第2話君と僕
駅のホールで30分程待っていると白いワンピースを着飾った華やかな彼女が来た。
「ごめん、待たした」
「いいよ約束の時間よりも早く来たの僕だし」
正直、今回彼女と遊ぶのをほんの僅かに楽しみにしていた。
滅多に女子と遊ぶことなんてないから緊張もしているが何よりも、普段しないことをするのは少し心が踊った。
「聖はどこか行きたいとこある?」
「外は暑いし近くにカフェがあるからとりあえずそこで決めよう」
外は気温を30℃も超える猛暑だ。
ずっと外に居れば熱中症になってもおかしくないだろう、今は涼める場所に行くのが今は最前だ。
「じゃカフェに行こ!!」
いつも通りニコニコした彼女が僕の手を引っ張って言う。
なぜ彼女はいつもこんなに楽しそうなのだろう僕には到底そんな常に笑顔でいるなんて無理だきっと彼女には何も悩みなんてないんだろう勉強もでき、容姿も端麗、はたまた友達も多い彼女、僕とは正反対だ。そんな彼女に悩みなんて存在する訳が無いそう思い彼女に手を引かれるまま僕は彼女について行った
カフェに向かってる途中僕は彼女に少しの欠点を見つけた。それは著しく体力が無いことだ。
少し階段を登っただけで息切れをし30分歩いただけで少し休憩をしようと提案したり、とにかく本当に彼女には体力がなかった。
「桜、お前本当に体力ないな。大丈夫かよ 」
「うん、ごめんね昔からあんまり体動かすの苦手で。」
彼女にも苦手なことがあるのかと少し安心した。世の中完璧な人間なんていない。いてたまるか。
「カフェまでもうすぐだし頑張って歩こ」
「うん、そうだね!」
「いらっしゃいませ」
少しお洒落な落ち着いたカフェに合う挨拶をしてくれた店員に一礼をし好きな場所の席に座る。
「あ〜やっと座れたぁー!涼しいー」
落ち着いた雰囲気を壊すかのように彼女が一言そう言った
「よく頑張って歩いた、でも少しでも体は動かして行った方がいい。」
「そうだね、ほんときつかったー」
今の彼女には僕の戯れ言なんて聴こえてないのだろう。僕はため息を吐いて彼女に注文したいものはないか?と聞いた
「私、水でいい」
「え?水でいいの?ここまで来て?」
正直カフェに来て水を頼むというのはどうかと思ったが、それを伝えても彼女は断固水でいいと言い張った。
「じゃ僕はコーヒー」
すらっとした落ち着いた店員が「ご注文はお決まりでしょうか?」と尋ねて僕たちは水とコーヒーを頼んだ。それで店員が一言
「大変恐縮なのですが、お客様水は無料でご提供できますが、宜しいでしょうか。」
それを聞いた彼女がまたにこやかで返した
「大丈夫です、ありがとうございます。」
「かしこまりました。少々お待ちください 」
一礼をして店員は去っていった。
「おい、なんで頑なに水しか頼もうとしないんだ??」
「私水が好きなんだ、だから水でいいの」
水なんて簡単に手に入るカフェまで来て水を頼むなんてそんなことはあまりないだろう。まぁ人は人だそんなに不信がる必要なんてないんだろう。もしかしたら金欠なのかもしれないそんなに深入りなんて野暮だと思い僕はコーヒーが来るのを待った。
ある程度コーヒーを堪能して僕たちは店を後にした。
「これからどうしようか。」
桜に聞くと桜は行きたい場所があると言って歩き出した。
そこから5分、10分、歩き着いた場所は、なんとも形容し難い綺麗な河川敷だった。
「わぁ、こんな場所があったのか。」
「えへへ、綺麗でしょ。」
こんな都会な場所に綺麗な河川敷があることを僕は全く知らなかったいや、知ろうとしてなかったのだろう。周りの景色なんて気にも止めずただひたすらにやりたい事や、やるべき事をするために特定の場所に行く。いつから僕はそんな雑な人間になっていたのだろう。
「ねー聖、見て見て。」
彼女が指さしたところは綺麗に流れる川だった。
「川が流れる音ってねストレス発散や心を落ち着かせる効果があるんだよ。」
そんなことを彼女が言った。
「それは知ってるけどなんで急にそんなことを?」
「なんでだろうね。川の流れる音、景色、風の流れ。なんでそれで人の心って落ち着て行くんだろうね。」
その言葉言った彼女は何故か悲しげに見えた
「いつか無くなるからだと思う。」
僕は何も考えずに言葉を紡ぐ
。
「川の流れも人間が汚せばいつかは消える、
この景色だって人間が建物を作ればいつかは無くなる、この気持ちのいい風の流れだって人間が木々を切ったりすれば無くなる。人はいつか無くなるものを美しいと表現する。ずっとある物に美しいと表現はしない。」
それを聞いた彼女は儚い顔してポツリと呟いた。
「じゃ人にも寿命があるからいつかは消えるけど人間に綺麗って言葉は使わないよね。」
僕は言葉が詰まった確かにそうだ。人間が限りあるものや命を消してるでもまたその消してる人間にも寿命はあるんだ、
「私、死ぬ時は綺麗に死にたいな、」
「そうだね、」
意味のわからないことを言う彼女だけど今はそれに同意すべきかと思った。理由は無い
ただそう思ったのだ、
あの後、彼女とLINEを交換し、それぞれの帰路に着いた。
「ただいま」と言ってみたが、
誰もおかえりと言ってくれる人はいなかったまぁそれは当然だ、幼い時、父と母を両方亡くしてしまい今は亡くなった母と父の年金と親戚に仕送りをしてもらいながら生活をしている。僕は何も考えず風呂に直行し、服を脱ぐそしたら携帯が鳴った。
彼女からのLINEだった。
「今日は、ありがとうまた遊ぼうね」
その1文が送られ僕は
「うん」と返した
あの後から自堕落な夏休みをすごし無駄に趣味を増やすために1人でカラオケやらなんやら行ってみたが大抵趣味と言えるほどではなかった。そんなな風に過ごしているとあっという間に夏休みが終わってしまっていた。
「おはよーひさしぶりー」
「うん久しぶり。」
夏休みが終わると何故こうもクラスメイトは別人になっているのだろう。
肌が少し黒くなっている者や夏休みデビューを果たし少し髪の毛が派手なもの多種多様だ。
「あれ?桜は来てないのか?」
「え?確かに来てないな。」
珍しい、いつもならこの時間には来ているはずなのになんでだろう。
ガラガラと音を立て教師の須藤が教壇に立つ
「はい、席に付け〜首席取るぞー」
一人一人の名前を須藤が読み上げていく。
「えーと、伊集院さくらは欠席だ」
そう吐き捨てまあクラスメイトの名前を読み上げていく。
朝礼が終わったあと僕は須藤を呼び止めた、
「先生なんで、さくら、えーと伊集院さんは休みなんですか?」
いつも不機嫌そうな須藤が言う
「ん、まぁあれだただの通院だ気にすんな」
そう言って須藤はスタスタと歩いていった。
通院?夏休み中に体を崩したのか、夏バテということもあるそんなに気にスすることは無いだろう。
僕はLINEを開き彼女のアイコンをタップする「大丈夫か?」その一言を送って僕はスマホの電源を落とした。
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