春に憂る

謳歌

第1話 夏

「あなたが好きです。」

その一言を簡単に言えることが出来たら何か変わっただろうか君はどんな顔をして笑っただろか、はたまた振られてしまっていただろうか。結局最後まで君に伝えれなかった。あの時に伝えれば何か違ってただろうか。




「ひ~じり」

そんなバカげた声を出しながらニコニコ近寄って来たのは同級生の「桜」初めて高校生になって話した女の子だ。

「なんだよって冷た」

桜はキンキンに冷えたジュースを僕の頬っぺに当ててきた。

「あはは、いい反応」

そんな僕の反応を見て彼女はご満悦のようだ

「バカ、心臓止まったらどうするんだ」

「そんなんで心臓なんて止まらないよぉ」

今、僕はすこぶる機嫌が悪かった

なぜならテストで赤点を初めて取った。

昔から勉強だけはできたのに、高校になってから急にレベルが高くなってきた気がする。いや、高校のレベルが高いのか、そう思いたい


「そんな難しい顔してたら分かるものも分からなくなるよ!ジュースでも飲んで紛らわそうよ!」

桜はニコニコと片手に持ってたジュースを差し出してきた。

「あ、ありがとう」

「どう致しまして」


彼女、桜は正直凄まじい程勉強がてきた、

高校の初めのテストではずっと1位

全国模試もいい結果を残した秀才だった

「桜は、いいよな勉強なんて困ったことないんだろ?」

「ん〜どうだろうまぁ結果がそう語ってるだけだよ」

桜はずっとニコニコしたままだった

「はぁさすが秀才は違うな」

そう吐き捨てて僕は次の授業の為の移動教室の準備をした。



「ひ~じり夏休みってなんか予定ある?」

「は?夏休み?なんで?」

女子から予定を聞かれるのは滅多にないことなので少し構えて聞いてしまっていた。

「はは、そんな警戒しないでよぉー良かったら一緒にお出かけしない?」

「は?お出かけ???」

女子から遊びに誘われるなんて何年ぶりだろうかいや、そんなに誘われた事なんてないか、

しかも、桜は容姿も端麗だったキリッとした目、切れ長な瞳、すらっとした身体、何もかもが整っていた。そんな高嶺の花な子から誘われるなんて思ってすらなかった。


「何かパシリでもする気?」

冗談まじりに僕は言う

「ちぇバレたか、」

また彼女も冗談まじりに言った。



「お前ら、夏休みだからと言ってあんまり

羽を伸ばしすぎるなよぉしっかりと勉学にも励む様に先生からは以上」


そう吐き捨て担任の須藤は面倒くさそうに職員室に帰って行った。

担任が行ったのを確認した生徒達が一斉に

「よっしゃー!夏休みだぁ!」と騒ぎ立てた

ちらほら夏休みの遊びの計画を立てている者や、何をするかを話している者。それぞれだ。

「聖~夏休みどこ行くんだ?」

中学生からの知り合いにそう質問された

「ん〜特に何も予定は無い」

「なんだよ冷めてるなー」

2人で話してることに気づいた桜がゆっくりと近づいて一言吐き捨てた

「聖は私と夏休み遊びに行くんだよーまだ詳細は決まってないけどねー!」

中学の同級生はこちらを見るなりに固まっていた。

「何?お前ら付き合ってるの?」

「いいや違う付き合ってない」

こちらの真剣な眼差しに中学の同級生はニヤリと不敵な笑みで

「まぁ、楽しめよ 」そう言ってその場を去った。

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