った屋上の重たいドアを開くと彼女がポツンとそこに立っていた。

「どうしたの話って、」

「わざわざ来てくれてありがとう、聞いて欲しいことがあるの」

いつもの明るい彼女とは打って変わって真面目な表情だった。彼女もこんな顔をするのだろう

「僕で良ければ聞くよなに?」


「私、病気なの正確に言えば心臓のなんだけど上手く私の心臓稼働してくれなくて1年生きれたらいいくらいって言われてる」


目の前が真っ暗になった、淡々と話す彼女の言葉まるで僕の耳に脳に入ってこない、水の泡のように消えていくだけだった、病気?彼女が?なんの?心臓の、そのワードだけが頭をグルグルト回って言った。

でも、落ち着いえ考えれば彼女の不可解な行動は夏休み遊びに言ってからわかった、少し歩いただけで疲れたことや水しか飲めない、こと時折見せる彼女の儚げな雰囲気、振り返って見れば話が繋がって来る。今まで見つからなかったピースが見つかりはめていくように僕には感じられた。

「嘘だ、いつも桜は明るくて、笑顔で、ずっとずっと笑ってた。そんなさくらが、病気で、1年しか良くて生きれない、そんなことあっていいのかよ。」

「私も初めは嘘だと思ったよでも私の人並みに体力がないこととか食事制限とかそんな話を聞く度に本当になんだって思うようになったよ、」

今の彼女には全てを受け入れているように思える普通不治の病なんて怒りのぶつけようがないことになんで彼女は飲み込んでいるのだろう。

「治る保証はないの?」

「多分ね、ないよ、」


そんな残酷な運命を背負って生きている彼女に、僕は彼女を何も悩みなんてない普通の女子校生だと思っていた。秀才で、容姿端麗で、何もかも持っている彼女、でもその引き換えに残酷な運命を抱えてる彼女、僕はどれだけ彼女を色眼鏡で見ていたのだろうか。彼女のことを知っている気になっていた。でもそれはほんの3割にも満たないほどに僕は彼女のことを理解なんてしていなかった。


「私ね、死ぬまでに沢山色んなことをしたいの、デートとか遠出したり美味しいものを食べたり沢山したいの」


僕はただ黙って聞いていた、それしか選択肢がなかった。今の彼女のしたいという欲は誰にでも平等に持っている感情だと思った。好きな人とデートしたり遠出したりそれこそ遠出した先に美味しいものを食べたり誰しもしたいという気持ちを持っていい感情だ。それを彼女からしたらする時間も制限もあるのだろう僕たちの普通は普通じゃない人もいるそれを知らされた瞬間だった、


「しようよ」

僕はポツリと吐いた、

「好きな人とデートは分からないけどそれ以外なら全部できると思うんだ本当に桜が1年しか猶予がないのならそれまでに全部するんだ」

それを聞いた彼女が眼に涙を浮かべながら小さく「ありがとう」と言った。




さて、どうしたものか、僕はひとつの壁にぶつかっていた。彼女のしたいことリストみたいなのを、ラインで送られた時正直ぎょとした、正直今の現時点で高校生には到底できそうじゃないことまであった、

幸せな家庭を作りたいや、好きな人と同棲して料理を一緒作るなど、そんなの僕は対象外の話一体それをどうすればいいのだろうか。

もう夏も終わり秋に入ろうとしている季節、僕たち学校は秋休みというものがある

僕は、それにかけていた秋休みである程度完結させ秋休みで叶えることが不可能だったものを冬休み中行うそんな計画を立てていた。




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春に憂る 謳歌 @ouka0314

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